ハリセンボンの生態・特徴は?生息地や寿命も

この記事では大きな目と膨らんだときのフォルムが印象的な「ハリセンボン」の生態や特徴についてご紹介していきます。

ハリセンボンはフグの仲間に分類される海水魚です。

棘のように変化した独自のウロコを持ち、身を守るときには身体を膨らませて相手を威嚇します。

ここでは、そんなハリセンボンの生息地や食性、寿命や食用としての扱われ方などを詳しくまとめました。

また、記事後半ではハリセンボンの飼育方法についても解説していますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

ハリセンボンとは?

ハリセンボンとは「フグ目・ハリセンボン科」に分類される海水魚のことです。

ちなみにハリセンボンという名称は固有種を指す言葉でもあり、また同じような種類の魚を総称する言葉でもあります。

そんなハリセンボンの最大の特徴は、体表に棘のようなウロコを持つところです。

ほとんどの人はその名前からハリセンボンの棘を「針のようなもの」と想像します。

しかし、ハリセンボンの棘は「実はウロコが変化したもの」なのです。

また、ハリセンボンの絵を描こうとすると大半の人は「トゲトゲとしていて丸っこい姿」を描くと思いますが、ハリセンボンはいつも棘を伸ばしているわけではありません。

身体を膨らませて身を守る

ハリセンボンの棘が伸びるのは自分の身を守るときだけです。

身体を膨らませ、棘のようなウロコを伸ばすことで身体を大きく見せています。

そのため、普段のハリセンボンの姿は他の魚とあまり変わりません。

ちなみに「ハリセンボン」という名前から「千本くらいの棘が生えている」と想像されがちですが、実際の棘の数は300~400本くらいです。

また、ハリセンボンに分類される魚の中には棘が短い種類も存在します。

こうした棘が短い種類のハリセンボンも身体を膨らませるというアクションを起こしますが、外的から身を守る効果は低いようです。

ハリセンボンの歯は上下1つだけ

ハリセンボンはフグの仲間に大別されます。

フグの仲間は基本的に上下に2つの歯を持ちますが、ハリセンボンの歯は上下に1つずつしか生えていません。

また、ハリセンボンの歯は生きている以上ずっと成長していて、放っておくとそのまま伸びてしまうそうです。

歯が伸びすぎてしまうと捕食の邪魔になるため、ハリセンボンは殻が硬い甲殻類を食べたり砂を噛んだりして自ら歯を削っています。

こうしたところもハリセンボンならではの特徴と言えるでしょう。

ハリセンボンの毒性

ハリセンボンはフグの仲間と伝えましたが、そうなると「毒を持っているのか?」といった疑問も出てきます。

ハリセンボンの毒性については、いまでもハッキリと断定されていません。

基本的にハリセンボンは「毒がない魚」として扱われていて、昔から食用としている地域もあります。

しかし、ハリセンボンの研究はまだ十分とは言えず、卵巣などに毒があるのでは?といった意見も少なくないようです。

ちなみに食品衛生法によると、ハリセンボン科の「ハリセンボン・ヒトヅラハリセンボン・イシガキフグ・ネズミフグ」の卵巣や肝臓は食べてはいけない部位として扱われています。

そのため、自分でハリセンボンを釣ってきて調理する場合には、棘のようなウロコ以外にも卵巣などの内臓に注意が必要と言えるでしょう。

ハリセンボンの種類・仲間

世界中の海には6属20種類ほどのハリセンボンが生息していると考えられています。

私たちが普段ハリセンボンと呼んでいるのは、このうち「ハリセンボン属」のハリセンボンです。

ハリセンボンの身体は褐色またはまだら模様で、ヒレ以外に黒い斑点があります。

大きさは30センチほどで、重さはだいたい500グラムくらいです。

こうした一般的なハリセンボンは地方によって「ハリフグ」「トゲフグ」「イラフグ」などと呼ばれています。

【ハリセンボンの種類や仲間】
・ハリセンボン属:ハリセンボン、ヒトヅラハリセンボン、ネズミフグ
・イシガキフグ属:イシガキフグのみ
・メイタイシガキフグ属:メイタイシガキフグ、イガグリフグ

こちらは日本近海で見られるハリセンボン科の主な種類です。

「ハリセンボン属」「イシガキフグ属」「メイタイシガキフグ属」の3属があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

なお、この中で一番大きいのはネズミフグで、体長80センチまで成長する個体も存在します。

よく見かけるのは本州より南側の温暖な海域で、釣りをしているとたまにハリセンボンが掛かったりもしますが可食部が少ないため好んで釣る人はあまり多くありません。

ハリセンボンの生態・特徴

ハリセンボン

ここからはハリセンボンの生息地・食性・寿命などをご紹介していきます。

生息地

ハリセンボンは温帯・熱帯の海域に生息する魚です。

際立って寒冷な海域以外ならどこにでも生息している可能性があり、特に浅瀬やサンゴ礁の近くにいることが多いとされています。

ちなみにハリセンボンは水温が低いところでは生きていけませんが、海流に乗って北側へ移動してきてしまいそのまま死滅するケースも多々あります。

食性

ハリセンボンは「肉食性」の魚です。

主に甲殻類や貝類、ウニなどを食べて生活していますが、そのほか海底のベントス(底生生物)をエサとすることもあります。

なお、ハリセンボンを飼育する際はエサとして冷凍の魚・イカ・エビ・貝・人工飼料などを与えることが一般的です。

寿命

ハリセンボンの寿命は平均2~3年です。

飼育下であれば5年ほど生きることもあるようですが、ストレスや水温の変化によって体長を崩すことが多いので、そこまで長生きする個体は稀と言えるでしょう。

ハリセンボンは食べられる?

前述の通り、ハリセンボンの身には毒がないので食べることが可能です。

ただし、ハリセンボンは可食部が少ないため、多くの場合は皮と棘を取り除いた後そのまま唐揚げにします。

また、地方によっては鍋料理や汁物の具材として使われることもあるようです。

ちなみにハリセンボンがよく獲れる沖縄ではハリセンボンのことを「アバサー」と呼び、昔から郷土料理の食材として親しまれています。
(アバサー汁:ハリセンボンの身とすり潰した肝、野菜などを合わせた味噌汁のような料理)

ハリセンボンの飼育方法は?

ハリセンボンは自宅で飼育することが可能です。

ただし、ハリセンボンは肉食性なので、スズメダイのような小さい魚と混泳させると相手を食べてしまう危険性があります。

また、ハリセンボンより大きな魚と混泳させた場合はハリセンボン側にストレスが掛かりやすいため、混泳させるなら同じ種類がおすすめです。

飼育に必要なものは60センチサイズの水槽とろ過装置で、主に上部ろ過槽タイプが使われています。

水温に関しては23℃前後が適温なので、クーラーやヒーターを使用して水温を一定に保ちましょう。

なお、エサは動物性(冷凍イカやエビなど)であれば基本的に何でも与えてOKとされています。

まとめ

独特な生態を持つハリセンボンの特徴について詳しくご紹介してきました。

ご覧いただいたようにハリセンボンは意外とその種類が多く、また地方によっては食用としても扱われている魚です。

水族館で本物を観察することもできますが、自宅で飼育することも可能なので興味があれば飼育方法を勉強してみてください。

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