この記事では普段の食卓で見かけることも多い「カジキ」に関する情報をご紹介していきます。
カジキは日本でも昔から食用魚として知られている魚の一種です。
カジキにはメカジキやマカジキなどの種類があり、それぞれ異なる大きさや特徴を持っています。
ここでは、そんなカジキの種類・生息地・食性・寿命・名前の由来などを詳しくまとめました。
いつも食べているカジキについてもっと知りたいという方は、ぜひこちらの内容を参考にしていってください。
カジキとは?名前の由来は?
カジキとは「スズキ目メカジキ科」または「マカジキ科」に分類される魚の総称です。
世界の海にはカジキに分類される魚が13種類いて、そのうち日本近海には6種類が生息しています。
なお、カジキは種類によって大きさが異なりますが、体長はだいたい4メートル前後で体重は500~600キロほどになります。
海の中では食物連鎖の上位に入る生き物で、自分たちよりも大きいクジラやシャチくらいしか天敵がいません。
また、カジキの特徴と言えばやはり鋭く伸びた「吻(ふん)」です。
吻とは人間でいうところの口やその周辺に当たる部分となりますが、カジキの吻は剣のように伸びていてエサを捕食するときや天敵への攻撃に使います。
「カジキ」という名前の由来
カジキという名前は和名であり、特徴的な「吻の形」に由来します。
もともとカジキとは「舵木」を表す言葉です。
かつて船には舵を取るための「舵木=木版」が設置されていたのですが、魚のカジキはこの木版を突き通すほど強固な「吻」を持っていたため「舵木通し(かじきどおし)」と呼ばれていました。
その「かじきどおし」が略されて「カジキ」になったというのが有力な説です。
ちなみに英語ではマカジキのことを「嘴の魚=BillFish」と呼んでいます。
また、ほかのカジキ種にも個別の英名が付いているものがありますので、以下を参考にしてみてください。
・メカジキ:SwordFish(剣魚)
・バショウカジキ:SailFish(帆魚)
・フウライカジキ:SpearFish(槍魚)
※カジキ全体を「Marlin」と表現することもある
「カジキマグロ」という名前は俗称
日本人の場合は「カジキ=カジキマグロのこと?」と疑問に感じる方も多いはずです。
しかし、実際にはカジキマグロという名前の魚は存在しません。
そもそもカジキは「マカジキ科」「メカジキ科」で、マグロは「サバ科」の魚です。
同じスズキ目ではありますが、分類が違うのでカジキとマグロはまったく別の魚となります。
それではなぜカジキマグロという名前が一般的に使われているのか?といいますと、これはカジキとマグロにいくつか共通点があるからです。
・カジキとマグロはどちらも大型の回遊魚
・マグロ漁の船でカジキも釣れることが多い
・カジキの肉質はマグロに似ている
ご覧のようにカジキとマグロには似ている部分があり、いつの頃からか「カジキマグロ」という名前が定着していきました。
ちなみにスーパーなどでカジキマグロとして売られているのは、その大半がメカジキです。
メカジキの身は白に近いピンク色で、旬の時期には上等な脂が乗ります。
「カジキ」のスピードは時速100キロを超える
カジキが泳ぐ速度は海の生き物の中でもトップクラスのスピードです。
中には時速100キロ以上のスピードを出すカジキ種もいますが、これはギネスブックでも認定されている速度となっています。
また、高速で泳ぐカジキは稀に船と激突することもあり、過去にはイギリスの軍艦に穴を開けた事例もあります。
カジキの種類
続いてはカジキの種類について詳しく見ていきますが、ここでは日本近海で獲れる6種類のカジキをまとめてみました。
○メカジキ
・体長:3~4メートル
・体重:300キロ前後
・特徴:メカジキ科に属するのはこの「メカジキ」のみ
メカジキは他のカジキと違って腹鰭がないなど、いくつか身体的に異なる部分があります。そのため、メカジキは単一の種でひとつの科を構成しています。
○マカジキ
・体長:2.5~3メートル
・体重:80キロ前後
・特徴:体の側面に青い縞模様がある
マカジキはメカジキよりも高級な魚として知られています。旬は冬で、その味はカジキの中でトップと言われるほどです。
○シロカジキ
・体長:4メートル以上
・体重:500~600キロ
・特徴:カジキ種の中でもっとも大きく成長する
過去には700キロオーバーの個体が見つかったこともあるのがシロカジキです。エサとしてカツオを好んで食べることから「カツオクイ」とも呼ばれています。
ちなみに英名では「BlackMarlin」と表記されますが、これは「英名=生きているときの体色」「和名=死後の体色」による違いです。
○バショウカジキ
・体長:2~3メートル
・体重:30~50キロ
・特徴:背ビレが大きく発達して帆のように張っていることから「SailFish(帆魚)」と呼ばれている
「すべての魚」の中でもっとも速く泳げるのが、こちらのバショウカジキです。
バショウカジキのトップスピードはおよそ時速110キロとされていて、ギネスブックにも登録されています。
ちなみにこの速さは25メートルのプールを1秒かからず泳げるほどのスピードです。
○クロカジキ
・体長:4メートル
・体重:500~600キロ前後
・特徴:シロカジキと同様に大型の魚で身体にはマカジキに似た青い縞模様が入る
クロカジキはハワイなどでも獲れるカジキの一種で、その大きさはシロカジキに匹敵するほどです。
日本では漁獲後の見た目から「クロカワ」や「クロカワカジキ」とも呼ばれています。
○フウライカジキ
・体長:2メートル前後
・体重:50キロ前後
・特徴:日本近海で見られるカジキの中では小型の種類で、吻の長さも他と比べて短い
日本の一部地方で「スギヤマ」と呼ばれることもあるのがフウライカジキです。
身体が細長く吻が短いことからもカジキの中では見分けやすい種類として知られています。
カジキの生態・特徴
ここからはカジキの生態や特徴について解説していきます。
生息地
カジキは温暖な海域を好む回遊魚で、世界中の至るところに生息しています。
インド洋や太平洋、大西洋といった海域を数匹の群れで回りながら生活するのがカジキの特徴です。
日本の場合は太平洋・日本海側の両方で見かけることができます。
ただし、種類によって太平洋・日本海のどちらかに偏りが出るケースもあります。(メカジキは太平洋側に多いなど)
ちなみに過去には北極や南極に近いところで発見されたこともあり、冷たい海域でも生息が可能のようです。
食性
カジキは肉食性の魚で、小型の魚であればその大半がエサとなります。
中でもよく食べられているのはカツオ、アジ、イナダ、サバ、トビウオ、イワシ、サンマなどです。
ほかにも小型のマグロであれば捕食することがあります。
カジキは海の中における「食物連鎖の上位種」なので、ほとんどの生き物はエサの対象になると言えるでしょう。
性格・危険性
カジキは獰猛な性格、強い攻撃性を持つ魚です。
ときには自分よりも大きいシャチやサメなどに立ち向かうこともあります。
あえて人間を襲うようなことはしませんが、ボートや船を攻撃することは珍しくありません。
なお、小型のカジキに関しては釣りあげられたときの迫力が凄いことから、スポーツフィッシングの対象として好まれています。
ただし、そういった際にはあえて船へ体当たりすることがあります。
カジキの寿命について
カジキの寿命はおよそ10年程度と考えられています。
だいたい5年ほどで成体の身体つきとなりますが、その間に釣りあげられることも少なくありません。
ちなみにカジキはメスの方が長生きをするといった研究結果もあるようです。
まとめ
スーパーなどでもよく見かける「カジキ」に関する情報を詳しくまとめてきました。
ご覧いただいたようにカジキには色々な種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
また、カジキマグロというのは俗称であり、同じ名前で売られているのは大半がメカジキです。
カジキは大型の回遊魚でマグロと似た特徴を持っていますが、カジキはメカジキ科・マカジキ科、マグロはサバ科ということは覚えておきましょう。