釣り船や客船、遊覧船などに乗ったときに「船酔い(波酔い)」の症状を感じたことがある人は少なくないと思います。
船酔い(波酔い)は、平常時とは異なる振動や視界の揺れを内耳・三半規管が感じた場合に起きる症状です。
なお、普段から車酔いやバス酔いをする方だと船酔いをする可能性が高くなるかもしれません。
ここでは、そんな「船酔い(波酔い)」の原因や予防法(対策)を分かりやすくまとめてみました。
また、合わせて「船酔いしやすい人の特徴」や「船酔いを防ぐための食べ物」などもご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。
船酔い・波酔いとは?症状は?
船に乗ることで普段とは異なるスピード(加速度)や揺れを身体が感じ、結果として三半規管が刺激され「気持ち悪さ」「吐き気」「嘔吐」といった症状が出ることを「船酔い(波酔い)」と呼びます。
なお、医学の専門的な分野では船酔いのことを「加速度病」「動揺病」と呼ぶようです。
(船酔いを含め「車酔い」や「飛行機酔い」などはすべて同じ症状と言える)
私たち人間は、耳や目から受け取った情報を脳が「無意識的」に処理をしています。
この無意識的な処理の中に普段とは異なるものが入り込んでくると船酔いのような症状を感じるわけです。
つまり「耳や目を通じて脳が受け取った情報と実際に体感している速度や見えている景色が違う」と脳が混乱して病的な反応を起こすということです。
ちなみに船酔いを含め、乗り物酔い全般がどうして起きるのか?という部分は完全に解明されていません。
また、個人によって船酔いが起きる原因も異なってきますが、ここでは一般的な船酔いの症状をまとめたのでご覧ください。
船酔い(波酔い)の症状
・吐き気
・頭痛
・嘔吐
・冷や汗
・手足の冷感
・あくび
「船酔い=気持ち悪い・吐き気」という方が多いと思いますが、中には「あくび」をよくするようになる方もいます。
あくびには「血流を促進させる効果」があり、船酔いをしそうになると脳に新鮮な血液を補給するため「無意識的」にあくびが増えるとされています。
つまりあくびは船酔いの予兆とも言えますので、ひとつの参考として覚えておいてください。
船酔い・波酔いが起こる原因
先ほども伝えた通り、船酔い(波酔い)が起きる正確な原因は分かっていません。
ただし、大まかに言えば以下のようなことが船酔いを起こすメカニズムとして考えられています。
・自分自身は動いていないのに「周りの景色」だけが動いている(目からくる脳の混乱)
・自分では気付かないような「不規則な揺れ」や「加速」を三半規管が感じている(内耳からくる脳の混乱)
人間には「立って歩く」「立った状態から倒れない」という行為をするために平衡感覚を保つ機能が備わっています。
耳の内耳にある三半規管は、この平衡感覚を保つために欠かせない部分です。
また、内耳には目からの情報を脳に伝える役割もありますが、船などの乗り物に乗って移動すると「自分自身は動いていないのに周りの景色が動く」「身体が揺れを感じる」といった状態になります。
こうなると無意識的に脳が混乱し「気持ち悪い」という症状が出るわけです。
特に船酔いの場合は景色の移動や揺れを感じる時間が長く、車や飛行機よりもその不規則さが激しいため「酔いやすい」とされています。
つまり船酔いとは「脳が処理しきれないほどの情報が送られ誤作動を起こした状態」とも言えるわけです。
視覚から起きる船酔い
「視覚」から送られる情報は船酔いを含め、乗り物酔いが起きる主な要因と言えます。
たとえば車の中で本やスマホなどの文字を追いかけると乗り物酔いになりやすいとされていますが、これは揺れがある状態で眼球を細かく動かすと「脳の誤作動」を引き起こしやすいからです。
また、近くよりも遠くを見ていた方が乗り物酔いになりにくいと言われているのは、遠くにあるものを見ていた方が「景色のズレ」が少ないからと考えられます。
(こうした理由により、乗り物酔いを防ぐには進行方向を見ていた方が良いとも言われている)
ちなみに最近ではVRを使ったゲーム機も増えていますが、ゴーグルやヘッドセットをした状態で過度の情報が脳に送られると「移動や揺れ」がなくても酔うことがあります。
※VRによって見ている光景や三半規管にズレが生じて脳が誤作動を起こす。
精神的な部分から起きる船酔い
船酔いのメカニズムは正確に解明されていませんが、精神的な要因によって気持ち悪さを感じるケースもあります。
分かりやすく言えば、過去に乗り物酔いを経験した方だと「船でも気持ち悪くなってしまうのでは…」と不安になり、結果として呼吸が浅くなって脳の活動が低下し気持ち悪さを感じるといったイメージです。
そのほかでは「船という閉鎖的な空間が怖い」などの理由によって脳がパニック状態になることもあります。
船酔い・波酔いしやすい人の特徴
船酔い(波酔い)しやすい人の特徴には以下のような点が挙げられます。
・睡眠不足
・空腹の状態
・精神的なストレスを感じやすい
睡眠不足や空腹で船に乗ると酔いやすいと言われていますが、これは脳が情報処理をするための力が出づらく、さらに脳を動かすためのエネルギー(栄養素)が不足している状態だからです。
脳は身体の器官の中でも大量のエネルギーを必要とする部分で、寝不足や空腹だと正常に働いてくれません。
そのため、船に乗る前日は睡眠を十分にとり、ある程度の食事も済ませておいた方が良いわけです。
また、精神的なストレスを感じやすい人も船酔いになりやすいと言えます。
船という普段とは異なる環境に置かれ「緊張」「不安感」が増えると、それに対処するために脳の力が使われてしまいます。
結果として視覚や三半規管からくる情報の処理が追い付かず、船酔いになってしまうということです。
なお、こうした船酔いを回避するためにはいくつかの方法がありますので、その内容を次に見ていきましょう。
船酔い・波酔い対策
船酔い(波酔い)の対策として効果的な方法を以下にまとめてみました。
・酔い止め薬を飲む
・空腹の状態を避ける
・会話などで気分を紛らわす
・船に対する不安感をなくす
・船の揺れが少ないところに移動する
船酔いへの不安がある方は乗船前に「酔い止め薬」を飲んでおきましょう。
また、空腹の状態を避けるために食事を済ませておくことも必要です。
ちなみに脳が消費するのは「糖分」なので、おにぎりなどの炭水化物を適量食べておくことをおすすめします。(満腹状態は吐き気が抑えられなくなるためNG)
なお、単純に糖分を補給するだけならチョコレートやラムネ菓子なども適しています。
あとは友人や家族と会話をして気分を紛らわし、船に対する不安感をなくすといった方法も効果的です。
そのほか、物理的な揺れを軽減させたいときには船の中でも揺れが少ない中心部に移動しましょう。
小さい釣り船では難しいかもしれませんが、大きな客船などに乗っている場合は揺れが少ないところで休憩することで船酔いが改善されることもあります。
まとめ
船酔い(波酔い)の原因や対処法などについて詳しくご紹介してきました。
ご覧いただいたように船酔いは視覚や三半規管から脳に送られる情報が多くなり、結果として脳が誤作動を起こすことで「気持ち悪さ」「吐き気」といった症状を訴えるものです。
船酔いを防ぐためには酔い止め薬が効果的ですが、精神的にリラックスすることも重要なので、乗船前にはできるだけ不安に感じる部分をなくすよう努めてみましょう。