サーフィンをする人間であれば一度は訪れてみたいサーフポイントがハワイの「パイプライン」です。といっても実際に行ったことがない方にとっては「どんなところなのだろう?」といった疑問もあることでしょう。
パイプラインは、オワフ島のノースショアに位置づけられる「エフカイビーチ」にあるサーフポイントです。波の大きさや質などが世界一とも称されるポイントで、建物3階ほどの高さのビッグウェーブを間近で見ることも可能。
世界中のプロサーファーが目標とする大会「パイプラインマスターズ」が開催される場所で、まさにサーフィンのメッカといった印象があります。しかし、実は過去に何人ものサーファーが命を落としているポイントでもあり、まさに命がけでサーフィンをする場所でもあるわけです。
そんなパイプラインについて、ここでは場所の情報や波の特徴といったものを踏まえてご紹介していきますので、ぜひチェックしていってください。
ハワイ・パイプラインはどんなサーフポイント?
サーファーの聖地とも言えるハワイの「パイプライン」ですが、まずは場所から説明をしていきたいと思います。パイプラインはホノルルなどがあるオワフ島の北側、ノースショアと呼ばれる位置にあるエフカイビーチにあるサーフポイントです。
ホノルルからは車でおよそ1時間から1時間半ほどで、周りにはホテル以外にもスーパーやレストランなどもあり過ごしやすい環境が整っています。
11月頃から2月頃にかけては世界トップクラスのビッグウェーブが訪れるポイントでもあり、世界中のサーファーたちが一度は乗ってみたいと思う波がバンバンやってくるのがパイプラインの特徴です。
ちなみにパイプラインは正式には「バンザイ・パイプライン」と呼びます。なぜこういった名前が付いているかと言いますと、かつてこのポイントでサーフィンをしていた人間がみんな、「ワイプアウト(ボードから落水)する際に万歳の格好をしていたから」とされています。
ハワイには日系人も古くから住んでいたこともあり、日本語が至るところで使われているのも特徴的です。そのためにこうした名前が付いているわけですが、日本人としては光栄なことのように思えます。パイプラインはその波の大きさが最大の魅力であると同時に、凄腕のサーファーたちからも恐れられているサーフポイントです。
過去には多くの挑戦者がこのパイプラインの前で命を落としたりもしているのですが、その危険性についてもご覧いただきたいと思います。
ハワイ・パイプラインではサーフィン中の死亡事故も…
パイプラインはシーズンになると20~30フィートほどの大波がバンバンくるサーフポイントです。1フィートがおよそ30センチですから、6~9メートルくらいのサイズの波が来るということになりますね。
9メートルともなれば建物で言えば3階くらいに相当しますので、その大きさが分かるかと思います。そんな波に挑戦するのに付きものなのが「事故」です。
特にパイプラインはリーフとの距離が近く、水深が浅いところがいくつもあるポイントですので事故は絶えません。ワイプアウトした際にリーフと衝突して怪我を負う人間は数知れず、さらには命を落としてしまう方もいます。
それもアマチュアだけでなく、世界のトッププロと呼ばれるサーファーであっても命を落とす事故に巻き込まれることがありますので、そのリスクというのは計り知れません。たとえば、2016年を例に出してみますとWCTに参加するほどの実力を持つエヴァン・ゲイスルマン、ベベ・ダービッジといったサーファーがパイプラインでのワイプアウトで重傷を負っています。
また、同年ではオーウェンライトが本番直前の練習中にワイプアウトからリーフとの衝突事故を起こして脳に障害が出るほどの大怪我を負いました。奇跡的にオーウェンライトは翌年に障害を残しながらもサーフシーンにカムバックを果たしていますが、これは非常に運が良いことです。
毎年かならず1人はパイプラインで命を落としているとされていますので、挑むには相当な覚悟と実力がなければいけないことが分かりますね。また、2017年では地元のローカルサーファーの間で有名だったカラニ・チャップマンが、パイプラインで事故を起こし、後頭部に穴が開くほどの大怪我を負うことになりました。
彼もまた、九死に一生を得たわけですが、こんな事例を知れば気軽にはチャレンジできなくなるもの。しかし、そんな危険ともされるパイプラインでは毎年プロツアーの大会が開催されています。それが「パイプラインマスターズ」です。
ハワイ・パイプラインマスターズとは?
パイプラインマスターズとは世界サーフィン連盟が認めるプロサーファーのみが参加できる大会です。名前通りオワフ島のパイプラインでおこなわれるわけですが、ワールドツアーの最終戦に位置づけられることもあり毎年大きな盛り上がりを見せてくれる大会でもあります。
特にその年のチャンピオン決定戦ともなれば世界中のサーファーたちからの注目が集まるので、一度は実際に見に行ってみたいものです。ちなみに2018年はガブリエル・メディナが同大会で優勝をして、ツアートータルでのチャンピオンに輝いています。
日本で言えば、五十嵐カノア選手が2016年に準優勝を果たしたことで知られるようになったかもしれませんね。なお、このとき五十嵐カノア選手はケリー・スレーターやジョディースミスといった大御所プロサーファーを抑えての準優勝でしたので、かなりの活躍だったと言えます。
そんなパイプラインマスターズですが、毎年12月の上旬から中旬にかけておこなわれる大会です。なぜ開催日が曖昧なのかと言いますと、「出来る限り良い波の日に開催されるから」です。そのため、観戦に訪れようと思っても期間中ずっと滞在していないとファイナルまで見られない可能性があります。
せっかくオワフ島まで行って大会を観戦できないとなるとかなり残念なことになりますが、こればかりは自然との兼ね合いですので仕方ないと言えますね。ちなみに2018年を例に挙げますと12月9日から21日まで開催されていました。
ただ、実際に大会が見られなくてもプロサーファーたちがビーチにたくさんいますので、練習のライディングなどが見れたり、さらには一緒にフリーサーフィンが楽しめたりすることもあるようです。
もちろんサインペンと色紙を持っていて、運が良ければサインなどを貰うことも可能。英語が喋れるなら憧れのサーファーと会話を楽しむこともできますので、ぜひ興味がある方はエフカイビーチ「パイプラインステージ」まで足を運んでみてはいかがでしょうか。
ハワイのパイプラインはサーフィンの聖地
ハワイ・オワフ島のノースショアに位置する、エフカイビーチ「パイプライン」についてご紹介して参りました。とても魅力的なビッグウェーブと、世界中のサーファーの憧れである大会「パイプラインマスターズ」が楽しめるビーチですので、ぜひとも一度は生でその迫力を感じ取ってみたいものですね。
ただし、毎年死亡事故が起きるほど危険性の高いサーフポイントですので、気軽に挑戦とはいきません。チャレンジするからには相当な覚悟と自己責任で臨むことをおすすめしますし、試しに乗るのであれば、波が穏やかなタイミングで出来れば安全にパイプラインの波を楽しんでもらえればと思います。
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