ヒトデとは?主な種類や生態・特徴を解説

この記事では星型の見た目が印象的な「ヒトデ」の生態について詳しく解説していきます。

ヒトデはナマコやウニと同じ「棘皮(きょくひ)動物」の一種です。

世界中あらゆる海に生息し、その種類は実に2000種以上とも言われています。

そんなヒトデの主な身体的特徴や生息地、寿命や食性などをまとめました。

「どうやってヒトデは食事をするのか?」「ヒトデにはどんな種類がいるのか?」といった疑問を解消したい方は、ぜひこちらの内容を最後までご覧になっていってください。

ヒトデとは?

ヒトデ

ヒトデとは「棘皮動物門ヒトデ綱」に属する生物の総称です。

世界には2000種類以上のヒトデが存在し、日本だけでも300種類のヒトデが確認されています。

そんなヒトデの特徴と言えば体が星の形をしているところです。

多くのヒトデは胴体部分である「盤」から5本の腕が伸びており、これが星の形に見えることから海外では「StarFish(星の形をした海の生物)」や「SeaStar(海の星)」と呼ばれています。

日本語でヒトデと呼ぶのは盤から伸びる5本の腕が「5本指の人の手」に似ていることに由来しますが、江戸時代までは「紅葉貝(モミジガイ)」とも呼ばれていたそうです。

なお、ヒトデの中には5本以上の腕を持つ種類も存在しますが、この腕の裏側には溝があり、そこには「管足」という触手のような器官が伸びています。

管足の先端は吸盤になっていることが多く、これによって岩に張り付いたり捕食相手に取り付いたりしているわけです。

そしてヒトデの口は核となる「盤」の下側に付いています。

口がある方を「口側(こうそく)」、その反対を「反口側(はんこうそく)」と呼びますが、ヒトデは他の生物と同じようにこの口からエサを捕食します。

しかし、比較的大きなエサを捕食する際には口から胃にあたる器官を出し、その胃袋で相手を包み消化吸収することも可能というのがヒトデの大きな特徴です。

ちなみに口から出される胃袋はかなり大きく、中には自分の体と同じくらいの胃袋を出せる種類も存在します。

こうした特徴を持つヒトデですが、実はヒトデには血管がありません。

血管がないので血液も流れていないわけですが、これを補うために「水管」と呼ばれる器官が発達し外部から海水を取り込むことで酸素を供給しています。

また、ヒトデには脳もありません。

ヒトデは体に張り巡らした感覚細胞によって外界からの刺激を知覚し、その刺激を神経に伝えることで行動を起こします。

ただし、ヒトデの盤から伸びた腕の先端には目の代わりとなる「眼点」という器官があり、これによって周囲の明るさなどは確認できるようです。

そのほかヒトデは感覚細胞によって得られる情報から「ニオイを感知できる」と考えられています。

ヒトデの生態についてはまだ分かっていない部分が多いのですが、こうしたユニークな進化を遂げてきたところが最大の特徴とも言えそうです。

ヒトデの種類

続いてはヒトデの種類について見ていきましょう。

世界には約2000種のヒトデが存在し、日本近海でも約300種のヒトデが確認されています。

そんなヒトデの中から代表的な種類を取り上げて、それぞれの特徴をまとめてみました。

アカヒトデ

国内で見かけるヒトデの中でもポピュラーな種類が「アカヒトデ」です。
体長は10cmくらいで、本州中部から九州にかけて広い範囲に生息しています。
個体によっては「アカヒトデヤドリニナ」という巻貝が寄生していることもあるというのが特徴的な部分です。

キヒトデ(マヒトデ)

日本でもっともよく見かけるヒトデが「キヒトデ」です。
「マヒトデ」とも呼ばれる種類で、体には棘のような器官がびっしりと生えています。
なお、アサリなどの貝類を主食とするため漁師の間では嫌われている存在です。
また分裂による無性生殖が可能で、たびたびキヒトデの大量発生が問題となっています。

イトマキヒトデ

盤の表面に赤いまだら模様があるものが「イトマキヒトデ」です。
日本では北海道近くの千島列島に生息しています。
5本腕の個体が大半ですが、中には腕が4本や6本の個体も存在するようです。

カスリマクヒトデ

カスリマクヒトデは白や黒、オレンジ色といった様々な体色に変化する特殊なヒトデです。
キレイな見た目の個体もいますが、触れると大量の粘液を出すといった報告もあります。

ゴカクヒトデ

オレンジ色で体長2~3cmほどの小さなヒトデが「ゴカクヒトデ」です。
「ヤマトホシヒトデ」とも呼ばれ、漁の網に引っ掛かることも多いヒトデとして知られています。

オニヒトデ

「オニヒトデ」はサンゴ礁に生息する体長15~30cmほどの大型ヒトデです。
サンゴをエサとするためサンゴ礁の保全に有害なヒトデとして扱われています。
また、オニヒトデは強い毒を持っていて刺されると激しい痛みに襲われます。
場合によっては死亡するケースもあるので、ダイビングなどで見かけた際は絶対に触れないよう気を付けましょう。

トゲモミジガイ

盤や腕に無数の棘を持つヒトデで、体内にはフグと同じテトロドトキシンという毒が含まれています。
海中では素早く泳ぐことが可能で、さらに陸上でも管足を使って歩けるというのが大きな特徴です。

ヒトデの生態・特徴

ヒトデ

ここからはヒトデの生態や生息地、寿命や食性などをご紹介していきます。

生息地

ヒトデは世界中あらゆる海に生息する生物です。

温暖な海域はもちろんのこと、極寒の海域であっても生息できるというのがヒトデの特徴と言えます。

なお、過去には南極海域にある海底火山近辺で大量のクモヒトデが発見された事例もあります。

寿命

ヒトデの中には再生や分裂が可能な種類も存在するため、ひとつの個体の寿命を正確に知ることは難しいようです。

ただ、研究のために人工飼育したヒトデでも数年ほど生きることから自然環境下でも5年~10年は生きると考えられています。

また、大型のヒトデに関しては成長スピードと体長から計算して30年~40年近く生きられるといったデータもあるようです。

このようにヒトデは種類によって寿命が大きく異なるため、飼育を検討する際には事前によく調べておくことが推奨されます。

食性

ヒトデは主に肉食性で、アサリやホタテといった貝類をよくエサとしています。

また、同種である棘皮動物(ナマコやウニ)や甲殻類(小さなエビ)なども捕食しているようです。

中には死んだ生物の肉(腐肉)をエサとする種類も多く、その食性は非常に雑多なものと言えます。

ちなみにヒトデは殻を閉じている貝類をこじ開けて(または穴を開け)、中身を捕食するといった行動も取ります。

なお、基本は肉食性のヒトデですがアオサなどの海藻類を食べる種類もいるそうです。

ヒトデの分裂・再生について

ヒトデは分裂や再生といった能力を持つ生物です。

ヒトデの体は微小な骨片を「キャッチ結合組織」というもので繋げて出来ているのですが、これを調整することで自由に体を分裂できるようになっています。

また、分裂した体を再生する力も強く、基本的には体の中心である「盤」さえ残っていれば失った腕などを自己修復することが可能です。

さらに中には盤を失っても腕だけで再生できる種類も確認されています。(現在のところ6種類)

ちなみにヒトデが分裂をする目的としては「外敵から身を守る」「無性生殖による個体の増殖」という2パターンが考えられるとのことです。

まとめ

とてもユニークな生態を持つ「ヒトデ」に関する情報を詳しくご紹介してきました。

ご覧いただいたようにヒトデは非常にその種類が多い生物です。

それぞれの種類によって特徴や生態が異なるため、まだまだ分かっていない部分も多くあります。

中には本文で解説した通り毒を持つヒトデもいますので、海で見つけた場合は素手で触らないよう気を付けましょう。

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