この記事では頭の黄色い飾り羽が特徴的な「イワトビペンギン」に関する情報をご紹介していきます。
イワトビペンギンはマカロニペンギン属に分類される比較的小型のペンギンです。
ちなみに「ミナミイワトビペンギン」「ヒガシイワトビペンギン」「キタイワトビペンギン」という3種類を総称してイワトビペンギンと呼んでいます。
ここでは、そんなイワトビペンギンたちの生態や性格、寿命などについて分かりやすくまとめてみました。
イワトビペンギンは可愛らしい見た目をしていますが、実は他の生き物に対して攻撃的な行動を取ったりします。
また、それぞれのイワトビペンギンは生息地や繁殖地が異なり、基本的には同じ場所で生活することがありません。
こうした意外と知られていないイワトビペンギンの特徴を解説していきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。
イワトビペンギンとは?
イワトビペンギンは「ペンギン目ペンギン科マカロニペンギン属」に分類されるペンギンです。
生息地である岩場を両足そろえて飛び跳ねるような格好で移動することから「イワトビペンギン」という和名が付けられました。
冒頭でも触れたようにミナミイワトビペンギン・ヒガシイワトビペンギン・キタイワトビペンギンの3種類が「イワトビペンギン」としてまとめられています。
(ただし、キタイワトビペンギンは遺伝的に他の2種類と異なる部分が多いとされている)
そんなイワトビペンギンの特徴は眉のあたりから目の後ろにかけて黄色い羽が広がっているところです。
また、黄色い飾り羽と共に頭の羽毛が逆立っているのもイワトビペンギンならではの特徴と言えるでしょう。
ミナミイワトビペンギン:クチバシの付け根あたりの黒い皮膚面積が広く、腹部の羽に黒い斑点が見られる
ヒガシイワトビペンギン:他の2種類より大柄な体型でクチバシの付け根がピンク色に見える
キタイワトビペンギン:3種類の中でもっともトサカ(冠羽)が長く、羽の白黒模様が異なる
ちなみにこちらはイワトビペンギンごとの特徴や違いとなります。
ミナミイワトビペンギンとヒガシイワトビペンギンは比較的見た目が似ているものの、ヒガシイワトビペンギンの方が大きいというのが見分け方のひとつです。
キタイワトビペンギンに関しては「トサカが立派」と覚えておくと見分けやすいかと思います。
なお、イワトビペンギンの平均的な体長は50センチ前後ですが、これは全ペンギンの中でも小柄な方です。
ペンギンは全部で18種類・6属に分けられ、そのうちマカロニペンギン属に分類されるイワトビペンギンは3種類とも小柄なペンギンとして扱われています。
※イワトビペンギンより小さいのはコガタペンギン・ハネジロペンギンくらい
こうした特徴を持つ3種類のイワトビペンギンのうち、ミナミイワトビペンギンは危急種、キタイワトビペンギンは絶滅危惧種に指定されています。
漁業のために人間がイワトビペンギンの生息地や繁殖地を荒らしていることが個体数減少の主な要因です。
イワトビペンギンの生態・特徴
ここからはイワトビペンギンのより詳しい生態や特徴をご紹介していきます。
それぞれのイワトビペンギンはどこに生息しているのか?どういったものを食べて生活をしているのか?といった疑問を解消していきましょう。
生息地
3種類のイワトビペンギンたちはそれぞれ異なる場所を生息地に選んでいます。
ミナミイワトビペンギン:南大西洋にあるフォークランド諸島からアルゼンチンやチリ近くのパタゴニアまで
ヒガシイワトビペンギン:南インド洋に浮かぶケルゲレン島やプリンスエドワード諸島、オーストラリアやニュージーランドの南岸海域
キタイワトビペンギン:南インド洋や南大西洋付近の島々
こちらが各イワトビペンギンの生息地となりますが、基本的に別種のイワトビペンギンが同じ場所で生活することはありません。
なお、イワトビペンギンは全ペンギンの中でも生息地が広範囲に渡っているペンギン種です。
中にはオーストラリアやニュージーランド、南アフリカまで流れ着いた個体も観測されています。
ちなみにペンギンというと「寒い地域に生息する生き物」というイメージがありますが、ペンギンは南半球(南極圏の近く)にしか存在しません。
つまり北半球の北極圏付近にはペンギンがいないということになります。
ペンギンは南半球の寒い地域で生まれた生き物で、進化の途中で赤道を超えることがありませんでした。
そのため、今でもペンギンの生息地は南半球だけに留まっています。
食性
イワトビペンギンはオキアミなどの甲殻類、小魚、イカなどを主食とする肉食性の生き物です。
平均的な体重が3キロ前後なのでそこまで多くのエサを必要としませんが、ヒナを育てるために遠くの海までエサを探しに行くこともあります。
また、イワトビペンギンはエサを探すために水深100メートルくらいまでは潜水可能とのことです。
ちなみに水族館で飼育されているイワトビペンギンは小さなアジやイワシなどもエサとして与えられています。
性格
イワトビペンギンは見た目によらず攻撃的・好戦的な性格をしています。
自分より大きな生き物に対しても果敢に立ち向かっていきますが、これは人間相手でも変わりません。
また、自分の縄張りや繁殖地であるコロニーに近付いてきた生き物に対しては別種・同種問わず攻撃をします。
繁殖について
イワトビペンギンの繁殖は主に南極圏の島々、南インド洋や南大西洋の島々でおこなわれていて、コロニーを形成しながら出産・子育てをしていきます。
だいたい10月~11月くらいになると繁殖地に戻ってきて、そこで巣を作って子育てするというのがイワトビペンギンの一般的な習性です。
なお、イワトビペンギンは外敵から卵を守るために崖で囲まれた場所に巣を作ります。
オスは植物が生えている場所に小石を積み上げて簡素な巣を作るのですが、このときより多くの小石を集めて立派な巣を作れるオスの方がメスからモテるようです。
ちなみにイワトビペンギンは「夫婦」という概念が比較的強い生き物で、半数以上が2年連続で同じ相手をパートナーとします。
そして、卵が産まれた後はおよそ1ヶ月の間オスとメスで交互に抱卵をおこない孵化させます。
1ヶ月ほど親ペンギンからエサを与えられたヒナは、その後ヒナだけの集団を作り2ヶ月~2.5ヶ月の時間を掛けて巣立っていくそうです。
イワトビペンギンの寿命
イワトビペンギンの寿命はどの種類であってもだいたい20年程度と考えられています。
ちなみにペンギン種の中で身体が大きいキングペンギンやエンペラーペンギンの場合は30年~40年ほど生きる個体もいますが、これはすべて飼育下における寿命です。
野生のペンギンは外敵からの攻撃や飢えなどによって生存確率が下がるので、イワトビペンギンの平均寿命は20年を下回ると考えられます。
まとめ
水族館でも人気が高いイワトビペンギンの生態や特徴について解説してきました。
ご覧いただいたようにイワトビペンギンには3つの種類が存在していて、それぞれ若干異なる生態や特徴を持っています。
また、本文でも触れたようにイワトビペンギンはペンギン種の中でも小柄な方ですが、性格は攻撃的で外敵に対しては容赦なくケンカを仕掛けていきます。
水族館でイワトビペンギンを見る機会があれば、そういった性格的な部分もぜひ観察してみてください。