着衣泳

川や海、そしてプールなどで泳ぐときには水着を着ていることが一般的ですが、何かの拍子に洋服を着たまま水中に落ちてしまうと水着とは違った感覚に襲われパニックになってしまいます。

そんな万が一に備えて覚えておきたいのが「着衣泳」の知識です。

なお、着衣泳とは洋服を着た状態で浮く・泳ぐといった動作をおこなうことを指します。

日本ではまだまだ馴染みが少ない着衣泳ですが、運河や水辺が多いイギリスやオランダなどでは子供たちに対して一般的な水泳技術よりも着衣泳を教える機会が多いそうです。

着衣泳は自分の身を守る護身術のようなもので、海難事故や川などでの水難事故を防ぐための技術でもあります。

ここでは、そんな「着衣泳」に関する基本的な情報や実際に洋服を着たまま泳ぐ際に理解しておきたいポイントをまとめました。

自分や子供の安全を確保するためにも着衣泳の知識は大切なので、ぜひ参考にしていってもらえればと思います。

着衣泳とは?目的は?

着衣泳とは、普段着ている洋服のまま泳ぐ技術のことを指します。

海外や日本の一部地域では水着ではなくTシャツや短パンのまま泳ぐ習慣があるところも存在しますが、大半の日本人は洋服のまま泳いだ経験がないと思います。

海や川といった場所で洋服のまま水中に落ちてしまうと、水着のときとは違って洋服が身体にまとわりつきパニックになってしまうものです。

また、洋服が水を吸収することで泳ぎにくくなり、溺れやすくなってしまうといった印象もあるはずです。

そんなときに備えて覚えておきたいものが「着衣泳」となります。

ちなみに着衣泳は「洋服を着たまま泳ぐ技術」というよりも「洋服のまま水中に落ちた場合の対処法」といった意味合いが強いです。

事実、運河が多いイギリスやオランダといったヨーロッパ諸国や、川や海が多いオーストラリアでは子供が小さいときから着衣泳を教えることが一般的となっています。

なお、この教育上の違いは実際の事故件数にも表れていて「日本の溺死率はイギリスの9倍」といったデータもあるようです。

こうしたことを踏まえ、現在は日本でも子供に対して着衣泳を教える機会が増えていますが、その基本となる行動を以下にまとめてみました。

〇着衣泳の基本
・洋服のまま水に落ちたときは慌てず顔を水面に出して呼吸を確保する
・体勢を上向きにしたまま浮かぶ
・落ち着いて呼吸が出来るようになったら救助を求める

着衣泳の技術を学んでいると、上記の基本動作がスムーズにおこなえるようになります。

特に重要なポイントは身体を上向きにしたまま浮かぶという部分ですが、次にそのコツなどをご紹介していきましょう。

着衣泳の方法・コツ

ここからは着衣泳の方法とコツを見ていきますが、洋服のまま水に落ちたとき大事なのは「仰向けになって浮かぶ」ということです。

仰向けの状態で浮かぶことを「背浮き」と呼びます。(その姿勢からラッコ浮きとも呼ぶ)

背浮きは長時間体勢をキープしておくことに長けていて、救助される確率を高めてくれる技術でもあるのでぜひ覚えておきましょう。

背浮き

着衣泳を学ぶ際にまず理解しておきたいポイントが「人間の身体は基本的に浮くように出来ている」という点です。

人間は息を吸った状態と息を吐いた状態で身体の比重が変わってきます。

たくさん息を吸った状態だと「身体の2%」は水面上に出るよう人間の身体は出来ていますので、このことをしっかりと覚えておいてください。

そして、身体の2%が必ず水面上に出るなら「顔を出しておけば呼吸に困ることがない」ということも合わせて覚えておきましょう。

このことを頭の中に入れておけば、万が一洋服のまま海や川に落ちても冷静さを保っていられるはずです。

ちなみに、こうした人体のメカニズムを利用して仰向けのまま体勢をキープする水泳技術が「背浮き」です。

洋服のままでも水中で仰向けになり、息を吸った状態で脱力をすれば自然と顔だけは水面上に出ます。

この状態をキープして呼吸が出来るようになればパニック状態が収まり、次に何をすべきかが考えられるようになるわけです。

なお、背浮きのまま平泳ぎと同じ要領で広げた手と足を動かし泳ぐ方法を「エレメンタリーバックストローク」と呼びます。

背浮きの状態に慣れ、自力で掴まれる場所まで移動したい場合にはこうした泳法を使いますが、泳ぎが不得意な方の場合はとにかく「長時間浮いて救助を待つ」ということを心掛けてください。

浮く物を使う

ペットポトルやカバンなど、浮くものを使って背拭きをしやすくするというのも大事なポイントです。

水難事故では自力で何とかしようとして溺れてしまうケースが多いとされていますが、日本の場合は通報があればすぐに救助隊が駆けつけてくれます。

そのため、救助隊が到着するまでの間なんとか浮き続けておくことが生存確率を上げる方法と言えるわけです。

ちなみに洋服のまま水中に落ちた場合は靴を履いていることが多いと思いますが、重そうだからといって靴を脱ぐのはNGです。

靴やサンダルを海や川に流してみると分かりますが、靴やサンダルは水に沈まずそのまま浮いて流されていきます。

つまり、靴やサンダルには「浮力がある」ということになりますので、そのまま履いていた方が良いのです。(特殊な加工や装飾が施されていて浮かない靴は別と考える)

足元が浮けば背浮きをしたときに身体のバランスが安定して、顔を水面上に出しやすくなります。

こうしたことも知っておくと冷静な思考を保てますので、ぜひ参考にしてください。

水に落ちた時に大切なこと

海や川など、水に落ちたときに大切なのはとにかく「慌てないこと」です。

先ほども触れたように人間の身体はどうやっても水に浮くように出来ています。

「息を吸った状態なら身体の2%は水面上に出る」「仰向けになって力を抜けば顔だけは水面上に出るので呼吸は出来る」という2つのことを思い出せば、最初のパニック状態を抑えることが出来るはずです。

そして、思考が落ち着いたら次に「掴まれるもの」「浮力がありそうなもの」を探しましょう。

ペットボトルでも木の板でも、とにかく自分の浮力をサポートしてくれるものがあれば、それだけ長く浮き続けられます。

あとは周りに誰かいないかを確認し、安定した体勢のときに助けを求めるよう声を出しましょう。
(声を出すと身体から息が出ていき浮力が下がるので、出来れば先に浮くものを探して身体に抱えておいた方が良い)

水に落ちた人を見かけたときの対応

海や川で水に落ちている人を見かけたときの対応は以下の通りです。

1. ペットボトルなど浮力の足しになりそうなものを投げ入れる
2. 比較的近く(防波堤の下など)に人が落ちている場合はTシャツやベルトなどを繋いでロープ代わりにする
3. 119番又は118番(海難事故)に通報する

海や川で人が溺れているときは自分の力で助けようとせず、ペットボトルや浮き輪など浮力の足しになるものを投げ入れて相手をサポートしましょう。

溺れている相手はパニック状態になっているので、無闇に近づくとしがみつかれてしまい自分も溺れてしまいます。
(どうしても自分で泳いで近づく場合は背中側に回り込むこと)

あとは119番や118番(海難事故)に通報をして、救助隊が来るまで相手を励まし落ち着かせるよう心掛けてください。

救助が来ることが分かれば相手も冷静になって助かる可能性が上がってくれます。

まとめ

洋服のまま水中に落ちたとき、知っておくと非常に助かる「着衣泳」について解説してきました。

「仰向けのまま浮き続けること」「浮力があるものを上手く使うこと」「落ち着いたら平泳ぎと同じ要領で泳ぐこと」というのが着衣泳の基本です。

本文でも説明しましたが、とにかく「人間の身体は浮くように出来ている」ということを思い出せばパニック状態にならないので、ぜひこの点だけは覚えておいてください。

参考:着衣泳で 一番大切なこと・知っておくべきこと

着衣泳

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