ライフセービングスポーツ(競技)とは?種目や大会についても

この記事では競技としての「ライフセービングスポーツ」についてご紹介していきます。

ライフセービングスポーツとは、ライフセーバーが救助活動をおこなう上で必要な技術や体力を競技化したものです。

ライフセービングスポーツは100年以上の歴史を持ち、世界各国で大会が開かれています。

もちろん日本でもライフセービングスポーツの大会は開催されていますが、まだまだその知名度は高いものと言えないかもしれません。

そこで、ここではライフセービングスポーツの内容や種目、主な大会などに関する情報をまとめました。

「ライフセービングスポーツにはどういった種目があるのか?」「競技としてのライフセービングスポーツにはどんな意味があるのか?」をぜひ参考にしていってください。

ライフセービングスポーツ(競技)とは?

「ライフセービングスポーツ」とはライフセーバーたちの技術向上を目的として実施されている競技です。

ライフセービングスポーツには自身の肉体のみを使った種目、サーフスキーやパドルボードなどの道具を使った種目、心臓マッサージや人工呼吸といった心肺蘇生技術の正確性を競う種目などがあります。

分かりやすく言えば、水難事故によって亡くなってしまう犠牲者をひとりでも減らすために取り組まれている競技がライフセービングスポーツということです。

また、ライフセービングスポーツの大会を通してライフセーバー同士の交流や地域の振興を図ることも目的のひとつとして挙げられます。

なお、ライフセービングスポーツが他のスポーツと大きく異なるのは「相手に勝つことを目的としていない」という点です。

ライフセービングスポーツは「どれだけ迅速に要救助者を助けられるか」「適切な処置が取れるのか」を競技化しているだけであって、勝つことを最終的な目標にしているわけではありません。

競技のルールも「要救助者がいる」ということが前提となっているため、たとえばゴールした後でも競技者は倒れこんだりしてはいけない決まりとなっています。

(実際の水難事故の場合、海から要救助者を引き上げた後にライフセーバーが倒れ込んでしまってはその後の対応が出来なくなるため)

このように他のスポーツとは異なる目的や意味を持っているところがライフセービングスポーツの特徴です。

それでは次に、ライフセービングスポーツの歴史について見ていきましょう。

ライフセービングスポーツの歴史

競技としてのライフセービングスポーツはオーストラリアが発祥です。

1908年にオーストラリアのシドニーで開催された「サーフカーニバル」がライフセービングスポーツ初の大会と言われています。

なお、大会が始まった当初は砂浜での足の速さや海で泳ぐ速さを競う種目がメインでしたが、新しい救助道具などが開発されると共にパドルボードやサーフスキーを使った種目が追加されていきました。

その後、オーストラリアでは州規模の大会が開催されるようになり、ライフセービングスポーツが広く認知されていきます。

そして1950年代にはアメリカやイギリス、ニュージーランドといった国からライフセーバーたちを招待しオーストラリアで世界初となるライフセービングスポーツの国際大会が開催されました。

ちなみに1985年からは多くのプロ競技会が開催され始め、1993年には「国際ライフセービング連盟」が設立されています。

日本においては1975年に「ライフガード大会」という名称で初めてのライフセービングスポーツ競技会が神奈川県の鎌倉で開催されました。

現在は「全日本ライフセービング選手権」という名前に変更されていますが、大会自体は継続して開かれています。

ライフセービングスポーツの種目

続いてライフセービングスポーツの種目をご紹介していきましょう。

ライフセービングスポーツには大きく分けて「オーシャン競技」と「プール競技」の2つがあります。

また、オーシャン競技・プール競技ともに種目が細分化されていて、それぞれ異なる条件のもと技術が競われています。

オーシャン競技

○サーフ種目
・アイアンマン(アイアンウーマン)レース
沖合のブイまで「スイム」「パドルボード」「サーフスキー」という3つの方法で往復する競技。
3つの順番はくじ引きによって決定する。

・タップリン・リレー
アイアンマンレースを3人1組でおこなう競技。
「スイム」「パドルボード」「サーフスキー」の順番はくじ引きで決定する。

・サーフスキー・レース
サーフスキーを使い250m離れたブイを迂回して戻ってくる競技。

・パドルボード・レース
パドルボードによって800m先まで到達するスピード、技術、波の見極め方などを競う。

・ラン・スイム・ラン
200mを走り、その後120m先のブイまで泳いだあと迂回して砂浜まで戻り、さらに200mを走りきるという競技。

・レスキューチューブ・レース
4人1組でおこなう救助訓練を模した競技。
チームは溺者を想定した1名、救助者1名、サポート役2名で構成され、救助までの時間や技術を競う。

・レスキューボード・レスキューレース
2人1組でおこなうレスキューボードでの救助訓練を模した競技。

○ビーチ種目
・1×3ビーチリレー
3名1組でひとり1kmずつ走る競技。
(全日本学生選手権のみで実施)

・ビーチ・スプリント
砂浜を90m走る競技。

・ビーチ・フラッグス
フラッグとは逆向きにうつ伏せとなり、合図と同時に20m先のフラッグまで走る競技。
大会ではフラッグの数が参加者より1本少なく、取れなかった者から脱落していく。

・ビーチリレー
4人1組となり、それぞれ90mずつ走るリレー形式の競技。

・2kmビーチ・ラン
1km間隔で置かれた旗を往復する競技。

・CPR(心肺蘇生法)コンテスト
心肺蘇生法の技術・速度・正確性を競う種目。
ライフセーバーとして必須の知識であるため出場者はランダムで決められる。

プール競技

続いてはプールでの事故を防ぐために実施されているライフセービング種目をご紹介します。

○プール種目
・障害物スイム
200m自由形の水泳競技。
プール内には2つのネットがあり、その下を潜って泳がなければならない。

・障害物リレー
内容は障害物スイムと同じだが、4人1組で50mずつ泳ぎ切る競技。

・スーパーライフセーバー
「75mスイム」⇒「マネキンを担ぎ25mスイム」⇒「5m以内でレスキューチューブとフィンを付けて50mスイム」⇒「再度マネキンを受け取りレスキューチューブと繋げた状態で50mスイム」という過酷な競技。

・マネキンキャリー
「25mスイム」⇒「マネキンを抱えて25mスイム」という合計50mを泳ぐ競技。

・マネキン・キャリー・ウィズフィン
「フィンを付けた状態で50mスイム」⇒「マネキンを抱えて50mスイム」という合計100mを泳ぐ競技。

・マネキン・トウ・ウィズフィン
「レスキューチューブとフィンを付けた状態で50mスイム」⇒「マネキンをレスキューチューブに繋げ50mスイム」という合計100mを泳ぐ競技。

・マネキン・リレー
4人1組でマネキンを運ぶリレー形式の競技。
ひとり当たり25mずつ泳ぐ。

・メドレーリレー
4人1組でおこなうリレー形式の競技。
ひとり当たり50mずつ泳ぐ。(泳ぎ方はそれぞれ異なる)

・ライン・スロー
12m先にいる救助者へロープを投げて30秒以内に助け出すという競技。

・レスキューメドレー
「自由形50mスイム」⇒「20m潜水」⇒「マネキンを抱えて30mスイム」
女子の場合は潜水15m、ゴールまで35mに変更される。

・SERC
4人1組でおこなう救助・手当のシミュレーション競技。

ライフセービングスポーツの大会について

それでは最後にライフセービングスポーツの主な大会をご紹介していきます。

○海外のライフセービングスポーツ大会
・ライフセービング世界選手権:2年に1回開催される大会。各国男女6名ずつが参加する。
・全豪選手権:毎年4月にオーストラリアで開催される大会。世界選手権よりレベルが高いとも言われる。
・全米ライフガード選手権:ジュニアからシニアまで年齢別に参加できる大会。(全員参加の競技もある)

○日本のライフセービングスポーツ大会
・全日本ライフセービング選手権:毎年9月~10月にかけて開催される国内最高峰の大会。
・全日本学生ライフセービング選手権大会:19歳以上かつ大学生・専門学生による全国大会。
・全日本ライフセービング種目別選手権大会:毎年6月に開催される種目別の大会。

この他にも国内外問わずライフセービングスポーツ大会は数多く開催されていますので、興味がある方はぜひ大会の情報をチェックしてみてください。

まとめ

競技としてのライフセービングスポーツについて詳しく解説してきました。

ご覧いただいたようにライフセービングスポーツは水難事故の犠牲者を少しでも減らすために実施されている競技です。

他のスポーツとは前提が異なるわけですが、磨いた技術や体力を発揮する大会では迫力のあるプレーを見ることが出来ます。

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