
海を眺めていたらいつもとは違って「なんだか海に泡が浮いているような感じがする」といった経験はないでしょうか?
それはもしかしたら「波の花」かもしれません。
波の花は風が強い日や波が立っている日によく起こる現象と言われています。
ちなみに日本で波の花がよく観察されるのは日本海側です。
特に冬の寒い時期には発生する可能性が高いとされていますが、実はこの波の花は大きな災害に繋がるケースもあります。
この記事では波の花の発生原因やその原理について解説していますので、海によく行く人などはぜひチェックしておいてください。
なお、海に真っ白な泡がフワフワと浮いている光景はキレイにも見えますが、場合によっては人体に有害なこともありますので迂闊に触らないようにしましょう。
「波の花」とは?
「波の花」とは、海中に存在するプランクトンや海藻などが海水と交じり合い撹拌されることによって発生する泡状の物質を指します。
冬の海などで風が強いときに見かける機会が多く、海岸線に沿って一面泡だらけになることも珍しくありません。
ちなみに波の花は地域によって冬の風物詩として知られていて、観光地では波の花が見られることを魅力として伝えたりもしています。
なお、波の花は発生した直後は真っ白であることが一般的です。
そして、時間が経つにつれて海岸の砂や岩場のコケなどと交じり合って薄黄色や薄茶色に変色していきます。
そのため、本当に真っ白な波の花を見られるタイミングというのはごくわずかと言えるわけです。
もしも波の花を写真や動画に収めたい場合は、発生する時間帯や場所に狙いを付けておくことが大事です。
そんな波の花ですが「どうやって発生しているのか?」というのも気になるポイントですので、次に詳しく解説をしていきましょう。
波の花が発生する原因
波の花が発生する原因には「海中にいるプランクトンの数」「海藻などの藻類の量」「波が起こる気象環境」「地理的要因」などが挙げられます。
波の花はプランクトンや藻類が多い海域でよく発生するのですが、これには藻類ブルームというものが関係してきます。
藻類ブルームとはとても小さい藻類が高密度に集まり、水面付近が変色する現象のことです。
海面がいつもと違った色をしていると感じたときには、この藻類ブルームが発生しているかもしれません。
そして、藻類にはいわゆるネバネバとした成分が含まれているのですが、こうした成分とプランクトンが海中で交じり合い、波によって岩場などに打ち付けられると撹拌されることになります。
撹拌されたプランクトンや藻類には空気も入り込みますので、結果として泡状の物質になるわけです。
ちなみに、この原理はホイップクリームを作るときに似ています。
ホイップクリームも空気を含ませることによってフワフワの泡になるのですが、波の花もそうした原理と同じように粘着性のある物質と海水、そして空気が交じり合うことで発生します。
また、こうした原理を知ると波の花の発生には気象環境や地理的要因も関係していることが分かってきます。
波の花が作られるためには海面や海中での激しい水の動きが必要です。
そのため、風が強い日に波の花は発生しやすくなっています。
そして海中の成分をよく撹拌するには波がぶつかるための岩場などもなければいけません。
なお、こうした条件が整っていると波の花が発生しやすくなるのですが、だからこそ岩場のあるような海岸線沿いでよく見かけられるとも言えます。
そんな波の花ですが、場合によっては人体に有害なケースもあります。
というのも、波の花を構成する藻類には身体に悪影響を及ぼすものもあり、こうした藻類が集まると有害藻類ブルームという現象が発生します。
有害藻類ブルームが発生している海域で波や風が強まると、当然有害な藻類を含んだ波の花が発生してしまうわけです。
さらにその近くで原油、生活排水、エンジンオイル、下水などが垂れ流されていると、それらが波の花に含まれて悪臭を放つケースもあります。
ちなみに、もっとも怖いケースは病気などのウイルスが含まれているときです。
生活排水や下水にウイルスが含まれていて、それが波の花と交じり合うと分解がされにくくなります。
そうなると波の花に触れた手には当然ながらウイルスが付着することになるので、基本的には触らないようにするのが賢明です。
「悪臭を放っている」「色が濁っている」といった場合には、こうした危険性もあるので近寄らないようにしましょう。
波の花が発生しやすい地域
続いて波の花が発生しやすい地域について解説していきます。
前述の通り波の花が発生するには、いくつかの条件が整っていなければなりません。
そうした条件に合致する地域で言いますと、本州の日本海側や北海道の西側沿岸地域が挙げられます。
具体的には北陸の能登半島や北海道の留萌・石狩といった地域の海で、冬になると波の花がよく見られるようです。
ほかにも秋田県や新潟県の沿岸部では波の花が発生しやすいと言われています。
なお、波の花が発生しやすい時期は11月から2月です。
風速が13メートル、波の高さが3メートル前後、気温が0度近い日だと波の花が発生しやすいので、撮影などをしたい場合はこうした日を狙ってみてください。
また、真っ白でキレイな波の花が見られるのは早朝と言われていますが、そのあたりも覚えておくと良いかもしれません。
発生した波の花は時間の経過と共にほかの物質(砂など)と交じり合って変色していってしまいます。
茶色くなった波の花を海外ではカプチーノコーストとも呼ぶそうですが、こうなってしまうと見ていてあまりキレイなものではありません。
ということで、観光のついでに波の花を見てみたい方は上記の条件やタイミングを参考にしてみてください。
波の花は災害を引き起こすことも‥
波の花は一見するとキレイな自然現象なのですが、その規模が大きくなると災害に繋がることもあります。
日本ではあまり起きない事例ですが、外国では海で発生した波の花が沿岸部の町まで流れ込んでしまうケースが稀に起こるようです。
一例を挙げると、オランダでは人間サイズの波の花が発生し、海岸にいたサーファー5名が死亡する事故に繋がっています。
このとき救助隊は波の花が邪魔になって救助者を見つけることが出来なかったそうなので、それだけでも規模の大きさが想像できるかと思います。
また、スペインの港町では波の花が市街地まで流れ込んで来てしまい、町全体が泡に覆われたような状態にもなっています。
このときは嵐が発生した後ということもあり、波の花が大量に流れてきてしまったようです。
ちなみに、波の花は含まれている成分によって分解されやすい場合と分解されにくい場合があるのですが、おそらくこのスペインのケースでは分解がされにくい波の花だったのではないかと考えられます。
街中に、海から押し寄せた白い泡。今日は別の道を通らないといけなさそう。 pic.twitter.com/CIe8XV5QZs
— ロイター (@ReutersJapan) January 23, 2020
まとめ
主に冬の海で発生する可能性が高い「波の花」についてご紹介してきました。
波の花はパッと見る分にはキレイな自然現象ですが、ときには人間にとって有害なケースもあります。
また、大量に発生した場合や大きく成長してしまった場合には自然災害に繋がるケースもあるので、そうした危険性があるということも理解しておきましょう。
旅行先で波の花を見るときには、ちょっと離れたところから観察するくらいがちょうど良いかもしれません。