ウミガメの種類と生態!日本の産卵地についても

この記事では「ウミガメ」の種類や生態、日本での産卵地などを詳しくまとめてみました。

ウミガメというと何となくひとつの生き物として認識されがちですが、実はいくつかの種類が存在します。

また、ウミガメは種類によって大きさ・食べるもの・産卵地などが変わってきます。

ちなみにウミガメの産卵地はほぼ決まっていて、日本は北太平洋で唯一のウミガメの産卵地です。

ウミガメにはまだ解明されていない生態も多いのですが、ここでは現在のところ分かっているウミガメの生態を分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

そもそもウミガメとは?

ウミガメ

ウミガメとは「カメ目ウミガメ上科」に属する生物の総称です。

具体的には「ウミガメ科」と「オサガメ科」の2つに分かれていて、現在のところは合計すると7種類のウミガメが存在の2科・6属・7種が知
具体的には「ウミガメ科」と「オサガメ科」の2つに分かれていて、現在のところは合計すると7種類のウミガメが存在しています。

ウミガメは生まれてから死ぬまでの間、そのほとんどを海で過ごすというのが特徴的な部分です。

大きさに関しては一般的なカメ類の生物より、ほとんどの種類が非常に大きな甲羅を持っています。

ちなみにウミガメの中でもっとも小さい種類のヒメウミガメでも甲羅の大きさは60㎝~70㎝ほどあり、これが大型のオサガメだと180㎝以上の大きさになる個体もいるそうです。

そんなウミガメですが、生物学的には肺呼吸をする爬虫類に分類されますので呼吸をするときには海面から顔を出します。

食性は種類によって異なり、海藻をメインに食べるウミガメから甲殻類や小魚を食べるウミガメまでバラバラです。

砂浜で生まれるウミガメは熾烈な生存競争を勝ち抜いた後、海へと入り外洋を回遊しながら成長していきます。

そして、ある程度成長したら個体ごとに沿岸部へと戻ってくるのですが、このとき外洋でどういった生活をしているのかは未だに分かっていません。

また、中には沿岸部付近で成長するウミガメや外洋に出たまま戻ってこないウミガメなども確認されています。

なお、メスのウミガメは初めて産卵した砂浜に戻ってくることが大半で、繁殖期を迎えると各々自分の砂浜に向かう途中でオスのウミガメと出逢い繁殖活動をおこなうそうです。

産卵が出来る状態になったメスのウミガメは砂浜へと上陸し、そこで一度に100個ほどの卵を産み落とします。
(これを複数回にわたっておこなう)

産卵が終わるとメスのウミガメはまた海へと戻るのですが、この後に孵化した子ガメを育てることはありません。

孵化したばかりの赤ちゃんウミガメは海へと自力で歩き外洋を目指しますが、その際の生存率などを次にご紹介していきます。

赤ちゃんウミガメの生存率

ウミガメの赤ちゃん

砂浜に産卵され、その後孵化した赤ちゃんウミガメの生存率は「1/5000」とも言われています。

つまり5000匹のうち1匹だけが外洋へと出て成長するということです。

ただ、この数字は少し前のデータらしく、現在のところは「1/1000」くらいではないかという意見も出ています。

とは言え、どちらにしても赤ちゃんウミガメの生存率はかなり低く、生まれた砂浜から海へと向かう途中で他の捕食動物に食べられてしまったり、外敵からの攻撃で息絶えてしまったりすることが大半です。

こうした砂浜での過酷な生存競争を経て海まで辿り着いた赤ちゃんウミガメは敵の少ない外洋へと向かうために、そこから2~3日間休まず泳ぎ続けます。

ちなみに孵化してから外洋に出るまでの数日、休むことなく興奮状態で活動することを「フレンジー」と呼びますが、これは赤ちゃんウミガメが生き残るための本能的行動と考えられています。

ウミガメの種類

ここからはウミガメの種類について見ていきましょう。

ウミガメは「ウミガメ科」と「オサガメ科」の2つに分けられます。

〇ウミガメ科
・アカウミガメ
・アオウミガメ
・タイマイ
・ヒメウミガメ
・ケンプヒメウミガメ
・ヒラタウミガメ
〇オサガメ科
・オサガメ

こちらがウミガメの種類となりますが、ご覧のようにオサガメ科に分類されるオサガメ以外はすべてウミガメ科です。

オサガメがウミガメ科のウミガメと大きく異なるのは甲羅部分で、甲羅に鱗板がなく触るとゴムのような質感をしているのがオサガメとなります。

また、全ウミガメの中でもっとも大きく成長するところもオサガメの特徴です。

成体のオサガメの中に体重300㎏を超える個体も確認されていますので、その姿は非常に印象的だと思います。

なお、全ウミガメのうち日本で産卵が確認されているのは「アカウミガメ」「アオウミガメ」「タイマイ」の3種類です。

「ヒメウミガメ」と「オサガメ」に関しては日本で産卵はしないものの、稀にその姿を近海で確認することが出来ます。

その他の「ケンプヒメウミガメ」と「ヒラタウミガメ」については日本で見ることが出来ないとのことです。

ちなみに、上記7種類のウミガメのうち6種類は「絶滅」の危険性を指摘されています。

〇絶滅寸前
・タイマイ
・ケンプヒメウミガメ
・オサガメ
〇絶滅危機
・アカウミガメ
・アオウミガメ
・ヒメウミガメ

このように日本でも産卵が確認されている「タイマイ」は絶滅寸前の生物に指定されていて「アカウミガメ」と「アオウミガメ」に関しても絶滅の危機に瀕しているそうです。

こうした現状を踏まえ、ウミガメの産卵地となっている日本の沿岸部ではウミガメの保全活動が積極的におこなわれています。

ウミガメの産卵について

ウミガメ

それではここから、ウミガメの産卵に関する情報をご紹介していきましょう。

時期

ウミガメの産卵がおこなわれるのは5月初旬から8月下旬ごろまでとなっています。

産卵地によっても若干時期は変わってきますが、およそ初夏から晩夏にかけてウミガメの産卵はおこなわれるということです。

ちなみにウミガメが卵を産むのは夜間で、だいたい朝までには産卵を終えて海へと戻っていきます。

生み落とされた卵は約2ヶ月あまりで孵化し、赤ちゃんウミガメは前述の通り海を目指して歩き始めます。

国内の産卵地では7月~9月の終わりごろまでの間、こうした赤ちゃんウミガメの姿を見ることが出来ますので、ぜひ近くに旅行で訪れた際にはご覧になってみてください。

産卵方法

ウミガメは産卵のために砂浜へと上陸して、潮が満ちてこない高台を目指します。

その高台に穴を掘って一度に100個ほどの卵を産み落とすとのことです。

なお、産卵後は後ろ足で砂をかけ、穴を埋めてから海へと帰っていきます。

メスの親ウミガメはこれを1年のうち複数回繰り返し、産卵期には数百個の卵を砂浜に埋めていくわけです。

涙を流す?

産卵しているときの親ウミガメは「涙を流す」と言われていますが、これは卵を産むために泣いているわけではなく、涙腺から体内に溜まった余分な塩分を排出しているだけです。

ウミガメは身体に溜まった塩分を目から排出できるよう進化した生物で、その涙腺の大きさは眼球とほぼ同じサイズとなっています。

つまり、ウミガメは産卵しているときでなくとも泣くことがあるのです。

【日本】ウミガメの主な産卵地

それでは最後に国内におけるウミガメの主な産卵地をご紹介しておきましょう。

〇沖縄県
・沖縄本島(国頭村、大宜味村、読谷村、恩納村、南部糸満)
・八重山諸島(黒島、西表島、石垣島、新城島、波照間島)
・座間味(ニタ浜)
〇鹿児島県
・沖永良部島
・奄美大島(喜徳浜)
・加計呂麻島
・種子島(長浜海岸など)
・屋久島(前浜、田舎浜)
・吹上町
〇長崎県
〇佐賀県
〇宮崎県(延岡、高鍋、日南の沿岸にかけて)
〇高知県(平野海岸、春野海岸、元海岸など)
〇徳島県(大浜海岸、生田海岸など)
〇兵庫県(明石市松江海岸)
〇大阪府(泉南市人工浜)
〇和歌山県(みなべ町千里海岸)
〇三重県(志摩半島沿岸部)
〇愛知県(知多半島、渥美半島沿岸部)
〇静岡県(遠州灘海岸)
〇千葉県(房総半島太平洋側)
〇東京都(伊豆諸島、小笠原諸島)

ご覧の通り本州・千葉茨城あたりを北限とし、あとは西~南側の温暖なエリアがウミガメの主な産卵地となっています。

やはり沖縄や鹿児島あたりに多くの産卵地が固まっていますが、四国や中部地方でもウミガメの産卵は見られるとのことです。

まとめ

神秘的な生態をしているウミガメの特徴や産卵地などを詳しくご紹介してきました。

ウミガメについては未だ分かっていない部分も多く、特に外洋で成体へと成長する過程は謎のままとなっています。

そんなウミガメの産卵シーンや赤ちゃんウミガメが海を目指す姿を見たいという方は、本文で取り上げたウミガメの産卵地を参考にしてみてください。

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