ホッキョクグマの特徴・生態!地球温暖化による影響についても

この記事では地上に生息する肉食動物の中でもっとも大きな身体を持つ「ホッキョクグマ」についてご紹介していきます。

ホッキョクグマは北極圏やアメリカ大陸北限などに生息している生き物です。

一生のほとんどを海に浮かぶ氷の上で過ごし、非常に優れた遊泳力を持っています。

また、その真っ白な見た目と2mを超える体格は他の生き物にない特徴と言えます。

ここでは、そんなホッキョクグマの生態を詳しくまとめました。

ホッキョクグマの生息地・繁殖方法・寿命といった点から、ホッキョクグマはなぜ白いのか?といった疑問まで分かりやすく解消していきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

ホッキョクグマとは?

ホッキョクグマは「哺乳綱食肉目クマ科クマ属」に分類される大型の肉食動物です。

一般的に「シロクマ」と呼ばれているのは、このホッキョクグマのことを指しています。

現在のところホッキョクグマは世界中に26,000頭ほど存在すると言われていますが、一時期は人間による乱獲などによってその個体数を減らしていました。(いまはホッキョクグマの保全活動が盛んにおこなわれている)

ホッキョクグマは地上に生息する生き物ながら生涯のほとんどを氷の上で過ごします。

エサを獲るためには海に潜る必要がありますが、冷たい海の中でも数時間は泳ぐことが可能です。

そんなホッキョクグマの特徴と言えば、やはり真っ白な見た目です。

前述の通りホッキョクグマは「シロクマ」とも呼ばれるほど白い体毛を持っていますが、実はホッキョクグマの体毛は白色ではなく「透明」ということをご存知でしょうか。

ホッキョクグマの体毛は透明かつ「内部が空洞」という特殊な構造をしています。

そして、太陽光がこの体毛を照らすと細い空洞の中で光が乱反射し、結果として身体が白く見えるそうです。(ちなみにホッキョクグマの皮膚は黒色をしている)

また、ホッキョクグマの体毛が特殊な構造をしているのは、空洞の中に熱を留め身体を温めるためでもあります。

ホッキョクグマは皮膚の下に分厚い脂肪を蓄えていますが、その脂肪に加え保温性の高い体毛があることによって厳しい環境でも生き抜いていけるわけです。

なお、ホッキョクグマは他のクマより首が長く、頭や耳が小さくなっているのですが、これもまた気温が低いところで生活するための進化と言われています。

ホッキョクグマの特徴・生態

ここからはさらに詳しくホッキョクグマの特徴や生態をご紹介していきます。

ホッキョクグマの大きさや生息地、繁殖方法や寿命などをご覧になっていってください。

大きさ

ホッキョクグマの大きさはだいたい以下の通りです。

オス:体長2.0m~2.5m、体重400kg~600kg
メス:体長1.8m~2.0m、体重200kg~350kg

生き物の中にはオスよりメスの方が大きい種属も存在しますが、ホッキョクグマの場合はオスの方がメスより1.2~1.3倍ほど大きく成長します。

ちなみにオスのホッキョクグマの場合、最大800kg以上に成長することもあるそうです。

また、妊娠しているときのメスの体重は500kgくらいまで増えることもあります。

これは陸上で生活をする「肉食動物」の中ではもっとも大きなサイズです。

日本に生息するクマだと「ヒグマ」が有名ですが、ヒグマのオスでも2m前後なのでホッキョクグマの方が大きな身体を持っています。

※なお、陸上でもっとも大きな動物はアフリカゾウで鼻を含めた全長が6~7mある。また、肩までの高さだけでも3mを超える(ただしアフリカゾウは草食動物)

生息地

ホッキョクグマの生息地は「北極圏」です。

具体的にはアメリカ大陸北部のアラスカやカナダ、ユーラシア大陸北部のノルウェー・グリーンランド・ロシア・アイスランドの北極圏寄りに生息しています。

ホッキョクグマは基本的に「流氷」が浮かぶ海域や海岸沿いで生活をしていて、冬の時期になると流氷に乗って南下をします。

なお、氷の上で生活することがほとんどであるホッキョクグマは、直射日光や風雪を避けるために巣穴を作ることもあるそうです。

簡易的な住居を作って生活をする姿を見ると、それなりの知能を持っていることも分かります。

繁殖

ホッキョクグマは哺乳類の一種なので、繁殖方法は「胎生」です。

だいたい3月~6月ごろまでに繁殖活動をおこない、11月~翌年1月ごろに出産をします。

生まれたばかりのホッキョクグマは600g~700gくらいで、とても可愛らしい見た目をしています。

なお、赤ちゃんのホッキョクグマが性成熟するまでの期間はだいたい5年~6年です。

ただし、ホッキョクグマは極限の環境で生活しているため、2頭に1頭は命を落としてしまいます。(飢えや外敵からの攻撃により)

ちなみにホッキョクグマはヒグマと祖先が近いとされ、現在は別種であるものの両者の間で交配が可能だそうです。

そのため、稀にホッキョクグマとヒグマの子供が確認されることもあります。

寿命

ホッキョクグマの寿命はおよそ25年~30年ほどと言われています。

ただし、これは外敵がいない状態もしくは飼育下における平均の寿命であり、野生環境における寿命は15年~18年程度というデータもあるようです。

この違いは外敵から襲われるリスク以外にも栄養面が関係してくるものと考えられます。

食べ物

ホッキョクグマは主にアザラシを食べます。

そのほかでは生きている魚類や流されてきたクジラの死骸などをエサとして栄養を補っているそうです。

ちなみにホッキョクグマは厳しい冬を乗り切るために皮下脂肪を多く蓄える性質があり、ワモンアザラシを主食とするのも体脂肪が多いという理由からです。

特にワモンアザラシの赤ちゃんはホッキョクグマにとって貴重な栄養源なので、ワモンアザラシの出産時期である春から秋にかけてはホッキョクグマが狩りをおこなうシーズンとなります。

なお、ホッキョクグマはアザラシ以外にもシロイルカやセイウチなどを食べます。

逆にホッキョクグマの天敵はシャチで、海でエサを探している間に襲われるケースも多々あるようです。

地球温暖化によるホッキョクグマへの影響

近年、地球の温度が年々高まっていることは周知の事実となりますが、そんな地球温暖化はホッキョクグマの生活にも影響を与えています。

まず、地球の温度が上がるとホッキョクグマが生活の拠点としている「流氷」が減ります。

これにより棲み処をなくしたホッキョクグマがエサを求め、人間の生活エリアまで移動してきてしまうことが懸念される問題のひとつです。(場合によっては駆除されてしまう)

また、温暖化の影響でホッキョクグマの主食となるアザラシなどが生息圏内から減ると、海の中に潜り魚を取る時間が増えます。

こうなるとホッキョクグマの天敵であるシャチに襲われるリスクも上がり、ホッキョクグマは個体数を減らしてしまうわけです。

ちなみに、温暖化以外には海洋汚染の影響でホッキョクグマの健康が損なわれるといった問題点もあります。

以上の点を踏まえ、現在は北極圏付近の国々でホッキョクグマの保全活動が積極的におこなわれているとのことです。

まとめ

白い見た目と大きな身体を特徴とする「ホッキョクグマ」の生態について解説してきました。

ご覧いただいたようにホッキョクグマは地上最大の肉食動物です。

アザラシやセイウチといった動物をエサとし、北極圏では食物連鎖のトップに君臨しています。

しかし、そんなホッキョクグマにもシャチという天敵が存在し、北極の海では生態系のバランスが保たれているということです。

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