小学生のころに理科の授業などで勉強をしたプランクトン。
大人になってからはあまり言葉自体を聞かなくなりますが、なんとなく「海にいる小さな生物」といったイメージがありますよね。
この記事ではそんなプランクトンに関する基礎的な知識や種類、役割についてご紹介していきます。
釣りやサーフィン、ダイビングといった趣味をお持ちの方は、実は海でプランクトンと接する機会が多いものです。
ぜひこの機会にプランクトンに関する知識を得て、海のことをより深く知っていきましょう。
プランクトンとは?
プランクトンとは海や川など水中に存在する「浮遊生物」のことです。
自分で移動できるほどの遊泳能力を持たない、もしくは遊泳能力があったとしても潮や川の流れに逆らえず、水中をただ漂うだけの生き物のことを総称してプランクトンと呼びます。
プランクトンは生態系の中で最下層にいる存在と言われ、水中の食物連鎖において重要な役割を担うものです。
ちなみにプランクトンと聞くと、「プランクトンという生物」がいるかのように誤解されがちですが、プランクトンは様々な生き物の総称なのでプランクトンという生物がいるわけではありません。
プランクトンという名前は「漂う」「流される」といった意味をもつ古代ギリシャ語の「planktos」が語源とされています。
およそ35億年前の地球上にはすでに存在していたとされ、その植物プランクトンなどによって大気や海中に酸素が生みだされていったそうです。
このように地球の環境を維持するためには欠かせない存在のプランクトンですが、次にその大きさについてご紹介していきましょう。
プランクトンの大きさ
プランクトンは色々な定義によって分類されますが、その大きさから以下のように分類されることもあります。
・メガプランクトン:20cm以上
・マクロプランクトン:2cm~20cm
・メソプランクトン:0.2mm~20mm
・マイクロプランクトン:20μm~200μm
・ナノプランクトン:2μm~20μm
・ピコプランクトン:0.2μm-2μm
・フェムトプランクトン:0.2μm以下
※「μ(マイクロ)=1/1000」
こうして見ると意外と大きなプランクトンも存在しているように感じられますが、一例を挙げると「クラゲ」もプランクトンの一種と定義づけられることがあるため上記のような分類になるわけです。
先ほども触れましたが、プランクトンとは遊泳能力を持たない生物の総称であり「概念」のようなものとして捉えられています。
そのため、肉眼で見えるものから顕微鏡で覗かないと目視できないものまで幅広く存在します。
なお、メガプランクトンの代表格と言えばクラゲの仲間になりますが、子供の頃に勉強したようなプランクトンはどのサイズのものに分類されるかも見ておきましょう。
・ミジンコ:カニやエビと同じ甲殻類の生物で大きさはだいたい1mm程度。そのためメソプランクトンに分類される。
・ミカヅキモ:植物性プランクトンとして有名。大きさは0.1mm~0.5mmほどなのでメソプランクトンとマイクロプランクトンの間あたりに分類される。
・イカダモ:筏のような形をしている植物性プランクトンで、体長は20μmほどなのでナノプランクトンに分類される。
このようにプランクトンと言っても一概に同じ大きさのものばかりではなく、それぞれ異なるサイズをしているところが非常に特徴的な部分です。
また、幼生の時期はプランクトンに分類されるものの、成長することで普通の海中生物へと分類されるものもたくさん存在します。
これを「一時プランクトン」と呼び、成長してもサイズが変わらず一生をプランクトンとして過ごすものを「終生プランクトン」と呼びます。
ちなみにプランクトンはただ水中を漂う生物のことを指しますが、これに対して遊泳能力の高い微生物のことを「ネクトン」と分類したりもします。
さらに海や川の水底で生活する生き物のことを「ベントス」、水面のすぐそばで生活する生き物を「ニューストン」と分類するなど、微生物の世界は実に奥深いものです。
このようにプランクトンにはたくさんの種類があるわけですが、次にその種類について詳しく見ていきましょう。
プランクトンの種類
プランクトンの種類は大きく分けると植物プランクトンと動物プランクトンの2つに分かれます。
その違いについてご紹介していきますのでご覧ください。
植物プランクトン
植物プランクトンとは自分の身体で光合成をおこない、必要な栄養素を自分で補える生き物のことを指します。
動物プランクトンより身体の構造が簡素化されているところが特徴的で、自発的に動く必要がないためこのような進化を辿っているようです。
そんな植物プランクトンは二酸化炭素を摂取し酸素を吐き出すことから、海や川の自浄作用を担う重要な存在となっています。
ただし、植物プランクトンが大量に発生すると、赤潮や青潮などの原因となります。
赤潮や青潮はその付近の海域や水域の酸素濃度バランスを崩し、さらに魚などの生物たちのエラにプランクトンが付着することで多くの生き物の命を奪っていってしまいます。
こうした現象は高度経済成長期以降から日本の沿岸で多く見かけるようになったとされていますが、その原因のひとつは生活排水や工業排水の増加です。
プランクトンにとって栄養が含まれる人工的な排水は、生態系のバランスを崩すものとされ近年においてとても問題視されています。
植物プランクトン自体は海中や大気を自浄するために必要な存在ですが、増えすぎるのも問題というわけですね。
動物プランクトン
動物プランクトンとは外部から栄養を摂取するために自発的な運動ができる微生物のことを指します。
そのため、植物プランクトンより身体の構造が複雑になっているところが特徴的な部分です。
特に子孫を残すための繁殖機能やエサを取り込む捕食構造を持っているところが植物プランクトンとの大きな違いと言えます。
また、動物プランクトンの中には植物プランクトンと同じように光合成ができる生物も含まれているのですが、その代表格がミドリムシです。
ミドリムシは2本の鞭毛(べんもう)を使って自発的に遊泳ができることから動物プランクトンの一種とされていますが、光合成ができることを考えると植物プランクトンとも言えるわけです。
ちなみに動物プランクトンにはオキアミなど甲殻類の仲間も含まれていて、これらは海中の大きな生物たちにとって非常に重要なエサとなっています。
海中での食物連鎖を一番下から支えているのはこの動物プランクトンの仲間たちとも言えますので、その存在はとても貴重と言えるでしょう。
プランクトンの役割
プランクトンの役割は先ほどからも伝えているように食物連鎖の最下層を下から支えているところです。
また、植物プランクトンに関しては二酸化炭素を吸収し、酸素に変換してくれているところも地球にとっては重要な役割と言えます。
なお、海中に生息するすべての生き物の内訳を考えると、プランクトンは実に98%ほどの割合を占めているそうです。
つまりプランクトンがいなくなると海中の生物の大半は生きていけないことになります。
人間たちが魚などの魚介類を摂取できるのもプランクトンがいるおかげですので、出来る限りその生態系を崩さないよう配慮することが大切と言えるでしょう。
まとめ
知っているようであまり知らない「プランクトン」の世界についてご紹介してきました。
プランクトンは地球や人間にとってなくてはならない存在です。
しかし、プランクトンが異常なまでに大量発生すると生態系のバランスが崩れてしまいます。
そのため、我々人間はなるべく海洋環境を保護しながら、プランクトンたちの自然な生活を守る必要があるわけですね。