サンゴ礁とは何?種類や現状・問題についても

この記事ではサンゴ礁とは何か?という疑問を解消するために、様々な情報を分かりやすくご紹介していきます。

サンゴ礁は「造礁サンゴ」と呼ばれるサンゴが密集して出来た地形のことです。

そんなサンゴ礁にはいくつかの種類があり、種類によって異なる特徴を持っています。

また、サンゴ礁の特徴を解説しながら「日本におけるサンゴ礁の現状や問題」についても触れていきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

サンゴ礁とは何?

サンゴ礁とは、ひとつひとつのサンゴが作り上げる「石灰質の骨格」が積み重なった状態の地形を指します。

なお、このようにサンゴ礁を形成するサンゴのことを「造礁サンゴ」と呼びます。

サンゴはポリプという本体に対して石灰質の骨格を作って成長していくのですが、この石灰岩を自身の下に作ることで自分の身体を海面近くにまで押し上げるといった性質を持っています。

こうして作られた石灰岩が幾重にも積み重なり、環状や枝状に伸びていった地形を「サンゴ礁」と呼ぶわけです。

そんなサンゴ礁には海洋生物たちに棲み処を提供するといった役割があります。

小さい海洋生物たちは外的から身を守るためにサンゴ礁を棲み処とし、結果として生態系バランスの維持に繋がっていきます。

また、サンゴと共生する褐虫藻は海中の二酸化炭素を吸収して有機物を生み出しますので、二酸化炭素濃度の安定にもサンゴは必要ということです。

サンゴ礁の種類

サンゴ礁

ここからはサンゴ礁の種類について解説していきます。

サンゴ礁は形状や生息する場所によって名称が変わってくるのですが、それぞれの特徴を分かりやすくまとめてみました。

裾礁(きょしょう)

裾礁とは、サンゴ礁と陸地が接している地形を指します。

ちなみに日本のサンゴ礁はそのほとんどが「裾礁」です。

つまり、沖縄県で見かけるようなサンゴ礁は大体がこの「裾礁」ということになります。

裾礁の淵から内側にかけては浅めの礁池となるのですが、真上から観察すると水色に見えるところが大きな特徴です。

堡礁(ほしょう)

堡礁とは、サンゴ礁と陸地の間に「ラグーン」と呼ばれる礁湖(しょうこ)がある地形を指します。

簡単に言えば島の周りをサンゴ礁が取り囲んでいるようなところを堡礁と呼ぶわけです。

なお、堡礁の代表格と言えばオーストラリアのグレートバリアリーフが挙げられます。

ちなみに堡礁は、裾礁の状態から地殻変動により長い年月をかけて島が沈み込むことで形成されます。

つまり、沖縄県の離島で見かける裾礁もいつかは堡礁になるかもしれないということです。

環礁(かんしょう)

環礁とは中央に島などがなく、ただサンゴ礁が環状に形成されている地形を指します。

こちらの環礁は、堡礁の状態からさらに長い年月をかけて島が沈み込み、完全に海中へと潜ってしまった場所で見られるサンゴ礁です。

リーフと呼ばれる礁原の上に砂が積み重なり、のちに小さな島のようなものを作り上げることもあります。

ちなみに海好きの方から旅行先として人気がある「モルディブ」は、この環礁が作り上げた土地を国土としている国です。

土地自体がサンゴ礁から成り立っていることもあり、白い浜辺が一面に広がっているところが大きな魅力と言えます。

ただし、モルディブにあるような環礁エリアは海面が1メートルでも上がれば海の中に沈んでしまいます。

その海面上昇の原因となるのが地球温暖化です。

そんな地球温暖化は日本のサンゴ礁にも影響を与えているのですが、次に詳しく説明していきましょう。

日本のサンゴ礁の現状と問題

ここまでサンゴ礁の特徴や種類などをご紹介してきましたが、ここからは日本のサンゴ礁の現状や抱える問題について見ていきます。

まず、日本にあるサンゴ礁の約8割は沖縄県にあります。

沖縄県は昔からサンゴが生育するのに適した海洋環境が整っていたこともあり、国内では美しいサンゴ礁が見られるスポットとして非常に有名です。

しかし、現在そんな沖縄県のサンゴ礁が危機的な状況に陥っています。

その原因は複雑なのですが、主なものを以下にまとめてみましたのでご覧ください。

【日本のサンゴ礁が危機的な状況にある原因】
・地球温暖化による海水温の上昇
・気候変動による大型台風の発生
・海水の酸性化
・その他の環境ストレス

サンゴ礁を形成する造礁サンゴは「褐虫藻」という単細胞藻類と共生しているのですが、この褐虫藻には光合成によって栄養を摂取する役割があります。

そんな褐虫藻は海水温が2℃上がるだけでも死滅してしまうと言われていて、褐虫藻がいなくなったサンゴは有機物の供給が途絶えてしまい本体の色が白く透けてきてしまいます。

なお、サンゴは自分でもプランクトンなどを捕食して栄養を摂取できますが、褐虫藻が摂り込む炭酸カルシウムや二酸化炭素をもとにして石灰質の石や岩を生み出していますので、この褐虫藻が海水温の上昇によっていなくなってしまうとサンゴの骨格となる部分が作れなくなってしまうわけです。

これをいわゆる「サンゴの白化現象」と呼びますが、こうした現象は沖縄だけでなく世界各地で起きています。

ちなみにサンゴの白化現象は褐虫藻がいなくなることだけが原因ではなく、強い日光や紫外線、海水の塩分濃度の低下などによっても引き起こされるようです。

また、無事に成長したサンゴ礁であったとしても大型の台風に巻き込まれてしまうと外的要因によって破壊されてしまいます。

近年、日本でも南国のような大型台風が直撃するケースが増えてきていて、その通り道である沖縄県の海ではサンゴ礁に深刻なダメージを与えているのです。

サンゴ礁は多くの海洋生物が暮らす場としても重要ですが、人間からすれば「天然の防波堤」としての役割があります。

当然、サンゴ礁が減れば波の高さがどんどん高くなってきてしまいますので、沿岸部に住みづらくなるといった弊害も出てくわけです。

また、地上の二酸化炭素濃度が上昇すると海に溶け込む二酸化炭素量が増え、海水自体が「酸性化」してしまうのですが、これもサンゴにとっては生息しにくい環境を生み出すことに繋がります。

というのも、海水が酸性化すると炭酸イオン濃度が低下するため、サンゴ本体が成長するのに必要な炭酸カルシウムが溶けてしまうのです。

簡単に言えば骨がスカスカな状態になってしまうわけですが、こうなるとサンゴ礁は強い海の流れなどに耐えられません。

なお、他にもサンゴ礁にとって天敵であるブダイ・オニヒトデなどが増殖していることで棲み処を追われるケースも確認されています。

サンゴ礁が減ればそこに生息する多くの海洋生物たちも減少し、最悪の場合は魚がほとんど獲れないような漁場になってしまう可能性もゼロではありません。

こうした未来を変えるためには地球温暖化をストップさせるための活動が重要となってきますので、ぜひ日頃の生活から意識をしてみてください。
(石油燃料に頼らない暮らし、プラスチックゴミの削減など)

関連記事:地球温暖化による海への影響とは?私たちにできることも

まとめ

サンゴ礁の特徴や種類、また日本におけるサンゴ礁の現状や問題について詳しく解説してきました。

ご覧いただいたようにサンゴ礁は地球温暖化や気候変動の影響で死滅したり成長が止まってしまったりするケースが増えてきています。

サンゴ礁を守るためには少しでも地球温暖化をくい止めることが大切です。

海に行く機会が多い方もそうでない方も、ぜひこうしたサンゴ礁の現状を理解した上で自分に出来る努力をしてみてください。

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