しじみの特徴・生態!種類・生息地や旬についても

この記事では日本人にとって馴染み深い「しじみ」の特徴や生態をご紹介していきます。

しじみは味噌汁の具材としてよく使われる二枚貝の一種です。

基本的には汽水域に生息する貝となりますが、種類によっては淡水域を生息地とするしじみも存在します。

ここでは、そんなしじみの種類や産地、食性や繁殖方法などを詳しくまとめてみました。

また、しじみの栄養素や美味しい食べ方についても解説していますので、ぜひ最後まで目を通していってください。

しじみとは?

しじみは「二枚貝綱異歯亜綱シジミ科」に属する二枚貝をまとめた呼び方です。

実際にはいくつかの種類が存在し、日本では主に3種類のしじみが現存しています。

ちなみにしじみという名前の由来は、二枚貝の中でも特に小さいことから「縮み」⇒「ちじみ」⇒「しじみ」となった説が有力のようです。

しじみは本体となる軟体部分を2枚の貝殻で挟み込む形をしています。

貝殻に現れる同心円状の模様によってある程度は成長の度合いが判別可能です。

また、しじみの本体には足や外套膜、水管やエラが付いています。

しじみは足を使って砂泥の水底に侵入し、外套膜から出る分泌物によって貝殻を大きく成長させていきます。

なお、水管とエラは呼吸のために使われていますが、しじみのエラは呼吸だけでなくエサを食べる役割も果たしているところが特徴的です。

どんな栄養がある?

しじみには人間にとって必要なナトリウムやカルシウム、マグネシウムや亜鉛といった栄養素が豊富に含まれています。

また、しじみの代名詞とも言えるのがオルニチンです。

日本人が食べる食材の中で、オルニチンをもっとも多く含んでいるのがしじみとなります。

オルニチンは血液に溶け込みながら体中を巡る「遊離アミノ酸」の一種です。

肝臓に届いたオルニチンはアンモニアの解毒作用をサポートし、これによって肝臓の疲労を抑える役目を担っています。

毒はある?

栄養素がとても豊富なしじみですが、一方で貝毒を蓄積する危険性も指摘されています。

しじみのような二枚貝は有毒な植物プランクトンを摂取することで生態濃縮を起こします。

しじみでは「麻痺性貝毒」を含むケースがあり、貝毒の含有量が多いしじみを大量に食べた場合には手足のしびれなどの症状が現れる危険性もあるとのことです。

過去には大阪府・淀川の下流部で、麻痺性貝毒の含有量が国の基準値を超えるしじみが見つかり問題となっています。

とはいえ、こうしたしじみでも2〜3個食べたくらいで貝毒にあたることはありません。

上記の淀川で採れたしじみの場合は「およそ500g〜3,500gの剥き身」を食べると致死量に達すると計算されていますが、これはしじみ約500〜3,500個分に相当する量です。

※少量の摂取でも軽微な貝毒症状が出る恐れはあるので、注意喚起がおこなわれているしじみは食べないようにしましょう。

普段の生活でこれほど大量のしじみを食べる機会はなく、またスーパーで売られているようなしじみは定期的に検査を受けているため安心して食べられます。

主な産地は?

日本でしじみの一大産地となっているのは島根県の「宍道湖」です。

国内に流通するしじみのうち、4割程度は島根県産のしじみとなっています。

そのほか、しじみの漁獲量が多いのは青森県・茨城県・北海道となりますが、3つの道県のしじみ漁獲量と島根県のしじみ漁獲量はほぼ同じくらいです。

つまり、それだけ島根県はしじみの産地として重要な役割を果たしているわけです。

しじみの種類

日本に生息しているしじみの種類は「ヤマトシジミ」「マシジミ」「セタシジミ」の3種類です。

見た目はほとんど一緒ですが、生態に関してはそれぞれ大きく異なります。

・ヤマトシジミ
日本で流通しているシジミの9割以上を占めるのがこちらのヤマトシジミです。
ヤマトシジミは古来より日本に生息する固有種であり、全国各地の湖などに生息しています。
なお、ヤマトシジミは雌雄異体です。

・マシジミ
水田近くの小川など淡水域に生息し、雌雄同体という特徴を持つのがマシジミです。
国内での漁獲量が著しく減っている種類であり、一般的な販売ルートで見かけることはほぼありません。

・セタシジミ
セタシジミは琵琶湖固有のしじみ種です。
しじみの中では比較的水中の深いところ(水深10m程度)を好みます。
雌雄異体で7年〜8年の寿命を持つとされています。

しじみの特徴・生態

ここからはしじみの生息地・食性・繁殖方法といった詳しい生態を解説していきます。

生息地

しじみが生息するのは水深0.5m〜3mくらいの浅い湖底です。

季節によって生息する水深が変わり、夏の方が浅いところで見かけやすいといった特徴を持っています。

しじみは種類によって汽水性と淡水生が分かれます。

汽水性のしじみは塩分濃度が0.3%〜1.5%くらいの水域でしか生きられないので、塩分濃度が高い海(塩分濃度およそ3%〜4%)や塩分がない河川や湖には生息していません。

汽水性のしじみとして有名なヤマトシジミは島根県の宍道湖、北海道の網走湖、青森県の十三湖などを主な生息地としています。

なお、しじみの中には特定の湖にしか生息していない種類も存在し、その代表的なものがセタシジミです。
(セタシジミは琵琶湖固有の種類として扱われています)


食性

しじみは「草食性」および「デトリタス食性」を持つ二枚貝です。

主食となるのは植物プランクトンですが、そのほかにも生物の死骸や排泄物といったデトリタス(有機物粒子)を摂取しています。

ちなみにしじみは水中を漂うブランクトンやデトリタスを一度体内に摂り込み、エラで濾した上で食べられるものと食べられないものを分けています。

食べられないものを排出するためにはエネルギーを使うことになるので、水質が悪い環境ではしじみが十分に育たないわけです。

繁殖

しじみには雌雄異体の種類と雌雄同体の種類が存在します。

雌雄異体であるヤマトシジミの場合は、オスとメスがそれぞれ出水管から放精と放卵をおこないます。

水中で受精した卵はしばらく浮遊を続けた後に、二段階の幼生を経て成体へと育っていくそうです。

なお、しじみが繁殖活動をおこなうのは主に7月〜9月の期間となっていて、暖かい時期の方が成長するスピードが早いと考えられています。

そんなしじみの寿命はだいたい7年〜10年です。

しじみのような二枚貝は長い寿命を持つところが特徴的であり、小さな身体のしじみでもそれなりに長命な生き物となっています。

しじみの旬と美味しい食べ方

しじみの旬は産卵を迎える前の6月〜7月の時期と、冬を越すために栄養をたっぷりと蓄えた1月〜3月の時期です。

しじみの美味しい食べ方としては、やはり味噌汁や潮汁が挙げられます。

また、しぐれ煮や佃煮に使うのも定番の調理法と言えるでしょう。

そのほかのアレンジ料理としては「しじみの酒蒸し」「しじみのガーリックバター焼き」「しじみの炊き込みご飯」「しじみのパスタ」「しじみ出汁ラーメン」などがおすすめです。

まとめ

日本人の食卓に欠かせない「しじみ」の特徴や生態を詳しくご紹介してきました。

しじみは汽水域または淡水域に生息する二枚貝で、日本では島根県の宍道湖が一大産地となっています。

オルニチンをはじめたくさんの栄養素を豊富に含んでいるところがしじみの魅力なので、ぜひ様々な料理に使ってみてください。

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