イモガイの特徴・生態!毒性や刺されたときの対処法など

この記事では、実に様々な種類が存在する「イモガイ」について詳しくご紹介していきます。

イモガイは人間を殺すほどの猛毒を持つ海の超危険生物です。

もともと温暖な気候を好むイモガイですが、日本では千葉県や神奈川県など関東の海でも見かけることが多々あります。

ここでは、そんなイモガイの種類や生息地、食性や毒性に関する情報をまとめました。

また、イモガイに刺された場合の症状や応急処置の方法も解説しているので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

イモガイとは?

イモガイとは「イモガイ科」に含まれる貝類のうち、イモガイ亜科またはイモガイ上科の「イモガイ型」をしている貝類の総称となります。

ひと昔前はすべてをイモガイと括っていましたが、現在はその生態においていくつかの種類に分類されるようになりました。

イモガイは野菜の「里芋」に似ていることからその名前が付けられています。

とはいえ、イモガイは全部で500種類以上存在するので、見た目や柄は種によってバラバラです。

ちなみにイモガイは別名「ミナシガイ」とも呼ばれていますが、これは殻の口から覗く本体部分がわずかしか見えないことに由来します。
(身がない貝の意味)

そんなイモガイの特徴は、やはり致死性の猛毒を持っているところです。

イモガイは食性によって大きく3グループ(魚食性・貝食性・虫食性)に分けられますが、どの種類も基本的には毒を持っています。

なお、人間が死んでしまうほど強い毒を持っているのは主に魚食性グループに含まれるイモガイです。

イモガイは口のあたりに矢のような形をした毒針を隠し持っていて、その毒針で魚やほかの生き物を殺して捕食活動をおこないます。

このようにイモガイは毒を持つ貝類なので、人間が食用として扱うことはありません。

医療分野におけるイモガイ

イモガイは非常に強い毒を持つ生物として危険視されていますが、その一方で医療分野ではイモガイの毒から薬品を作り出す研究がおこなわれています。

実際、すでにイモガイから抽出された成分で作られている「鎮痛剤」が実用化されていて、今後はモルヒネに代わって同薬品が使われていく可能性も高いそうです。

また、別種のイモガイの毒を使った研究では、神経細胞の回復に有効的といったデータもあります。

現在のところ治療薬がない病気に対して、イモガイ由来の成分がどういった効果をもたらすのか医療分野では注目を集めているところです。

装飾品・コレクションとしてのイモガイ

イモガイはその見た目や柄も特徴的な部分と言えます。

中にはとても珍しい柄や美しい柄のイモガイが存在し、昔はその貝殻をコレクションとして集めている収集家がいたそうです。
(現在でも希少種の貝殻には一定の価値がある模様)

また、古代の遺跡からはイモガイの貝殻を使った装飾品なども出土しています。

イモガイの天敵

イモガイの天敵は、硬い殻を持つエビやカニといった甲殻類の生き物です。

非常に強い毒を持つイモガイたちですが、相手の殻が硬ければ毒針を刺すことができません。

そのため、貝食性の甲殻類生物はイモガイたちにとっての天敵となり得るわけです。

イモガイの種類

前述の通り、イモガイの仲間は世界中に500種類以上存在します。

そのうち日本でも100種類以上のイモガイが観測されていますが、中でも代表的なイモガイは以下の3つです。

・アンボイナ
・ベッコウイモガイ
・タガヤサンミナシ

ここではそれぞれの特徴を簡単にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

〇アンボイナ

「アンボイナ」はギネスブックに掲載されるほど有名なイモガイで、その毒の強さはイモガイの中でもトップクラスです。

アンボイナは海外で「葉巻貝(cigarette snail)」と呼ばれていますが、これはたばこ1本を吸い終わるうちに毒が全身を巡って死亡することから名付けられています。

なお、日本でもアンボイナによる死亡事例は少なくありません。

特に沖縄県ではアンボイナによる被害が多く、昔から「ハブイナー(ハブのような毒を持つ貝)」と呼ばれ恐れられています。

ちなみにアンボイナが毒針を発射する力はウェットスーツやラッシュガードを突き破るほど強力です。

〇ベッコウイモガイ

ベッコウイモガイは千葉県の館山近海、神奈川県の三浦半島などでも目撃されているイモガイの仲間です。

アンボイナほど強力な毒は持っていませんが、それでも人間が刺された場合には患部が赤く腫れあがり強烈な痛みを引き起こします。

なお、ベッコウイモガイは殻長6cm~7㎝程度なので、そこまで大きくはありません。
(アンボイナは殻長10cm以上)

とはいえ、危険な生物であることに違いはないため、無闇に触れないよう気を付けましょう。

〇タガヤサンミナシ

タガヤサンミナシは貝食性のイモガイです。

魚食性のアンボイナやベッコウイモガイとは生態が異なるものの、同じ神経毒を持っているので注意が必要となります。
(実際に死亡事例もある)

タガヤサンミナシは夜行性なので、昼間に見かけることはほぼありません。

なお、その名前は「タガヤサン=鉄刀木」という東南アジア原産の木に似ていることが由来とされています。

イモガイの特徴・生態

ここからはイモガイの生息地・食性・毒性など、詳しい生態をご紹介していきます。

生息地

イモガイは暖かい気候の海域を好む生き物です。

特にサンゴ礁がある熱帯域には多くのイモガイが生息しています。

日本においては千葉県の房総半島より南側、または能登半島より南側に生息していますが、やはり数が多いのは沖縄県や鹿児島県の沿岸部となります。

なお、沖縄県では100種類以上のイモガイが観測されているため、ダイビングやシュノーケリングをするときには注意が必要です。

食性

500種類以上が存在するイモガイですが、食性はすべて肉食性となっています。

ただし、イモガイたちには食の好みがあり、生物学的には主食とするもので魚食性・貝食性・虫食性の3つにグループ分けするようです。

なお、食性に若干の違いはあるものの、捕食スタイルはどの種類も変わりません。

基本的にはエサとなる相手が近づくのを待って毒針を打ち込み、相手がマヒ状態もしくは死亡してからゆっくりと食べます。
(中には自ら出歩き捕食するイモガイも存在する)

毒性

イモガイの毒性は非常に強く、アンボイナに至っては「インドコブラの37倍」もの毒を持っています。

ほかのイモガイに関しても毒性が強い種類であれば「大人30人」を殺せるほどの毒を持っていますので、無闇に触れることは非常に危険と言えるでしょう。

もちろんこれまでにイモガイが原因で死亡した事例も少なくありません。

イモガイが持っているのは神経毒で、刺されると腫れ・炎症・発熱に加えて眩暈や呼吸困難などの症状が現れます。

また、刺された直後には症状が出ず、少し時間が経ってから重篤化するケースもあるので非常に厄介です。

イモガイに刺されたときの対処法

イモガイによる死亡者が多いのは、それぞれの種類に対応した血清が存在しないからです。

そのため、イモガイに刺された場合は毒が抜けるまで耐えるしかありません。

症状が悪化しないために人工呼吸器を使うこともありますが、基本は自己代謝で解毒がおこなわれるのを待つ形となります。

なお、万が一イモガイに刺された場合は傷口から見て心臓側に近いところの血管を紐などで圧迫してください。

心臓に近い方の血管を圧迫することで、多少は毒の回りを遅らせられます。

あとはすぐに病院で診察を受けて、適切な処置を施してもらいましょう。

※病院での治療や経過観察を受ければ死亡するリスクが下がります。逆に放っておくのは厳禁です。

まとめ

非常に強い毒を持つ海の危険生物「イモガイ」について詳しくまとめてきました。

ご覧いただいたようにイモガイの毒はとても強力なので、刺された場合にはすぐ病院で治療を受けましょう。

イモガイの中には見た目がキレイな種類も存在しますが、決して無闇に触れてはいけません。

特にイモガイが観測されている海岸では、打ち上げられている貝殻でも安易に触らないよう気を付けてください。

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