きれいな海と汚い海の違いって?美しく見える条件は?

きれいな海と汚い海、行きたいのはやはりきれいな海ですよね。しかし、なぜ海にはきれいなところと汚いところが出てきてしまうのでしょうか?

なんとなく工場が近くにある海は汚そうなイメージがありますが、実際には周りに何もない田舎の海でもちょっと水質が濁っているところがたくさんあります。

実はきれいな海と汚い海の違いは、海の生態系などによるところが多いのですが、日本の場合は立地条件や環境のせいで、どうにもすべての海がきれいに見えるということにはならないのが現実です。ここでは海がきれいに見えるその理由や、海が汚くなってしまう原因をご紹介していきたいと思います。

日本できれいな海といえばどこ?

日本できれいな海と聞かれて想像するのはやはり沖縄県の海ですよね。まさに青い海、白い砂浜といったイメージがある沖縄県の海ですが、それ以外にはどこが思い浮かぶでしょうか?もちろんローカルなスポットに行けば手付かずの自然が残っていて、海もきれいなところはたくさんあります。

サーフィンのメッカである宮崎県や千葉県の海にもきれいなスポットというのはたくさんありますし、ほかにも四国の瀬戸内海には海が美しく見える場所というものが存在しています。

しかし、全体的にやはり日本の海というのは海外の南国リゾート地と呼ばれるところに1歩及ばない印象があります。それはなぜなのでしょうか?

実は海がきれいに見えるというのは、ある意味科学的な要素が必要なのです。ここから先は海がきれいになる・見える理由についてご覧いただきたいと思います。

海がきれいになる・見える理由1「サンゴ礁」

沖縄県の海がほかの日本の海と比べてきれいな理由は、サンゴ礁があるからです。サンゴはきれいな海でなければ生息できません。サンゴというのは海中で二酸化炭素を取り込んで酸素を吐き出し、海を自ら浄化する役割を持っている海洋生物です。

また、酸素を吐き出すときにはミネラルも一緒に散布しますが、これがまたより海をきれいにさせています。そしてサンゴは自らの役割を終えてもまだ海をきれいにする働きを担っているのですが、ご存知でしょうか?

沖縄県の海を白い砂浜という言葉で表現しましたが、実は砂浜がきれいな理由は石灰質でできたサンゴが死んだあとにバラバラになって砂になっているから白いわけですね。さらにそのサンゴの死骸が海底に沈むことによって、海の底が白くなります。

海底が白いと太陽光がうまく反射して海自体の色を青く見せる効果があるのですが、本州などの海がどうしてもマリンブルーに見えない理由はこの「サンゴ礁がない」というところに行きつくわけです。ちなみに、日本の海がなぜ全体的にきれいに見えないのかという理由はサンゴ礁がないというだけでなく、プランクトンが原因ともいわれています。

日本は島国であり、魚が非常に美味しいことでも知られていますよね。これは海中に魚の栄養源であるプランクトンがとても多く生息していて、さらに海中の温度も四季折々の気候によって生物が暮らしやすい水温を保っているからです。プランクトンをたくさん食べて育った魚は美味しいので、日本の誇りでもあるわけですが、しかし実は海をきれいに見せたいという場合においてはちょっと邪魔をしてしまっています。

それは何故かといいますと、プランクトンが海中にたくさん存在するせいで、太陽光がしっかりと海底まで届かず反射されないという現象が起きるからです。目に見えないようなプランクトンでも海中に存在していることは確かで、その存在は太陽光を遮るには十分な役割を果たしてしまいます。

海がきれいに見えるためには、「太陽光が海底まで届くこと」「反射して海の青さをはっきりと映し出すこと」が条件です。
そのため、沖縄県の話に戻りますがプランクトンが少なくサンゴ礁が息づいている土地というのは海がきれいに見えるということになります。

逆に言えば外国のリゾート地に訪れて「刺身が美味しい」という経験をした人は少ないと思います。これは海中にいるプランクトンの量が日本より少なく、さらに水温が高いため魚の身に締りがなくなるからといわれています。

海がきれいになる・見える理由2「黒潮」

沖縄の海がきれいに見える理由は台湾やフィリピンの方面から流れてくる「黒潮」も影響しているといわれているのですが、黒潮というのは栄養素が少なく漁師などからはちょっと毛嫌いされている海流です。

黒潮が発生すると栄養素が少なくなるので、プランクトンが存在を維持することができなくなり、結果として魚が痩せ細ってしまうという現象が起こります。漁師からすればなんとも残念なことですが、実は海がきれいに見えるということに関してはこの黒潮は大活躍をしているわけです。

このように沖縄県はその立地条件的に黒潮が多く流れ込んできますので、必然としてプランクトンの数が減少します。その結果として、通年海がきれいな青に見えるということに繋がるのです。こう考えてみますと、たしかに沖縄県に訪れた際にあまり魚を生で食べる機会というのがないということに気付くかと思います。

おそらく沖縄では昔から生で魚を食べるよりも焼いたり揚げたりして食べる方が美味しいということを感覚的に知っていたからだと考えられます。

海がきれいになる理由3「生活用水」

ここまでは海とプランクトン、そしてサンゴ礁の関係によって海がきれいに見えるかどうかという話でしたので、正直自力で海をきれいに見えさせようというのは難しいと感じられます。しかし、日本において海がきれいに見えないというのは、前述のような自然条件だけでなく、やはり生活用水の問題というものもあるわけです。

生活用水というのは、もちろん日々生活をして使用された排水・下水関係のことなのですが、それ以外にも工業用排水といったものもあり、海の汚染にかなり影響を及ぼしています。

私たちが日々生きていく中で、水道の使用というのは止めることができないものですので、どうしても汚れた水が下水へと流れ、一応フィルターを通してはいるものの、その汚れた水は海へと流れ着いてしまいます。

最近では自然に優しいシャンプーなど、環境に配慮した商品が出ていますが、なかなかそれだけでは海の汚染は止められないというのが実際のところ。また、この生活用水以上に深刻な汚染原因が工業用排水です。

工場地帯で油にまみれた汚水が海へ流れることで、ダイレクトに海を汚していっています。天然資源に乏しい国である日本は、戦後工業を中心に国が潤ってきたという背景がありますから、どの都道府県にも多くの工業地帯が存在しています。

そして、この工場からの汚れた水の流出というのは年間かなりの量であり、海がきれいに見えなくなる原因の中でも大きな割合を占めているといっていいでしょう。やはりきれいな海がある海外の地域というのは、工業地帯が少なく自然に溢れたところばかりです。

そのため、日本の海がきれいに見えるようになってもらいたいと考えるのであれば、まずはこうした生活用水や工業排水の問題に向き合わなければいけないということになりますね。

まとめ

海がきれいに見えるためには、「サンゴ礁がある」「プランクトンの量」「生活用水・排水」というものが関係していることが分かってもらえたかと思います。日本はそもそも島国ですから、海に恵まれた環境が整っています。

しかし、残念ながら自然条件や海流といったどうにもならない理由で、海外の海のようなきれいさというのは実現することが難しそうです。

ただ、それでも生活用水や排水を抑えて日本なりのきれいな海を維持する取り組みはできますので、ぜひ皆さんも日々生活をしていく中で意識してみてくださいね。

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