サーフィンを題材にした日本の映画というのは実はそこまで多くありません。
そんな中、ここ数年で傑作とも言える作品として知られているのが「ハナレイ・ベイ」という映画です。
こちらのハナレイ・ベイはサーフィンというひとつの要素を通じながらある母子の物語を描いた作品となっているのですが、非常に日本映画らしい表現が満載でとてもおすすめです。
ここではそんな日本のサーフィン映画「ハナレイ・ベイ」に関する情報をご紹介していきますので、ぜひご覧になっていってください。
ハナレイ・ベイの作品情報
「ハナレイ・ベイ」は月間文芸誌「新潮」に掲載されていた短編小説が原作なのですが、この原作を書いたのは日本の小説家として有名な村上春樹さんです。
ハナレイ・ベイという作品が初めて世に出たのは2005年のことで、その後は2009年に村上春樹さん自身が選ぶ短編小説集「めくらやなぎと眠る女」に収録されたことで多くの人の目に留まっています。
そんなハナレイ・ベイが映画化されたのは2018年のことです。
物語の主役であるシングルマザーのサチ役には演技派女優として知られる吉田羊さん、そしてその息子でありハナレイ・ベイで亡くなったタカシ役には若手俳優の佐野玲於さんが起用されています。
村上春樹さんが原作を書く作品が映画化されたのは2010年の「ノルウェイの森」以来だったこともあり、多くのファンから注目を集めました。
ハナレイ・ベイのあらすじ
ピアノバーを営むシングルマザーのサチ、そしてその息子のタカシ。
2人は事あるごとにケンカをし、お世辞にも仲のいい親子とは言えませんでした。
ある日、タカシはサチに対してハワイに行きたいからお金が欲しいと伝えます。
タカシはサーフィンに没頭する普通の若者で、ハナレイ・ベイの波に乗りたいという気持ちからハワイへと旅立っていきました。
しかし、そんなタカシはハナレイ・ベイでサーフィンをしているところ鮫に襲われ亡くなってしまいます。
その訃報を電話で伝えられたサチはハワイに訪れ、息子タカシの遺品などを淡々と整理します。
そして、いざ日本に帰るとなったとき、なぜかサチはタカシが亡くなったハナレイ・ベイという場所が気になり、足を向けるのです。
ハナレイ・ベイの海岸にイスを置き、海を眺めたり本を読んだりするサチ。
それから10年、サチは毎年タカシの命日の時期にはハナレイ・ベイで過ごすようになりました。
そんなハナレイ・ベイでの日々の中、サチは亡くなったときのタカシと同じくらいの年齢の青年2人と出会い、その2人から「赤いサーフボードを持った右脚のない日本人サーファーを見かける」という話を聞きます。
ハナレイ・ベイの見どころ
ハナレイ・ベイは「目に見えない親子愛」に焦点を当てた作品です。
また、ハワイの海やサーフィンといったものを通して、自然と生命のサイクルについて考えさせられるところも重要なポイントとなっています。
そして、亡くした息子と同じくらいの年齢の青年を介して、息子が本当は何を思っていたのかを知ろうとする母親の葛藤なども見どころのひとつです。
ちなみに村上春樹さんの小説というと細かい部分の風景描写が特徴でもありますが、そういった部分を映画では「映像美」として表現しています。
そうして必要以上にセリフを多くせず、風景や仕草をメインにしているところがこの映画の大きな特徴です。
淡々と物語が進む中、見ている人にとって考える隙間を与えてくれている点もこの映画の素晴らしさと言えます。
まとめ
村上春樹さん原作の日本映画「ハナレイ・ベイ」についてご紹介してきました。
海やサーフィンというものを通じ、親子の愛、ひとりの人間の再生と希望を描いた作品となっていますので、ぜひ一度ご覧になってみてください。