イタチザメの生態・特徴って?危険性や海のゴミ箱といわれる理由も

この記事では数多く存在するサメの中でも非常に危険性が高い「イタチザメ」に関する情報をご紹介していきます。

イタチザメは世界でもっとも危険なサメと称される「ホホジロザメ」に次いで、人間の被害件数が多いサメです。

2.5m~3.5mほどの身体に加えて強靭な歯を持つイタチザメは「海の中にいるものなら何でも食べる」という特徴を持っていて、一部では「海のゴミ箱」とも呼ばれています。

ここでは、そんなイタチザメの生態や特徴を分かりやすくまとめてみました。

イタチザメの生息地・名前の由来・繁殖方法などを解説していますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

イタチザメとは?

イタチザメは「メジロザメ目イタチザメ科イタチザメ属」に分類されるサメで、イタチザメ属として認められているのは本種のみとなっています。

かつてはメジロザメ科に属していましたが、生物学の研究が進むにつれてメジロザメとは異なる遺伝子構造をしていることから単独で分類されることとなりました。

そんなイタチザメの身体は前半部分(頭部~腹部)が太く、後半部分にかけて細くなるつくりをしています。

また、小型の個体には身体に対して垂直の縞模様が入っていますが、大型に成長するとハッキリとした模様がなくなり体表の色が不鮮明になっていきます。

イタチザメの大きさ

イタチザメの大きさはオスが2.5m前後、メスが3m前後です。

体重はだいたい400kg前後となりますが、中には600~700kg以上に成長する個体も存在します。

なお、過去には全長7.4m・体重3000kg以上という超大型のイタチザメが発見されたこともあるようです。

イタチザメとホホジロザメの違い

世界でもっとも危険なサメとして知られるのが「ホホジロザメ」です。
(映画ジョーズのモデルとなったのもホホジロザメ)

そしてホホジロザメに並ぶほど危険なサメと言われているのがイタチザメで、人間が襲われた件数はホホジロザメに次ぐ第2位となっています。

こうしたことからイタチザメは「世界で2番目に危険なサメ」と考えられているわけです。

そんなイタチザメとホホジロザメの違いは体長と顔の形です。

イタチザメの体長はホホジロザメよりも若干小さく、鼻先が平べったい形をしています。

対してホホジロザメは鼻先が尖っていて、イタチザメより平均1mほど大きい身体を持っています。

また、イタチザメとホホジロザメでは食性も異なり、ホホジロザメはイタチザメほど何でも食べるわけではありません。

ホホジロザメは主にウミガメなどの海洋哺乳類をエサとしますが、イタチザメは哺乳類・魚類・貝類などの区別なく捕食します。

漁業におけるイタチザメの存在

イタチザメは世界各国で漁獲されていますが、肉質があまり上等ではないので冷凍食材や乾物として扱われることがほとんどです。(そのほか練り物の原料として使われる)

ただし、ヒレ(鰭)に関しては高級食材の「フカヒレ」として販売できることから重宝されています。

また、一部の地域では皮や肝油も貴重な資源のひとつとなっています。

イタチザメの名前の由来

イタチザメという名前は属名の「Galeocerdo」が由来とされています。

「Galeocerdo」とはギリシャ語の「サメ(galeós)」とラテン語の「豚の剛毛(cerdus)」を組み合わせたもので、イタチは豚と同じく剛毛であることから「イタチザメ」という和名になったそうです。

ちなみにイタチザメは英語で「Tiger shark(虎のようなサメ)」と呼びますが、これを直訳すると「トラザメ」となります。

普通に考えればイタチザメではなくトラザメと名付けられそうな感じもしますが、トラザメというサメは別で存在するため日本語に訳すとき他の名前を使う必要があったわけです。
(トラザメは英語でCat sharkと呼ぶ)

なお、日本ではイタチザメのことを「サバブカ」や「イッチョー」と呼ぶところもあります。

※海外では「Leopard shark(ヒョウのようなサメ)」「Maneater shark(人食い鮫)」と表現することもある。

イタチザメの生態・特徴

ここからはイタチザメの生態や特徴をより詳しくご紹介していきます。

生息地

イタチザメは世界中の熱帯海域・温帯海域に生息するサメです。(地中海などの一部地域を除く)

日本でもイタチザメの姿は確認されていて、八丈島や相模湾から八重山諸島周辺までの海域に生息していると考えられています。

また、最近は温暖化の影響もあり、青森県や秋田県といった東北地方の太平洋側でイタチザメが発見されたケースもあるそうです。

なお、イタチザメは光を好まないため、濁った水質の場所や比較的水深の深いところを生活の拠点としています。
(若い個体は光に対して耐性を持っているが、成長するにつれて光に弱くなるとのこと)

ちなみにイタチザメに関しては海面でエサを捕らえる姿が多く目撃されていますが、実は水深300mくらいまで潜水できる能力も持っています。

海のゴミ箱といわれる理由

イタチザメが「海のゴミ箱」と呼ばれる理由には「どんなものでも食べてしまう」という点が挙げられます。

イタチザメは自分で捕らえたエサのほか、海に漂う死骸なども食べる「腐食性」を備えた生き物です。

また、海中にあるものならプラスチックや産業廃棄物など、およそエサにはならないものまで飲み込んでしまう習性を持っています。

こうしたことからイタチザメは「海のゴミ箱」と呼ばれているわけです。

さらにこれまで調査されたイタチザメの胃からはウミヘビ・イルカ・クジラ・アザラシ・アシカなども出てきています。

自分より身体の大きいクジラも捕食対象としている点は驚きですが、それよりも驚異的なのは陸生の馬や羊を食べたイタチザメも発見されていることです。
(浅瀬まで泳いでいき捕食する、もしくは川から海に流れ着いた死骸を食べているという2パターンが考えられる)

繁殖

イタチザメのメスはだいたい10歳で繁殖できる身体となり、胎生によって子供を産みます。

妊娠期間はおよそ9カ月で、一度に出産する子供の数は約10~80匹です。


北半球における繁殖時期は3月~5月ごろとされ、繁殖の周期は2年に一度と考えられています。

そんなイタチザメの赤ちゃんの大きさはだいたい50~90cmほどです。

日本では2017年に沖縄の美ら海水族館がイタチザメの繁殖に成功していますが、これは国内だけでなく世界でも初めてのこととされています。

イタチザメの危険性

イタチザメは人間にとって非常に危険性が高いサメです。

これまでイタチザメが人間を襲った件数はホホジロザメに次いで2番目に多いとされていますが、イタチザメとホホジロザメでは人間を襲う理由が異なると考えられています。

というのも、ホホジロザメは自身の好物である「海洋哺乳類(ウミガメなど)」と間違えて人間を襲っていると推測されています。

しかし、イタチザメは「好奇心旺盛な性格」「どんなものでも食べる習性」を持っていて、最初から人間をエサとして捉え襲ってきているわけです。

こうしたことを踏まえるとイタチザメはホホジロザメよりも恐ろしい生き物と言えるかもしれません。
※日本でもイタチザメによる被害は多いため注意が必要。

まとめ

獰猛な性格と食性を持つ「イタチザメ」に関する情報をご紹介してきました。

ご覧いただいたようにイタチザメは「何でも食べる」という特徴から「海のゴミ箱」とも呼ばれています。

当然、イタチザメにとっては人間もエサのひとつとなりますので、目撃情報があった場合には海に近付かないよう気を付けましょう。

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