海洋深層水のイメージ

スーパーやコンビニなどで「海洋深層水」と表記されたミネラルウォーターを見たことがある方は多いと思います。

しかし「海洋深層水がどういった特徴を持ち、他のミネラルウォーターと何が違うのか?」を具体的に知っている方は少ないかもしれません。

そこで、この記事では「海洋深層水とは何か?」「海洋深層水の取り方(採取)や活用例」について詳しくご紹介していきます。

海洋深層水には「無機栄養塩が豊富」「低温安定性に優れている」「清浄性が高い」といった特徴があり、近年では飲料だけでなく美容品などにも使われるようになりました。

そんな海洋深層水の魅力を解説していますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

海洋深層水とは?

海洋深層水とは、海洋学的に「水深200m以下にある海の水」のことを指す言葉です。

海には微生物や植物プランクトンなど、様々な生命体や細菌が存在しています。

しかし、こうした生物たちが存在できるのは基本的に太陽の光が届く「水深200m前後」までと言われていて、そこからさらに深い海の中では光合成がおこなわれないためキレイなままの海水が層になっているわけです。

この水深200m以下にある海水が「海洋深層水」となりますが、深海の水は温度の変化が起こりにくいといった特徴を持っています。

ちなみに太陽の光がまったく届かない水深1000mの深海では、海水の温度が5℃前後に保たれるとのことです。

また、深海の水には表層の海水よりも大きな圧力が掛かっているため、体積が圧縮された海水が溜まる形となっています。

グリーンランドなどの寒冷な地域で冷やされて沈み込んだ海水は海流によってインド洋や太平洋まで移動し、暖かい海域に辿り着くと段々浮上していき深層水同士での循環が生まれます。

これを海洋の大循環とも呼びますが、グリーンランドの深層水が南極・インド洋・太平洋まで移動するには片道2000年かかるそうです。

もちろん日本近海の深層水もこうした循環の一部として流れ着いたものであり、飲料として飲んでいる海洋深層水は数百年~数千年の時間を掛けて遠い北極や南極からやってきた水ということになるわけです。

なお、海洋深層水は地球規模でも循環しますが、特定の海域において循環を繰り返しているものもあります。

そのひとつが日本海の海洋深層水です。

日本海の水深1000mあたりでは、ウラジオストック沖で冷えて沈み込んだ海水が南下して海洋深層水の循環がおこなわれています。

これを「日本海固有水」と呼びますが、新潟県などの取水施設で汲み上げられ様々な用途に使われているとのことです。

海洋深層水の特徴

海洋深層水のイメージ

それでは次に海洋深層水の特徴を具体的に解説していきましょう。

海洋深層水の主な特徴は低温安定性・富栄養性・清浄性・熟成性・ミネラル特性の5つです。

低温安定性

太陽の光が届かない深海では海水温の変化がほとんど起こりません。

一例として高知県の取水施設で汲み上げている海洋深層水の温度は1年を通じてだいたい9.5℃と一定です。

海水温が低温かつ安定した状態にあると海水の無機化が進みます。

そのため、人体に有害な細菌なども繁殖せず簡単なろ過だけで飲料として使えるわけです。

富栄養性

海洋深層水には浅い海の水と比べて豊富な栄養素が含まれていますが、これは深海に栄養素を必要とするバクテリアや植物プランクトンなどが存在しないからです。

また、表層から沈んできた魚の死骸などが分解されて発生した栄養塩がそのまま溜まっていくこともひとつの要因として考えられます。

ちなみに海洋深層水に多く含まれているのはリンやケイ酸といった無機栄養塩です。

海洋の循環によって深層水が表層に浮上すると、こうしたリンやケイ酸を必要とする植物プランクトンが増殖します。

植物プランクトンが増えればそれをエサとする魚なども増えるため、結果的に良い漁場が作り上げられるということです。

清浄性

水深200m以下の深海では細菌の繁殖活動がほぼ起こらないため海水がキレイなままでいられます。

また、生活排水や有害な化学物質が流れ込むこともないので非常に高い水質を保ち続けられるわけです。

ちなみに雑菌の量などを海洋深層水と表層の海水で比べてみると、その数は1/1000以下になると言われています。

熟成性

先ほども少し触れたように海洋深層水には表層の海水よりも大きな圧力が掛かっています。

また水温が低いこと、細菌が繁殖しづらいことから海水自体の性質が安定するといった特徴を持っています。

その結果、長い時間キレイなままの水質で循環している海洋深層水は熟成性にも優れた水として活用されているわけです。

ミネラル特性

海洋深層水はミネラルが豊富に含まれているところも特徴のひとつに挙げられます。

ちなみにミネラルとはマグネシウムやカルシウム、鉄などの無機栄養素の総称です。

人間は体内でミネラルを生み出すことが出来ません。

そのため、経口摂取によってミネラルを補わなければいけないのですが、海洋深層水は手軽にミネラルを補給できるものとして活用されています。

海洋深層水の取り方

日本には全部で19ヶ所の海洋深層水の取水施設があります。

その多くで採用されているのが「陸上型方式」と呼ばれる取水方法です。

この方法では海底に取水管を設置し、ポンプによって陸上まで深層水を汲み上げています。

なお、陸上型方式による海洋深層水の汲み上げは陸地から急激に海底が深くなる場所の方がコストも安くなるため適していると言われています。

実際に日本の取水施設のほとんどが上記のような場所に設置されているとのことです。

海洋深層水の活用例

海洋深層水はただ飲むだけでなく食品や美容化粧品などにも活用されています。

また、水産加工や農業、エネルギーといった分野でも海洋深層水の特徴を活かした利用方法が研究されています。

○海洋深層水の活用例
・飲食品
・美容化粧品
・医薬品やセラピー
・農業での肥料や温度調節
・エネルギー開発
・魚介類や藻類の養殖

海洋深層水にはミネラルが豊富に含まれていると伝えましたが、農業ではその海洋深層水を肥料として与え野菜の品質向上に利用しています。

また、熱帯の地域では低温安定性という特徴を活かして施設の温度調節に海洋深層水を使っています。

さらにミネラルが豊富な海洋深層水は魚介類や藻類の養殖にも利用されていますが、海洋深層水で養殖したアオノリやマコンブは通常のものより栄養価や旨み成分が数倍になるとのことです。

ほかにも海洋深層水と表層の海水との温度差を利用した発電技術や海洋深層水を取り入れた「タラソテラピー」など、様々な分野に活用されています。

まとめ

「海洋深層水とはどういったものなのか?」をテーマにその特徴や活用方法などを詳しくご紹介してきました。

ご覧いただいたように海洋深層水とは太陽の光が届かないほど深海に漂う海水を指す言葉です。

太陽の光が届かないことから水温が一定であり、そのおかげで細菌の繁殖も抑えられてクリーンな水質であるという点が海洋深層水の主な特徴となっています。

また、ミネラルや無機栄養塩を豊富に含み、自然の漁場や人工の養殖技術に活用されているといった部分も海洋深層水ならではの特徴と言えるでしょう。

普段知らないうちに海洋深層水で育てられた魚介類や海苔、昆布や野菜などを口にしているかもしれませんので、ぜひ買い物をする際には産地や養殖技術などに目を向けてみてください。

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