この記事では「ケープペンギン」の生態をご紹介していきます。
ケープペンギンはアフリカ大陸に唯一定住しているペンギンの仲間です。
全ペンギンの中では小型〜中型サイズにあたり、体重も4kg〜5kgほどと身軽な体型をしています。
ここでは、そんなケープペンギンの生息地・食性・性格・寿命といった様々な特徴を分かりやすくまとめました。
また、ケープペンギンと他のペンギン(コウテイペンギンやキングペンギンなど)の違いなども解説していますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。
ケープペンギンとは?
ケープペンギンは「鳥綱ペンギン目ペンギン科ケープペンギン属」に分類されるペンギンです。
ケープペンギン属にはケープペンギンのほか、フンボルトペンギン・マゼランペンギン・ガラパゴスペンギンが含まれています。
また、ケープペンギン属は「フンボルトペンギン属」と呼ばれることもありますが、フンボルトとは南アメリカ大陸の西側を流れている海流の名称です。
現在のところ、地球上には全部で18種類のペンギンが存在すると考えられていて、そのうち南アフリカ大陸に定住しているのはケープペンギンのみとなります。
なお、温暖な地域である南アフリカにいるケープペンギンは羽に熱がこもってしまうことから、クチバシや目の周りに羽が生えていないところが特徴的です。
ちなみにそんなケープペンギンですが、ICUN(国際自然保護連合)によるレッドリストでは絶滅危惧種に指定されていて、そのレベルは3段階のうち2番目の水準となっています。
絶滅危惧種に指定されるほど個体数を減らした主な原因は海洋汚染の問題です。
特に2000年代に発生したタンカー座礁事故では大量の石油・原油がケープペンギンの繁殖地や生息地を襲い、その影響によって数十万羽の個体が犠牲となりました。
そのほか乱獲や海洋汚染によりケープペンギンのエサである小魚がいなくなっていることも問題視されています。
大きさと見た目
ケープペンギンの大きさは体長60cm〜70cm、体重4kg〜5kg程度と小型~中型のサイズです。
見た目の特徴としては、上半身部分に黒い模様が多く、下半身にいくほど白い模様が増えるといった点が挙げられます。
また、胸のあたりに黒いラインが入っているところ、その下に黒の斑点模様があるところもケープペンギンならではの特徴です。
なお、同属に分類されるフンボルトペンギンとは胸元の黒いラインの太さ、クチバシや目の周りの皮膚の色が異なります。
(フンボルトペンギンは胸元の黒いラインが太く、ケープペンギンより顔周りにピンク色の皮膚面積が多い)
繁殖や生活様式
ケープペンギンは1年中繁殖が可能な生き物です。
多いときには1年の間に複数回の産卵をおこなうことがあります。
なお、産卵のピークは2月〜5月、または11月〜12月です。
40日程度の抱卵期間を終えて孵化したヒナは、さらに40日ほど掛けて親元で成長します。
ちなみにケープペンギンはオスとメスの両方が子育てに参加するペンギンです。
鳴き声
ケープペンギンの鳴き声は「ロバ」に似ています。
そのため、ケープペンギンは「ジャッカスペンギン」と呼ばれることもあります。
※Jackass=オスのロバ
なお、1499年にポルトガルの探検家「ヴァスコ・ダ・ガマ」が南アフリカ大陸を調査した際、その一行がケープペンギンに関する記録を残していますが、これが「人間が初めてペンギンを見た瞬間」とも考えられているそうです。
ちなみにこの記録では、ケープペンギンについて「ロバのようにうるさく鳴く」「大きさはガチョウくらい」などと書かれています。
※すでに南アフリカの原住民たちがケープペンギンを見ていた可能性はあるが、記録として残っているものではヴァスコ・ダ・ガマ一行のものが最古とされる。
ケープペンギンの名前の由来
ケープペンギンという名前は、南アフリカ共和国のケープ地方に生息していることがその由来とされています。
また、南アフリカ大陸で唯一見られるペンギンであることから「アフリカンペンギン」と呼ぶこともあるそうです。
そのほかの別名には、前述の通り「ジャッカスペンギン」や見た目から名付けられた「足黒ペンギン」といったものがあります。
ケープペンギンの生態・特徴
ここからはケープペンギンの生息地・食性・性格・寿命といった詳しい生態をご紹介していきます。
生息地
ケープペンギンは南アフリカ大陸の南西部に生息しています。
具体的には南アフリカ共和国のケープ地方〜ナミビア南部の沿岸部がケープペンギンの繁殖地兼生息地です。
なお、南アフリカ大陸を定住地としているペンギンはケープペンギンのみで、同属のペンギンたちは別の場所で暮らしています。
(フンボルトペンギンはペルーやチリ、マゼランペンギンはアルゼンチンやチリ、ガラパゴスペンギンはエクアドルのガラパゴス諸島に分布)
ちなみにケープペンギンは定住性がとても強い生き物です。
生息地から数百キロ離れたところからでも、自分の棲み処に戻ってこられる本能と能力を持っています。
食性
ケープペンギンは「肉食性」のペンギンです。
好物はカタクチイワシなどの小魚で、ほかにはタコやイカなどをエサとして食べています。
なお、ケープペンギンはとても優れた潜水能力を持っていて、100mくらいまで潜ることが可能です。
そのため、広い範囲までエサを獲りに行くことができるわけです。
しかし、近年では周辺国の乱獲によってケープペンギンのエサである小魚が減っていて、ケープペンギンたちの生活が脅かされています。
性格
ケープペンギンは可愛らしい見た目とは異なり、なかなか攻撃的な性格をしています。
同種の個体や天敵とケンカをすることも数多くあり、その際にはクチバシやフリッパー(翼にあたる部分)で攻撃をおこないます。
ケープペンギンは一夫一妻制で、仲間意識も強い生き物です。
自分のパートナーや仲間たちを守るためには相手を追い返すまで攻撃をしますが、このあたりもケープペンギンならではの特徴と言えるでしょう。
寿命
ケープペンギンの寿命はおよそ15年〜20年です。
水族館で飼育されている場合は25年ほど生きるケースもあります。
ただし、野生下においては天敵からの攻撃や飢餓によって寿命を全うできないことも珍しくありません。
最近はケープペンギンの保全活動が積極的におこなわれているものの、生息地周辺でのエサ不足は深刻な問題となっています。
ケープペンギンと他のペンギンの違い
ケープペンギンと他の有名なペンギン(皇帝ペンギンやキングペンギン)の違いは以下の通りです。
〇身体の大きさ
・ケープペンギンの体長は60cm~70cmくらい
・皇帝ペンギンの体長は100cm~120cm以上
・キングペンギンの体長は80cm~90cm以上
〇身体つきや体色
・ケープペンギンは温暖なところに生息するため体毛が薄い
・体色は黒と白のツートーンでクチバシの周りにピンク色の皮膚が出ている部分がある
・皇帝ペンギンやキングペンギンは南極大陸や周辺の島々に住むため体毛が濃い
・体色は黒と白以外に黄色やオレンジ色の部分がある
ご覧のように同じペンギンでも、ケープペンギンと他のペンギンでは身体の大きさや見た目にハッキリとした違いがあります。
まとめ
南アフリカ大陸に唯一生息する「ケープペンギン」の生態や特徴をご紹介してきました。
ケープペンギンは個体数の減少が問題視されているペンギンで、一説には絶滅寸前とも言われています。
そんなケープペンギンを守るために様々な団体が保全活動をおこなっていますので、興味がある方はそうした活動もチェックしてみてください。