ポンポン船の仕組みとは?簡単な作り方も紹介

この記事では昔懐かしいおもちゃのひとつ「ポンポン船」をご紹介していきます。

水蒸気の力を使い、ポンポンと音を鳴らしながら水上を進むおもちゃがポンポン船です。

もともとは同じ原理を使って実際の海を航行していた水蒸気船がベースとなっていますが、その仕組みが理科や化学の勉強に適しているということでおもちゃとして発売されるようになりました。

ここでは、そんなポンポン船の仕組みや簡単な作り方なども解説しています。

色々と工夫すればオリジナルのポンポン船を作ることもできますので、ぜひ大人も子供も一緒になってポンポン船を作ってみましょう。

ポンポン船とは?

ポンポン船とは昭和初期のころに流行ったおもちゃ、またはその原型となった水蒸気船のことを指します。

ここではおもちゃの方のポンポン船について解説していきますが、当時は子供たちが池や川などでポンポン船を浮かせている姿がよく見かけられました。

そんなポンポン船はれっきとした科学に基づいたおもちゃです。

船体には水を入れる管とボイラー室の役割をするスペースが設置されていて、火が付いたロウソクをボイラー室に入れると管の中の水が気化し「水蒸気の力によって推進を始める」といった構造をしています。

このとき、管から放出される水蒸気によって細かくポンポンといった音が鳴るのでポンポン船と呼ばれているわけです。

当時の子供たちにとっては火を使うという非日常的な行為、その上で簡単に動く船のおもちゃは大変珍しく、とても面白いものに感じられたのだと思います。

そして、そんなポンポン船は令和時代のレトロブームに乗って最注目をされようとしています。

ということで、次はおもちゃのポンポン船に関する歴史を見ていきましょう。

ポンポン船の歴史

ポンポン船のもととなる水蒸気船が登場するのは1890年代のことです。

トマ・ビオというフランス人が最初にポンポン船の原型となるおもちゃを作り、1891年にはイギリスでその特許を取得したことが記録されています。

ちなみにこのときのポンポン船は「ポンポン」という音がしなかったそうです。

その後、1910年代になるとチャールズ・マクヒューというアメリカ人がダイアフラム式(エンジン上部に金属板を使い振動が伝わる仕組み)のポンポン船を開発し、その特許を取得しています。

また、1920年にはウィリアム・パーセルという方がコイル状の菅をエンジンに見立てたタイプのポンポン船を開発します。

これが現在におけるポンポン船の原型です。
(水が通る管をコイル状に巻くという構造がシンプルだったため、基礎的な知識だけでもマネしやすかったと推測される)

なお、日本でも大正時代からポンポン船のおもちゃが販売されていたようですが、当初はダイアフラム式のものが主流で、昭和の時代になるにつれてパイプ式(コイル巻き)が流行り出したとされています。

もともとは海外から輸入されたポンポン船ですが、やがて日本国内でも同じようなおもちゃが製造されるようになり、1933年ごろには日本製のポンポン船がアメリカで売られるようにもなったそうです。
(当時の米国雑誌に日本製ポンポン船の広告が掲載されていたとのこと)

こうして一躍人気のおもちゃとなったポンポン船は、その後1940年代~1950年代まで流行を続け、ブリキおもちゃが衰退すると同時にその姿を見かけなくなりました。

ただし、ポンポン船の仕組み自体は理科の実験や勉強に使いやすいということで、授業や夏休みの工作などに取り入れられています。

そのため、昭和後期の生まれの方なら実際のポンポン船を見たことがある方も多いかと思います。

ポンポン船の仕組み

それでは次に「ポンポン船の仕組み」を解説していきましょう。

ポンポン船の仕組みはとてもシンプルです。

管の中に水を入れ、その管を熱することで水蒸気を生み出し、船の推進力としています。

つまり、ポンポン船は熱エネルギーを運動エネルギーに変化させて動力にしているということです。

なお、水を入れる管には銅製のパイプ、熱源にはロウソクを使うことが一般的です。

ポンポン船が動く仕組み

1.銅製のパイプに水を入れて満たす
2.ボイラー室の役割となるスペースにロウソクを入れる
3.ロウソクによって熱せられた管内の水が沸騰する
4.管内の水が気化することによって水蒸気が生じる
5.水中にある管の排出口から水蒸気が放出される
6.このとき管内は減圧状態となる
7.減圧状態となった管内に新しい水が入ってくる
8.新しく入ってきた水が熱せられて3~5を繰り返す

ご覧の作用によってポンポン船に設置された管内では「水蒸気の放出」と「水の吸入」が繰り返し発生します。

この水蒸気を放出する力でポンポン船は動力を得ているわけです。

しかし、中には「水蒸気を放出しながら水も吸入しているなら、ポンポン船は前後に動くのでは?」といった疑問を持つ方もいます。

この疑問を解決するポイントは「水を吸入する力より放出する力の方が強い」という点です。

たとえば口元から10cmほど離れたところにティッシュをぶら下げ、そこに息を吹きかけたとしましょう。

この場合は軽く息を拭いただけでもティッシュが揺れ動きます。

ただし、同じ条件のもと息を吸い込んでティッシュを動かそうとすると、かなりの吸引力が必要となります。

水中でもこれと同じ現象が起こっていて、水蒸気を放出する力(押し出す運動エネルギー)の方が上回っていることによりポンポン船は前にだけ進むわけです。

ポンポン船の作り方

ここからはポンポン船の作り方をご紹介していきます。

ポンポン船は簡単な道具だけでも自作することが可能です。

材料も特に珍しいものではないので、夏休みの自由工作などの際にはお子さんと一緒にポンポン船を作ってみましょう。

準備するもの

それではまずポンポン船作りに必要なものを見ていきます。

○工具
・鉛筆または油性ペン
・直径1cmほどの丸い棒(ペンなどでもOK)
・30cm定規
・カッターナイフ
・錐(きり)
・ビニールテープ
・両面テープ
・スポイト
・ライター

○ポンポン船の材料
・アルミパイプ(直径3mm・長さ50cm程度)
・発泡スチロール(長さ15cm×幅7cm×厚さ1cm)
・画鋲(2個)
・ロウソク(長さ2㎝程度)

以上の工具や材料を用意したら、次に工作へと取り掛かっていきます。

作り方

1.アルミパイプの中心から両側8cmのところに印をつける
2.直径1cmほどの丸い棒にアルミパイプを巻き付ける(左側の印を棒に押し当て、ななめに2周半)
3.円になったアルミパイプ部分をコイル状にまとめる(縮める)
4丸い棒からアルミパイプを引き抜き、残っている2本のアルミパイプ部分を途中で「くの字」に曲げる
5.発泡スチロールの短辺の端から3.5cmのところに印をつける
6.発泡スチロールに中心線を引く
7.長編の端から4cmのところに印をつける(船頭を作る目安となる)
8船頭とは逆の短辺から2cmのあたり(中央線に沿って)に印をつける
9.⑧の印から左右1cmのところに印をつける
10.⑤と⑦を結んだ線をカッターで切る(船頭の方)
11.⑨の左右の印に穴を開ける(後ろ側に向かってななめ方向に)
12,発泡スチロール(船体)にアルミパイプを取り付ける
13.船尾から出たアルミパイプを船体と並行になるよう曲げる
14.⑩でカットした三角形の発泡スチロールを土台のようにしてアルミパイプを支える(船上の方)
15.2つの画鋲を両面テープで貼り付け、アルミパイプの輪っかの下にくるよう差し込む
16.画鋲にロウソクを刺したら完成

ポンポン船の作り方は以上です。

あとはスポイトを使ってアルミパイプに水を入れて、水が溢れる状態にしてください。

その状態で水の上に浮かべてロウソクに火をつけると、水が温まり次第ポンポン船が動き出します。

参考:ポンポン船を作ろう!

まとめ

昔懐かしいおもちゃである「ポンポン船」の仕組みや作り方をご紹介してきました。

ご覧いただいたようにポンポン船は意外と簡単に自作できます。

ホームセンターなどでアルミパイプと発泡スチロールを買ってくれば、おそらく自宅にある工具だけでも手作りできますので挑戦してみてください。

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