低気圧とは何?種類や高気圧との違いなど

この記事では「低気圧がどういったものなのか?」「どうして低気圧が発生するのか?」などの疑問を解消するために、低気圧の基本概要や低気圧のメカニズムをご紹介していきます。

低気圧とは周囲よりも気圧が低くなっている場所を指す言葉です。

一般的に低気圧が発生すると天気が崩れやすくなると言われていますが、これは「気圧が低い場所には雲が生まれやすい」ということに由来します。

ここでは、上記のような気圧と天気の関係や低気圧によって身体が不調になる原因なども分かりやすくまとめました。

これまでに「低気圧が近づくと体調が悪くなる」という経験がある方は、ぜひこちらでその原因や対処法をご覧になっていってください。

低気圧とは何?

それではまず、低気圧の基本概要から説明していきましょう。

「低気圧」とは、その周囲よりも気圧が低い場所を指す言葉で、反対の意味として「高気圧」という言葉もあります。

なお「気圧が低い」「気圧が高い」とはどういったことなのか?を知るためには、気圧の概念から理解しなければなりません。

そもそも「気圧」とは?

気圧とは、大気中に浮かぶ空気が地面を押し付ける力のことを指します。

空気が地面を押し付ける力が強ければ「気圧が高い=高気圧」となり、逆に空気が地面を押し付ける力が弱ければ「気圧が低い=低気圧」となるわけです。

当然、空気が密集していれば重量が増えるので高気圧になりやすく、空気の密度が少なくなれば低気圧になりやすいと言えますが、空気の重さには密度以外に温度が関係してきます。

・冷たい空気は重い
・暖かい空気は軽い

冷たい空気は暖かい空気よりも重いので、集まると地面を押す力が強くなります。(=高気圧)

逆に暖かい空気は冷たい空気よりも軽いので、地面を押す力が弱まるわけです。(=低気圧)

低気圧による空気の流れ

「暖かくて軽い空気」が集まると必然的に低気圧が形成されますが、低気圧のもとでは集まった空気が「上昇気流」になって上がっていきます。

・低気圧は中心ほど気圧が低い
・気圧が低いところに風が集まる
・集まった風(空気)は中心でぶつかり上空へと移動する

反対に高気圧だと「下降気流」が発生して空気は上から下へと移動します。

この流れによって地球上には空気の流れが生まれ、結果として「風」が吹くようになるわけです。

ちなみに天気予報などで「低気圧」「高気圧」という言葉をよく見聞きしますが、具体的に「○○ヘクトパスカル以下が低気圧」とは決まっていません。(高気圧も同様)

その周囲よりも気圧が低ければ低気圧と呼び、反対であれば高気圧と呼ぶことになっています。

低気圧の天気の特徴

「低気圧=天気が崩れやすい」というのが一般的な認識となりますが、なぜ低気圧だと天気が悪くなるのか?という点を簡単に説明していきましょう。

低気圧になると中心に向かって風が吹き、そのあと空気は上空に向かって上がっていきます。

この際、地上近くの水分を含んだ空気も上がっていくことになるので、その結果として空には「雲」が発生するわけです。

なお、日本では6月~9月ごろにかけてよく「台風」が発生しますが、これは日本から見て南側の海上で「暖かくて湿った空気」を大量に含んだ低気圧が生まれるからです。
(こうした台風の原因となる低気圧を「熱帯低気圧」と呼ぶ)

また、低気圧は「北半球では反時計回りで風が中心に向かって吹く」「南半球では時計回りで風が中心に向かって吹く」という特徴があり、その中心部の下(地上)では雨が降りやすくなります。

ただし「低気圧=絶対に雨が降る」というわけではなく、発生した場所やその地形によっても天気が変わってきます。

低気圧の種類

低気圧には大きく分けて「熱帯低気圧」「温帯低気圧」「寒冷低気圧」の3つがあります。

ここでは、そのうち「熱帯低気圧」「温帯低気圧」の2つに関する情報をまとめましたのでご覧ください。

熱帯低気圧

熱帯低気圧とは「亜熱帯~熱帯」の海上で発生する低気圧のことです。

大雨・強風・高潮などを引き起こすところが特徴として挙げられ、日本においても台風発生の原因となっています。

ちなみに熱帯低気圧は海水の温度が約26℃以上の海上でしか発生しません。

つまり陸上で熱帯低気圧が生まれることはないわけです。

また、熱帯といっても緯度が5度内となる赤道近くでは発生しづらく、5度~25度くらいの緯度内で発生することが多いとされています。

なお、もっとも熱帯低気圧が発生するのはフィリピンの東側、またはベトナムの東側にあたる海域です。

この海域で発生する熱帯低気圧は全体の3割以上を占めます。

そのほか熱帯低気圧の特徴には「暖気のみで形成されているため前線を伴わない」「水温が低い海域、または水分の蒸発が少ない陸上では力が弱くなる」といった点が挙げられます。

温帯低気圧

温帯低気圧とは冷たい空気と暖かい空気が混じり合ったときに発生する低気圧のことです。

日本における低気圧の大半はこの温帯低気圧を指し、普段から天気予報などで見聞きする低気圧は「温帯」を抜かした表現となります。

そんな温帯低気圧の特徴は熱帯低気圧と異なり「寒冷前線と温暖前線を伴うところ」です。

北半球で発生した温帯低気圧の場合は、中心から見て「南西側に寒冷前線」「南東側に温暖前線」を作ります。

発生当初、南西側にあった寒冷前線は半時計回りで南東~東に移動し、その途中で温暖前線とぶつかり閉塞前線となります。

なお、寒冷前線が通過する際には気温が下がりやすく、温暖前線が通過する際には気温が上がりやすいというのもひとつの特徴です。

ちなみに熱帯低気圧の場合は中心に近い場所ほど天気が崩れやすくなりますが、温帯低気圧の場合は各前線付近でも天気が悪くなりやすいといった性質を持っています。

低気圧と高気圧の違い

高気圧は低気圧とまったく反対の現象が起きます。

たとえば低気圧では中心部に向かって空気が集まりますが、高気圧では周囲の気圧が下がる(空気が薄くなる)ため、外側に向かって空気が吹きだしていきます。

なお、低気圧では天気が崩れやすく、高気圧だと空が晴れやすいというのが一般的な認識だと思いますが、これは上空にある空気が降りてくる過程で雨雲をどかすからです。

また、同じ理由によって低気圧では寒冷前線や温暖前線を形成しますが、高気圧では前線を作ることがありません。

関連記事:高気圧とは何?種類や低気圧との違いなど

低気圧不調とは?

気圧の変化によって心身に不調をきたすというのが「低気圧不調」です。

こうした天候や自然現象によって起きる不調を「気象病」とも呼びます。

低気圧不調の症状としてよく現れるのは「頭痛」「めまい」「耳鳴り」などですが、人によっては「腰痛」や「関節痛」を訴えるケースもあります。

また、気分が落ち込んだり無意識のうちにイライラしたりするのも症状のひとつです。

そんな低気圧不調が起きるメカニズムは「気圧の変化によって体内の水分バランスが崩れる」⇒「血管の拡張や自律神経の乱れが生じる」⇒「様々な不調を感じる」といった流れになっています。

低気圧不調を改善するためには「自律神経を整えること」が大切であり、日々の生活から適切な睡眠時間とバランスの良い食事を摂るよう心掛けましょう。

まとめ

天気予報やニュースなどでよく見聞きする「低気圧」について解説してきました。

ご覧いただいたように低気圧にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる性質を持っています。

ただし「空気が上昇気流となって上がっている」「空気が中心部に向かって吹いている」というのはすべての低気圧に共通する部分です。

日本は南側からの低気圧の影響によって大雨や台風が起こりやすい国なので、日ごろからできるだけ気圧の移り変わりをチェックしておきましょう。

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