この記事では海に関係する資格やその資格を活かした仕事について詳しく説明していきます。
「海が好きで海の上で仕事がしたい」「大型船舶の乗組員として働きたい」といった方は、ぜひこちらの内容を参考にしてみてください。
また、ここでは自分で船を操縦してみたいといった方向けの資格もご紹介しています。
そのほか海上自衛隊や海上保安庁など、海関連の公務員業務についてもまとめました。
海に関係する資格3つ!
それではまず、海に関係する資格から見ていきましょう。
「海技士」「小型船舶操縦士」「潜水士」といった資格の特徴や取得方法などを分かりやすく解説していきます。
海技士
「海技士資格」とは、20トン以上の大型船舶に職員として乗り込む際に必要な国家資格です。
海技士の資格には「航海」「機関」「通信」「電子通信」といった種類があり、それぞれ異なる仕事と役割を担います。
航海:1級海技士~6級海技士に分けられる。一定条件のもと「船長」としての活動がおこなえる。
機関:1級海技士~6級海技士、内燃機関2級~内燃機関6級に分けられる。一定条件のもと「機関部船舶職員」としての活動がおこなえる。
通信:1級海技士~3級海技士に分けられる。一定条件のもと「無線部船舶職員」としての活動がおこなえる。
電子通信:1級海技士~4級海技士に分けられる。一定条件のもと無線電信等を有する船舶の「無線部船舶職員」として活動がおこなえる。
大型船舶ではその規模や有する設備によって必要な海技士の資格内容(等級)が変わってきます。
また、海技士の資格を得るためには試験を受けるまでの間に乗船履歴がなければいけません。
そのため、海技士資格の試験を受験するには船舶会社に就職するか、船舶職員養成機関に入所することが一般的となっています。
(乗船履歴を得るため)
なお、専門機関の教育課程をすべて修了すると筆記試験がなくなり、身体検査と口述試験のみとなりますので、資格を取得するには有利です。
とは言え、海技士国家試験は年4回おこなわれますので、一度不合格となっても次のチャンスがすぐにまたやってきます。
海技士として大型船舶に乗船したい方は、どうぞ頑張ってみてください。
小型船舶操縦士
小型船舶操縦士とは、「重さ20トン未満、全長24メートル未満」の船舶を操縦するのに必要な資格です。
趣味として船舶操縦をおこなう方や漁師など仕事上船舶を操縦する機会がある方が取得する資格となります。
【小型船舶操縦士の資格が必要なもの】
・プレジャーボート
・モーターボート
・ホバークラフト
・エンジン付きヨット
・総トン数5トン以上のヨット
・水上バイク
・漁船
また、小型船舶操縦士は「一級小型船舶操縦士」「二級小型船舶操縦士」「二級小型船舶操縦士(湖川)」「特殊小型船舶操縦士」に分類され、それぞれ操縦できる船舶が変わってきます。
※特殊小型船舶操縦士は水上バイク用の資格
なお、試験は全国各所で1年を通しておこなわれているので、比較的自分のタイミングで受けやすいところが特徴的な部分です。
小型船舶操縦士の試験は身体検査・学科試験・実技試験から構成されています。
ただし、身体的な問題がある場合には学科試験・実技試験に進めない可能性がありますので、事前にその内容をしっかりとチェックしておきましょう。
参考例(視力):両眼とも0.5以上(矯正可)。
一眼の視力が0.5未満の場合は、他眼の視力が0.5以上であり、かつ、視野が左右150度以上であること。
潜水士
潜水士資格は潜水作業を職務でおこなう方が必要とする国家資格です。
潜水士の資格保有者がおこなう作業にはサルベージ作業や水中土木作業、海洋調査や水産物の採取作業などが含まれます。
試験は年に5回おこなわれ、実技試験はなく学科試験のみです。
なお、趣味としてダイビングをおこなう場合にはこの潜水士の資格ではなく「Cカード」と呼ばれるライセンスが必要となります。
Cカードを取得するには実技試験がありますので、この部分が潜水士資格と大きく異なる点と言えるでしょう。
ちなみに潜水士の試験合格率は例年80%程となっており、比較的取得しやすい資格とも言えます。
海に関係する資格の仕事
ここからは海に関係する資格を持っている方や資格を取得したい方が選ぶ仕事をご紹介していきます。
海上自衛隊
海上自衛隊の自衛官になるためには「自衛官採用試験」の受験が必須です。
試験を受けるにあたって特別な資格は必要ありませんが、基本的には18歳以上33歳未満の方が一般曹候補生試験を受験できます。
また、自衛官採用試験には大きく分けて「任期制」と「非任期制」の2つがあります。
前者は1任期およそ2~3年、継続したい場合には更新手続きをおこなうことになりますが、ある程度の年数が経過すると退職を勧められることが一般的のようです。
(精強性の維持のため慣例となっています)
後者に関しては終身雇用が掲げられていて、そこで得られる階級も任期制自衛官より位が高くなります。
なお、海上自衛官になると船舶航海や船舶整備、潜水など職種ごとに様々な資格が得られますので、働きながら資格を得たい方には最適です。
海上保安庁
海上保安庁は海の安全を守るために活動する組織です。
海難事故の捜索・救助や海上パトロール、船舶への立ち入り検査などが主な業務内容となります。
なお、海上保安官になるためには海上保安大学(4年制)での学習、6ヶ月の専攻科目演習の修了、もしくは海上保安庁一般職員養成機関の卒業が最低条件です。
採用試験時には体力試験も実施されますので覚えておきましょう。
ちなみに海上保安官として働くためには小型船舶操縦士と海技士の資格が必須のため、在学中にそれぞれの資格を取ることになります。
漁船
漁船の運転には小型船舶操縦士の資格が必要です。
実家の漁業を子供の世代が継ぐとなった場合には、事業を継承する人間が新しく小型船舶操縦士の資格を取得しなければなりません。
逆に言えば小型船舶操縦士の資格を持っていると漁船関連の就職が有利になるということでもあります。
将来的に漁業に携わりたいと考えている方は、一度試験内容や操縦できる船舶の種類を確認しておいても良いかと思います。
実務経験や操縦歴にもよりますが、人手不足に悩む地方の漁業関連会社であれば普通に働くより高額な報酬が得られるかもしれません。
フェリー・クルーズ船
フェリーやクルーズ船を操縦するには、その船舶規模に合った海技士の乗組員が必要となります。
たとえば外洋を航行する大型船舶(5000トン以上)の操縦には1級海技士(航海)としての資格が必要で、そのほか機関部海技士や通信海技士の乗組員も欠かせません。
仮に海上保安官になるための学校を卒業していて、上記3~4級に相当する資格を持っていれば、将来性を見込んで就職が有利になることも考えられます。
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まとめ
海に関連した資格や仕事について詳しくまとめてきました。
ご覧いただいたように、海に関する仕事がしたい方は「小型船舶操縦士」と「海技士」の資格をチェックしてみてください。
どちらも船舶の操縦や乗り組には欠かせない資格となっていますので、保有していれば各所での就職が有利になるかと思います。
また、潜水士としての資格があればサルベージや海中土木作業をおこなう民間企業に好条件で就職できるかもしれません。
どの資格も持っておいて損はありませんので、興味がある方はより詳しく調べてみてはいかがでしょうか。