湘南でヨガインストラクターをしながら、プロロングボーダーとして活躍されていた小林雅仁さん。サーフィンとの衝撃的な出合いや、プロ引退後、ヨガを始めたきっかけについてインタビュー。さらに、ヨガが私たちの生活に与えてくれる力についてもうかがいました。
サーフィンを始めたきっかけ
少年時代の僕は身体が小さかったこともあり、どちらかというと何に対しても物怖じするタイプでした。ただ、「自分には負けたくない」っていう変な意地があったんでしょうね。学校のスイミング検定に受からないことがイヤで、近所の市民プールでひとり猛特訓していました。
サーフィンに出会ったのは、家族で湘南に引っ越してきたころ。僕が小学校を卒業したタイミングでした。ある日、サーファーの父から突然、5`6のショートボードとウエットスーツを与えられて海に放り出されたんです。サーフィンしたいなんてひとことも言ってないのに(笑)。何がなんだか分からないまま入ったのが、オンショアが吹きすさぶ鵠沼海岸。その日は一回もボードの上に立てず、幼心に悔しさを味わいました。
その悔しさがバネになり、それから毎日、学校帰りに海へ通うようになりました。学校→海→家→学校→海→家・・・のルーティーンです。当時、学校内でサーフィンをしている人は僕くらいでしたから、クラスメイトからは好奇の目で見られていたと思います。
そんなある日、いつも乗っていたショートボードからファンボードに変えてサーフィンしてみたら、あっという間に波に乗れるようになって。乗ったのは7`10の長さのファンボードでしたが、当時、僕の身長が150㎝弱だったので、僕にとってはロングボードと同じようなものでした。
海にはロングボーダーがたくさんいたので、その人たちを真似してウォーキングをしていました。僕が乗っていたのはファンボードでしたけど。それを毎日続けていたら、鵠沼・鎌倉ローカルの方が声をかけてくれて。「板削るよ」って、ロングボードを作ってもらったんです。中学2年生のころかな。そこから大会にも出るようになりました。
海外に認められ、15歳で初めてカリフォルニアへ
中学3年生のとき、鵠沼で開催された「NALU SURF MEET」で2位になったことがあって。そのサーフィンスタイルを「NALU」から評価されて、カリフォルニアに1週間、サーフトリップをさせてもらえることになったんです。
その大会には、海外から招待された、ロビー・キーガル、アレックス・ノスト、CJ・ネルソンといった名だたるロングボーダーが来日していました。彼らが僕のサーフィンを気に入って、カリフォルニアの撮影に呼んでくれたんです。その日々が最高でした。
サンクレメンテ、トラッセルズ、ニューポートなどの有名なサーフスポットでサーフィン。それだけでなく、憧れのサーファーたちとセッションしたり、彼らのサーフショップやボードの工房を見に行ったりして、カリフォルニアの海と街を堪能しました。その中でも特に凄かったのは、アレックス・ノストたちのライディングです。クラシックなシングルフィンのロングボードで、縦横無尽に、自由に自分たちのサーフィンを表現していました。日本では見たことのない、異次元なサーフィンに愕然としましたね。
カリフォルニアの経験を経た僕は、日本に帰ってきてから、さらにサーフィンにのめり込むようになりました。プロロングボーダーになるまで、僕はトライアルで3年間の下積みを経験しましたが、僕が使っていたのはカリフォルニアで出会ったサーファーたちと同じ。9`6シングルフィンのクラシックスタイルです。それでノーズライディングしていました。しかも、ノーリーシュです。
自分以外のコンペティターはほぼトライフィンで、ハイパフォーマンスボードを使っていましたから、自分は相当こだわりが強かったと思います。試合で波がデカいときは、よくボードを流してましたね(笑)。
でも、自分のサーフィンスタイルを崩す気はまったくありませんでした。その理由に、あのカリフォルニアでの経験があったのは間違いないです。
ヨガとサーフィンには、気づきを与える力がある
プロ引退後、インストラクターをしている友達に誘われたことがきっかけで、ヨガを始めました。それまではヨガに触れる機会なんてまったくなかったのですが、軽い気持ちで受けてみたんです。そうしたら、ヨガ中に五感が研ぎ澄まされていくのがはっきりとわかって。終わったあとの「ポワーン」と浮いていくような感覚に、サーフィンと同じものを感じました。
ヨガで集中している時間、それが終わったあとの穏やかな時間。すべてサーフィンの感覚と似通っているんです。面白い話なんですけど、サーフィンをやっていなかったら、この感覚にも辿り着けていないんじゃないかと僕は思っています。
すぐに、ヨガのインストラクターになりたいと思いましたね。「こんなに素晴らしいものなら、みんなに教えなきゃダメだ」と。そしてインストラクターになるために動きだし、大手ヨガスタジオ勤務を経て、フリーランスになり、現在に至ります。
経験して分かりましたが、ヨガとサーフィンには、人に気づきを与える力があるんですよね。
身体のメンテナンスや柔軟性の向上、体力アップ。ふたつとも、身体的なベネフィットだけに注目されがちですが、その本当の効能は、精神的なものにあります。
強くなりたいけどなれない人。優しくなりたいけどなれない人。忙しくて自分のことを考える余裕がない人。自分の中に何かモヤモヤを抱えている人。そんな状態のときは、身体と呼吸を整えると、心も整います。僕たちが使っている身体という「乗り物」をメンテナンスしてあげることで、人に優しくする愛だったり、変えられないことを受け入れる勇気だったり、何かしらの気づきをもらえる。それがヨガとサーフィンのいいところです。
僕もヨガ・サーフィンを通して、人間社会における自分の弱みや、心の中のウィークポイントに気づくことができました。主催しているヨガクラスでは、その両方の素晴らしさをみなさんに伝えられたらと思っています。ぜひ一度、受けにいらっしゃってください。
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小林雅仁 ヨガ・レッスンについて
- 場所:湘南T-SITE、鎌倉七里ヶ浜、青葉台
- レベル:初級〜上級
- その他:出張ヨガクラスも承ります
詳細は、下記の「小林雅仁オフィシャルサイト」からご確認ください。
https://www.masahitokobayashi.com/schedule
小林雅仁プロフィール
東京都出身、湘南在住。1991年生まれ。
父親の影響で12歳からサーフィンを始める。プロサーファーとして活動するかたわら、身体のケアのため、ヨガを生活に取り入れる。たちまちサーフィンに通ずる精神性・身体的な芸術性に魅了され、2018年よりヨガの指導者を志す。
大手ヨガスタジオでトレーニングを受け、年間約500本のクラス指導を行ったのち、フリーランスへ転向。ティーチングやアサナのスキルを身に付ける。現在は、16年以上のサーフィンライフから学んだ経験も活かしながら、湘南エリアを中心に活動中。
実績
- 2014年JPSA公認プロロングボーダー
- FiveElementsYoga® TTC 108時間 修了
メディア出演
- テラスモール湘南 メイン広告 「青の時間」モデル
- 大塚製薬 ボディメンテドリンク TVCM (才能編)ヨガするサラリーマン役 出演
- 雑誌 OCEANS 2020年8.9月合併号 “優しい時間” モデル出演