タラバガニの特徴・生態!生息地や大きさ・寿命など

この記事では冬に旬を迎える高級食材のひとつ「タラバガニ」の特徴や生態をご紹介していきます。

最近はネットの普及によって「タラバガニはカニの仲間ではなくヤドカリの一種」ということが広く知られるようになってきました。

しかし、そうなると「なぜカニの仲間ではないタラバガニがカニの王様と呼ばれているのか?」という疑問も出てきます。

ここでは、そんなタラバガニに関する雑学やタラバガニの種類、生息地や大きさなどを詳しくまとめてみました。

また、合わせてタラバガニの味わいや美味しく食べる方法も解説しているので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

タラバガニとは?

タラバガニは漢字で「鱈場蟹」と書き、生物学上は「十脚目ヤドカリ下目タラバガニ科」に分類される生き物です。

主にタラ(鱈)が生息する海域でよく獲れることから「鱈場蟹」という和名が付けられたとされています。
※そのほか、昔はタラバガニを食べる習慣がなく、そのまま山積みで放置されていたことから「殻場⇒からば⇒たらば」と呼ばれるようになったという説もある。

そんなタラバガニは「カニの王様」とも称されることが多く、旬を迎える冬には高値で取引されています。

なぜカニの王様と呼ばれている?

タラバガニがカニの王様と呼ばれているのは「とにかく身体が大きい」「しっかりとした味わい」「希少性が高い」という理由からです。

タラバガニはカニの中でも人気が高いズワイガニよりも大きく成長します。

また、味自体も良く食べ応えがあることからカニの王様と呼ばれているわけです。

そのほかズワイガニよりも獲れる場所が限られていて、全体的に漁獲量が少ないという点も価格高騰に繋がる部分と言えます。

種類は?

現在のところ「タラバガニ科タラバガニ属」に分類されているのは以下の種類となります。

・タラバガニ(別名:イバラガニ、タラガニなど)
・花咲ガニ(別名:イソガニ、コンブガニなど)
・アブラガニ(別名:アオガニ、アオタラバガニ)
他2種

「他2種」に関しては日本国内での取り扱いがほとんどなく、また生態についても詳しくは分かっていません。

日本で食用として出回っているのはタラバガニ・花咲ガニ・アブラガニの3種となりますが、アブラガニは少々味が劣るとされています。

なお、2000年代初頭に一部業者がアブラガニをタラバガニと偽って販売していたことが発覚し、そこからアブラガニをタラバガニと称して売ることが禁止されるようになりました。

英語での表記について

タラバガニは英語で「King crab(カニの王様)」と表記されます。

ただし、タラバガニと花咲ガニ・アブラガニを区別する場合は以下のようになります。

・タラバガニ(Red king crab)
・花咲ガニ(Blue king crab、Hanasaki-crab)
・アブラガニ(Abura-crab)

タラバガニは花咲ガニやアブラガニより赤色が濃く映るためレッド(Red)という言葉が使われているようです。

タラバガニはカニではない?

タラバガニはカニではなく、ヤドカリの一種です。

外見上は完全にカニの姿をしていますが、生態を紐解いていくとカニよりもヤドカリとしての性質を兼ね備えていることからヤドカリの一種として扱われています。

・タラバガニは脚が8本(4対)しかないように見える(実際には10本ある)
・メスの腹部が左右非対称でオスには生殖用の交尾器官がない
・横だけでなく縦にも歩ける

本来、カニの脚は両ハサミの2本(1対)を含めて全10本と決まっています。

しかし、タラバガニの場合は5対目の脚が小さく、パッと見たときには8本の脚しか確認できません。

また、メスの腹部が左右非対称であり、腹肢が片側にしかないといったところも普通のカニとは異なる部分です。
※ヤドカリの仲間は貝殻の中に入るために身体がねじれている。

そのほかオスの交尾器官の有無、歩ける方向の違いなどによってタラバガニはヤドカリの一種として扱われているわけです。

このように生物学上はヤドカリの仲間ではあるものの、日本では水産業における位置づけとしてタラバガニを「カニの一種」とみなしています。

タラバガニの特徴・生態

ここからはタラバガニの生息地・大きさ・寿命といった詳しい生態をご紹介していきます。

生息地

タラバガニは冷たい海を好む生き物なので、生息地も基本的には北洋に偏っています。

実際によく生息しているのは北海道より北側の海域で、北上するほど浅いところを棲み処とするといった特徴があります。

なお、タラバガニがよく獲れるのは北海道沿岸部・オホーツク海・アラスカ沿岸・ベーリング海といった場所です。

ちなみに青森県〜宮城県といった太平洋側の沿岸部や日本海に面した石川県でもタラバガニ漁はおこなわれていますが、その漁獲量は北海道産タラバガニに遠く及びません。

また、日本ではタラバガニが高級食材として扱われていて消費量も多いことから、旬の時期にはロシアやアメリカで獲れたものを輸入してくることもあります。

※国内で確認されたタラバガニの生息地の南限は島根県の隠岐諸島、徳島県沖となっている。

大きさ

タラバガニの大きさは甲羅がだいたい20cm〜25cmで、広げたときの脚の長さは1m以上になります。

甲殻類全体で考えた場合でもタラバガニは非常に大きい種類であり、食用のカニの中ではサイズがトップクラスです。

ちなみにズワイガニだと甲羅の大きさが10cm〜15cm程度、毛蟹だと10cm程度が標準サイズとなります。

また、タラバガニは脚の太さも特徴的であり、これにより可食部が多いといった魅力に繋がるわけです。

寿命

タラバガニの寿命は25年〜30年くらいと考えられています。

メスよりもオスの方が長く生きるケースが多く、成長しきったオスのタラバガニは体重が5〜6kgを超えることもあります。

なお、一般的に流通しているズワイガニは体重1kg程度で、寿命は20年くらいです。

寿命と成長の度合いを比べても、タラバガニはカニの王様と言えるかもしれません。

タラバガニの味と美味しい食べ方

タラバガニの旬は冬です。

冷たい海域で育ったタラバガニほど身質がしっかりとしていて、食感も良くなる傾向にあります。

そんなタラバガニの美味しい食べ方としては、やはり「蒸しタラバガニ」「焼きタラバガニ」の2つは外せません。

どちらもタラバガニ本来の味を楽しむ上では最高の食べ方と言えるでしょう。

また、タラバガニは鍋の具材として使われることもあります。

ただし、タラバガニのカニミソに関してはあまり評価が高くなく、ズワイガニや毛蟹ほど美味しくないとされています。

これはタラバガニの生態に関係する部分であり、カニの仲間ではないためカニミソと呼ばれている肝膵臓が少なく、油臭いことが原因のようです。

そのため、タラバガニを美味しく食べたい場合はカニミソを無視した方が良いと言えるでしょう。

まとめ

カニの王様と呼ばれている「タラバガニ」の特徴や生態を詳しくご紹介してきました。

ご覧いただいたようにタラバガニはヤドカリの仲間です。

しかし、見た目や食用の価値から考えて日本ではカニの一種として扱われています。

タラバガニはサイズが大きいカニですが、身質がしっかりとしているため見た目ほど大味にはなりません。

むしろ筋肉質な脚の部分は絶品であり、旬を迎える冬にはぜひとも味わいたい高級食材と言えます。

なお、花咲ガニの名前で販売されているカニもタラバガニの一種なので、カニを購入する際は参考にしてみてください。

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