タツノオトシゴの種類と生態!生息地や寿命についても

この記事では、海の生き物の中でも独特な見た目をしている「タツノオトシゴ」の生態を詳しくご紹介していきます。

タツノオトシゴは「トゲウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属」に分類される魚です。

なお、パッと見た感じだと魚っぽくない姿をしているタツノオトシゴですが、生物学上は海水魚(種類によっては気水魚)に分類されています。

ここでは、そんなタツノオトシゴの特徴・生息地・性格・寿命・食性・飼育の難易度などを分かりやすくまとめました。

水族館でも人気が高いタツノオトシゴのことをもっと深く知りたいという方は、ぜひこちらの内容を最後までご覧になっていってください。

タツノオトシゴとは?

まずはタツノオトシゴの基本的な特徴から見ていきましょう。

冒頭でも伝えたようにタツノオトシゴは「トゲウオ目ヨウジウオ科タツノオトシゴ属」に分類される魚です。

英語の学名ではタツノオトシゴの仲間を総称して「Hippocampus(ヒッポカンポス)」 と呼びますが、これはギリシャ神話に登場する海の神様「ポセイドン」の馬車をひく馬の名前から取られています。
(ヒッポカンポスは学術的な表現であり、一般的には「Sea Horse(シーホース)」と呼ぶ)

ちなみにタツノオトシゴを漢字で書くと「竜の落とし子」となりますが、「海馬(ウミウマ)」といった別名もあります。

そんなタツノオトシゴが普通の魚と大きく違うところはその見た目です。

一般的な魚は身体を前後に向けて泳ぎますが、タツノオトシゴは直立しているような状態で遊泳をおこないます。

また、全身が硬い鎧のようなウロコで覆われているところも特徴のひとつです。

なお、タツノオトシゴといえばよく「オスが卵を産む」といった表現もされる生き物ですが、実際にはメスがオスの身体に産卵をしてその卵をオスが孵化させているだけとなります。

タツノオトシゴの種類・仲間

続いてはタツノオトシゴの種類について見ていきましょう。

タツノオトシゴは世界中に生息する魚で、その種類は全部で50種類ほどと言われています。

なお、タツノオトシゴは21世紀に入ってからもいまだに新種が発見されることもあり、どれくらいの種類が存在するのか正確な数字は分かっていません。

そのため、ここでは日本近海に生息するタツノオトシゴの仲間をピックアップしてみました。

【タツノオトシゴの種類】

・タツノオトシゴ(竜の落とし子)

体長10cm~15cmくらい、日本各地の沿岸部に生息する代表的な種類です。

黄色っぽいウロコを持つ個体が一般的ですが、赤・黒・茶色といった見た目の個体も存在します。

海藻が密集する藻場に生息していることが多く、長い尾を海藻に巻き付けて身体を固定しながら生活をしています。

・タカクラタツ(高倉竜)

青森県より南側の太平洋沿岸、山口県より南側の日本海沿岸、沖縄県近海に生息しているのが「タカクラタツ」です。

体長が20cmを超える個体が多く、身体の背面側に斑模様を持つところが特徴として挙げられます。

・ハナタツ(花竜)/エンシュウタツ(遠州竜)

主に西日本の沿岸部に生息しているのが「ハナタツ」です。

別名「エンシュウタツ」とも呼ばれ、体長は9cm前後とやや小柄な種類となります。

タツノオトシゴと同じように海藻状の突起を持つところが特徴的な部分です。

・イバラタツ(茨竜)

紀伊半島や伊豆半島沿岸の近海に生息しているのが「イバラタツ」です。

名前の通り、身体に短い棘が無数に並んでいるところが特徴のひとつになります。

海岸から少し離れた水深30m前後の場所で生活していて、見かける機会があまり多くない種類です。

・オオウミウマ(大海馬)

伊豆半島より南の海域に生息しているのが「オオウミウマ」です。

タツノオトシゴの仲間の中では大柄な体格をしていて、体長が30cmを越す個体も存在します。

また、一度に600尾ほどの稚魚を生むことでも知られています。

・サンゴタツ(珊瑚竜)

北海道から九州まで幅広い海域のアマモ場に生息しているのが「サンゴタツ」です。

体長は9~10cm程度で、大半の個体は身体が褐色・黒色となっています。

・クロウミウマ(黒海馬)

南西諸島の沿岸部が生息地として考えられているのが「クロウミウマ」です。

体長30cmと大柄な種類となりますが、こちらに関してはオオウミウマと混同されることも少なくありません。

体色のバリエーションが多く、タツノオトシゴの口にあたる「吻(ふん)」が長いところが特徴となっています。

タツノオトシゴの生態・特徴

ここからはタツノオトシゴの生態や特徴について解説していきます。

タツノオトシゴには様々な特徴がありますので参考にしていってください。

生息地

タツノオトシゴは世界中の熱帯・温帯地域の海に生息しています。

基本的には浅瀬を生活拠点としていて、サンゴや海藻などに尾を絡ませて身体を固定するというのがタツノオトシゴの習性です。

ただし、中には海流や流れ藻に乗って海の中を移動する個体もいるようです。

ちなみに日本では北海道から沖縄まで、ほぼすべての海でタツノオトシゴを発見することができます。

性格

タツノオトシゴの性格は温厚で、非常におとなしい魚と言えます。

そのため、飼育環境においても他の魚を攻撃することがありません。

また、同種同士でケンカをすることもほとんどないようです。

食性

タツノオトシゴは肉食性で小魚や小型の動物プランクトン、魚卵などを主食としています。

おとなしい性格の魚ですが食性としては旺盛で、ギリギリ口に入るくらいのエサも捕食対象としているところが特徴的です。

幼生の甲殻類などもエサのひとつとなり、飼育下においてはアミ類の生餌を与えて育てることになります。

産卵

タツノオトシゴはオスの身体にある「育児嚢」と呼ばれる器官にメスが産卵をして繁殖活動をおこないます。

孵化までの期間は種類によって異なるものの、だいたい2~3週間くらいで孵ることが一般的です。

なお、孵化した幼生はしばらくそのまま育児嚢で育てられます。

無事に稚魚まで成長すると育児嚢から離れて、親と同じような行動を取るというのがタツノオトシゴの特徴です。

タツノオトシゴの寿命

タツノオトシゴの寿命はだいたい2~3年くらいと言われています。

ちなみにこれは家庭で飼育した場合の寿命で、自然環境では5~10年ほど生きる個体も存在するようです。

タツノオトシゴの飼育は難しい?

タツノオトシゴは他の海水魚と同じような機材で飼育できるので、そこまで難易度は高くありません。

飼育する際にはタツノオトシゴが休める細いサンゴの枝や海藻を水槽の中に入れましょう。

なお、混泳については相手を選ぶ必要があります。

タツノオトシゴよりも大きい魚と混泳させると攻撃を受ける可能性がありますので、できれば同種同士での飼育が望ましいと言えます。(小型の魚や性格がおとなしい魚であれば混泳可)

まとめ

海の生き物の中でも特徴的な見た目をしている「タツノオトシゴ」について詳しく解説してきました。

ご覧いただいたようにタツノオトシゴはオスが卵を孵化させるといった習性を持っています。

また、他の魚と違って直立状態で泳ぐところも特徴のひとつに挙げられます。

そんなタツノオトシゴを自宅で飼育する際には、出来る限りストレスがない環境を用意することが大切です。

ちなみにエサはブラインシュリンプやホワイトシュリンプといった生餌などを好みますので、そういった部分もしっかり抑えておきましょう。

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