この記事では、よく天気予報やニュースなどで見聞きする「高気圧」について解説していきます。
高気圧とは周囲よりも気圧が高い状態を指す気象用語です。
気圧が高くなる原因にはいくつかの要素が含まれますが、一般的に高気圧では上空から地表に空気が流れ、その過程で雲をどけることから晴天になりやすいとされています。
ただし、気温が高くなる夏の高気圧では積乱雲が発生することもあり、こうした場合には局地的に雨をもたらすケースも珍しくありません。
ここでは、ご覧のような高気圧の特徴や種類、低気圧との違いなどを分かりやすくまとめました。
高気圧とはどういった状態なのか?高気圧だとどういった天気になりやすいのか?といった部分に興味がある方は、ぜひ参考にしていってください。
高気圧とは何?
高気圧とは周囲よりも気圧が高い状態を指す言葉です。
なお、一般的には「1気圧=1013hPa(ヘクトパスカル)」とされていますが、高気圧は1気圧よりも高い・低いということではありません。
あくまでその周辺よりも気圧が高ければ「高気圧」として扱われますので、場合によっては1気圧よりも気圧が低い高気圧も存在します。
また、高気圧が発生している地域では天気が晴れやすいというのも特徴のひとつです。
なぜ高気圧だと晴れやすいのか?については後ほど詳しく説明しますが、まずは「気圧」に関する基本的な知識を見ていきましょう。
気圧が高い・低いとは?
天気予報などでよく目にする「高気圧」「低気圧」というのは大気の様子を指す言葉です。
そもそも「気圧」とは空気がモノを押す力のことで、地上に対して空気の圧力が高まっている状態を「高気圧」と呼びます。
また、気圧が変化する要因には「温度」「湿度」などが挙げられ、これらによって空気の密度や重さが変わることで高気圧や低気圧が発生します。
ちなみに高気圧・低気圧を理解する上で知っておきたいのは「冷たい空気の塊は重い」「暖かい空気の塊は軽い」という点です。
このことを踏まえた上で、次は気圧によって生まれる風の流れを説明していきましょう。
高気圧の風の流れ
気圧が高い場所(=高気圧)では、その中心から外側に向かって空気が押し出されます。
また、低気圧によって上昇した空気が高度の高い場所で冷やされ、冷たい空気の塊となって地上に降りてきて「下降気流」を生じるというのが高気圧の特徴です。
・高気圧では外側に向かって風が流れる
・高気圧では上から下に向かって空気が流れる
簡単に言えば、高気圧な場所から低気圧な場所へと空気が移動することで生まれるものが「風」です。
当然、高気圧と低気圧の気圧差が大きければ動く風の量や力も増えるので強風になりやすいという部分も覚えておきましょう。
なお、低気圧が発生しているところでは中心部に向かって空気が収束するため、低気圧の中心に近い場所ほど風が強くなります。
しかし、高気圧の場合は外側に向かって空気が拡散されるので、中心部に近い場所ほど強風が吹くといった現象が起きません。
高気圧の天気の特徴
高気圧に覆われている場所では、一般的に空が晴れやすいとされています。
これは上空から降りてくる空気の力で雨を発生させる「雲」をどかすからです。
そのほか、陸上で発生した高気圧の場合は空気中に含まれる水分量が少ないため雲を形成しづらいといった要因もあります。
ただし、地上から遠く離れた上空で冷たい空気の塊(寒気)が集まっている場合は、温度の差によって積雲が発生しやすくなります。
また、海上で発生した水分量の多い高気圧は湿った空気をまとっているため、雲が発生しやすく気温によっては雨が降ることも珍しくありません。
なお、天気が晴れることで暖められた空気が上空へ移動し、そのあと温度差によって冷やされ水や氷に変わっていくと「雲」になるわけですが、こうした現象が顕著に表れているのが「夏の青空に広がる入道雲」です。
夏に夕立が多く見られるのは、こうした水分を含む入道雲(積雲)ができやすいからと言えます。
高気圧の種類
高気圧には様々な種類がありますが、ここでは日本の近くで発生する「太平洋高気圧」「オホーツク海高気圧」「シベリア高気圧」「移動性高気圧」の4つをご紹介していきます。
それぞれの特徴や発生場所などを簡単に説明していきますのでご覧ください。
太平洋高気圧
太平洋高気圧とは名前の通り「太平洋上」で発生する高気圧のことです。
太平洋高気圧には「北太平洋高気圧」と「南太平洋高気圧」の2つがありますが、日本の天気予報などで太平洋高気圧と呼ばれているのは前者の方となります。
そんな太平洋高気圧の中心はハワイあたりにあり、そこから東西に広がって大きな高気圧を形成します。
この高気圧のもとでは乾燥した気候になりやすいというのが特徴のひとつです。
また、日本においては太平洋高気圧の影響によって夏の天気が決まりやすく、さらに冬になっても勢いが強い場合には北から南下してくる寒気の移動を妨げ、暖冬になる可能性が高まります。
オホーツク海高気圧
6月~7月ごろにかけて北海道・北東部のオホーツク海から流れ込んでくる高気圧を「オホーツク海高気圧」と呼びます。
このオホーツク海高気圧の特徴は下層に冷たい空気の塊を伴っているところです。
南下してきたオホーツク海高気圧と西から東に吹く風(やませ)が組み合わさると気温が下がりやすく、結果として天気を崩す原因となります。
また、オホーツク海高気圧によって悪天候が続くと「農作物などに悪影響」を与えるため好ましくありません。
ただし、オホーツク海高気圧の発生頻度や勢力は年度によってバラバラで、頻繁に発生する年もあればほとんど発生しない年もあります。
シベリア高気圧
冬の間にシベリア付近で発生する高気圧を「シベリア高気圧」と呼びます。
日本においてはシベリア高気圧の発生頻度や勢いによって冬の天気が決まりやすいというのが特徴的な部分です。
また、シベリア高気圧が発生するころになると、その東側に「アリューシャン低気圧」が発生するようになります。
シベリア高気圧とアリューシャン低気圧により、いわゆる「西高東低」と呼ばれる冬型の気圧配置が形成されると大きな「寒気」が生まれ、結果として大雪を降らせる原因となります。
移動性高気圧
移動性高気圧とは、名前の通りひとつの場所に留まらず移動する高気圧のことを指します。
温帯低気圧と共に移動するものが多く、等圧線の形が楕円形や長方形になりやすいところが特徴的な部分です。
移動性高気圧は主に春や秋に見られるもので、日本の場合は晴れの日になりやすい気圧配置と言えます。
ちなみに「移動性」という言葉が使われるのは基本的に高気圧だけであり、低気圧に対して使われることはほぼありません。
(低気圧は移動することが普通であるため)
高気圧と低気圧の違い
ここまでにも高気圧と低気圧の違いについては度々触れてきましたが、その内容を踏まえながら2つの特徴をご紹介していきます。
・空気が地表を押す力が強い場合は「高気圧」
・空気が地表を押す力が弱い場合は「低気圧」
・空気が上から下に流れる(下降気流)のが「高気圧」
・空気が下から上に流れる(上昇気流)のが「低気圧」
・高気圧では風が外側に向かって流れる
・低気圧では風が中心部に向かって流れる
このほか、低気圧では寒冷前線や温暖前線を形成しますが、高気圧では前線を形成しないといった違いもあります。
また、気圧の変化によって体調を崩しやすいのは低気圧の場合が多いというのも相違点のひとつです。
(ただし気圧による体調変化は高気圧でも起きる可能性がある)
関連記事:低気圧とは何?種類や高気圧との違いなど
まとめ
天気に晴れをもたらすことが多い「高気圧」について解説してきました。
また、高気圧の種類に関してもご紹介してきましたが、ご覧いただいたようにそれぞれの高気圧には異なる特徴があります。
高気圧と低気圧がぶつかることで天候が変わったり気温が変わったりするわけですが、日本の周りには色々な高気圧・低気圧があるので四季折々の季節感を楽しめるようになっています。