気嵐

「けあらし」という言葉は北海道の人からすると一般的かもしれませんが、本州以南出身の方にとっては聞き慣れない言葉だと思います。

「けあらし」とは北海道の一部地域で見られる自然現象のことです。

「けあらし」が発生すると海一帯が朝靄に包まれたような光景となり、その幻想的な雰囲気は北海道の冬の風物詩にもなっています。

カメラを趣味とする人の中には、この「けあらし」を一度写真に撮ってみたいという方もいるかもしれませんね。

この記事では、そんな「けあらし」がどういった原理で発生するのか?どういった条件が揃うと見られるのか?ということについて詳しくご紹介をしています。

冬の北海道で思わず息をのむような「けあらし」を見たい方は、ぜひ参考にしていってください。

また、ここでは「けあらし」が発生しやすい地域などについても合わせて解説をおこなっています。

海から湯気が上がる「けあらし」とは?

北海道の海辺の町に訪れたとき、朝起きると海面一帯が朝靄に包まれたような光景になっている…

旅行好きの方なら一度はこうした光景を目の当たりにしてみたいものだと思いますが、この朝靄に包まれたような現象を北海道では「けあらし」と呼びます。

ちなみに「けあらし」は漢字で書くと「気嵐」や「毛嵐」といった表記になるのですが、これは北海道・留萌地方の方言が元になっているとされています。

つまり「けあらし」は正式な気象用語ではないということです。

昔の留萌地方に住んでいた方々が水蒸気で海一面が靄に包まれた光景を「けあらし」と呼んでいたことから、現在でも北海道では同じ現象のことを「けあらし」と呼び続けているわけですね。

なお、「けあらし」という現象は気象学に当てはめると「蒸気霧(じょうきぎり)」に分類されます。

蒸気霧は放射冷却によって冷たくなった内陸の空気が、温かい海面上の空気に触れることで発生する自然現象です。

この前提から考えると、「けあらし」は内陸では起こらずに海辺でのみ発生することになるのですが、実際には川や湖でも同じ現象が起こります。

簡単に言えば「けあらし」は寒い時期に冷たい空気が急激に温まることで発生するものです。

「けあらし」の発生条件を知りたい方は、まずこの点だけ覚えておいてください。

また、この「けあらし」の大きさですが、通常は高さ2~3メートル、距離で言うと海岸から1キロくらいまでに渡って発生します。

しかし、大きなときには高さが10メートルほど、沖合い数キロに渡って発生することもあります。

ちなみに漁師の方からすると「けあらし」は高気圧の前触れとも言われているので喜ぶべきこととされていますが、発生しているときには視界が悪くなるので注意が必要になるそうです。

そんな「けあらし」ですが、北海道であればどこでも見られるわけではなく、また毎朝見られるわけでもありません。

ということで、次に「けあらし」が発生しやすい条件や原理について詳しく見ていきましょう。

けあらしが見れる条件・原理

それでは最初に「けあらし」が発生しやすい条件というものをご覧ください。

・当日の天候が晴れ
・海水温と気温との温度差が15℃以上あること
・風速3~5メートルほどの東南東の風が吹いていること

まず「けあらし」が発生するのは当日が「晴れ」のときです。

雨が降ると大気中の湿度が高まるので、冷やされた空気が蒸発してもキレイな霧として見ることが出来ません。

また、もっとも重要な部分は内陸の空気の温度と海水温の差です。

そして、この内陸の冷たい空気が海の方へと流れていくためには、ある程度の風も必要となってきます。

昼間に太陽の熱で温められた地面は、夜になると放射冷却によってその熱を外へと放出します。

放射冷却によって地面から放出された熱は、太陽が届かない夜間に急速に冷やされることになるのですが、この冷たくなった空気というのは重く、地面付近に留まりやすいといった性質を持っています。

そこで必要となるのが風というわけです。

地表に留まっている冷たい空気を海へと送るために、風速3~5メートルほどの風が吹いていると「けあらし」は発生しやすくなります。

なお、あまりにも強い風が吹いていると、内陸の冷たい空気が海面上の温かい空気と触れ合う前に通り過ぎてしまうので「けあらし」が起こりません。

つまり、あくまで程よい風の強さで冷たい空気を海まで送らなければいけないということです。

こうした条件が揃った場合には「けあらし」が発生しやすくなると言われていますので、仮に北海道旅行で「けあらし」を見たいという方は、気象予報をしっかりとチェックしておいてください。

もちろんすべての条件が揃ったとしても「けあらし」が起こるかどうかは時の運といった要素もありますので、その点も理解しておいてもらえればと思います。

ということで、次に北海道の中でも「けあらし」が発生しやすい地域について見ていきましょう。

けあらしが発生しやすい地域

一般的に「けあらし」が発生しやすいのは留萌地方や函館、釧路地方や浦河あたりと言われています。

留萌地方や函館は北海道の西側に位置する地域で、釧路地方や浦河は南東エリアに位置する地域です。

特に「けあらし」の語源を作ったとされる留萌地方では毎年多くの「けあらし」が観測されていますので、「けあらし」を目的として旅行するにはおすすめの地域です。

なお、「けあらし」が発生するのはだいたい午前5時ごろから長くても午前10時ごろまでとなっていますので、キレイな「けあらし」を見たいのであれば早起きが必須となります。

また、なるべく海沿いの宿に泊まると「けあらし」の幻想的な光景に出会いやすいので、そちらもぜひ検討してみてください。

けあらしは川や湖でも見られる?

「けあらし」は発生条件さえ揃えば川でも湖でも見られます。

そのため、たとえば留萌地方や釧路地方以外でも寒暖差が激しい地域であれば、内陸の川や湖で「けあらし」が発生する可能性はあると言えるでしょう。

ただし、川や湖で発生する蒸気霧のことを「けあらし」として捉えるかどうかは別です。

海の上に雲のような霧が幻想的に映し出されることを「けあらし」と呼ぶのであれば、川や湖で発生するものは別物と捉えられるかもしれません。

とは言っても、どちらにしろ美しい光景であることには間違いないと思いますので、冬の時期に旅行で北海道に訪れた際には、午前中に水辺の近くにまで立ち寄ってみてください。

もしかしたら普段では見られないような光景が待っているかもしれません。

まとめ

北海道の一部地域で見られる「けあらし」という自然現象について解説をおこなってきました。

「けあらし」は海面一帯が霧で覆われ、幻想的な光景となる冬の風物詩のひとつです。

北海道の中でも見られる地域が限られているので、短期的な旅行で「けあらし」を見に行こうとすると難しいかもしれませんが一見の価値は十分にあります。

「けあらし」が発生するのは当日が晴れ、そして程よい風が吹き内陸と海面との温度差が15℃以上あるときに起こりやすいので、ぜひ気象情報をチェックしてから海まで見に行ってみてください。

きっと旅行の思い出に残るような素晴らしい光景に出会えると思いますよ。

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