ウニの特徴・生態!体の構造・生息地や寿命など

この記事では身近な食材ながらあまり知られていない「ウニ」の特徴や生態をご紹介していきます。

ウニは日本人にとって昔から馴染みのある海の生き物です。

日本ではおよそ150年以上前からウニが食べられていて、近代においては冷蔵・冷凍技術の発達により生食の文化が確立されるようになりました。

ここでは、そんなウニの種類・食性・体の構造・生息地・寿命などを詳しく解説しています。

特に最近の研究では「ウニはとても長寿な生き物である」ということが分かってきていますので、そういった雑学もぜひご覧になっていってください。

そもそもウニとは?

「棘皮動物門ウニ綱」に分類される生き物のことを総じて「ウニ」と呼びます。

ヒトデやナマコも棘皮動物の一種なので、ウニはその仲間ということになるわけです。

ウニは世界中に生息している生き物であり、種類を数えてみると日本近海だけでも150種以上が確認されています。

なお、ウニは浅瀬から深海まであらゆるところに生息していて種類ごとに異なる特徴を持っていますが、基本的にすべての種類が海生です。

今のところ淡水域や汽水域に生息するウニは確認されていません。

そんなウニは漢字で「海胆」と書きますが、これは「海の腸」を意味しています。

また、見た目が栗と似ているため「海栗」という漢字も割り当てられています。

ちなみにスーパーなどでよく目にする「雲丹」は食品加工されたウニに対して使う漢字です。

食性

大半のウニは海藻やデトリタスを主食としていますが、与えれば何でも食べることから本質は「雑食性」の生き物と考えられます。

そんなウニはとても食欲旺盛な生き物であり、大量繁殖すると一帯の藻場が食べ尽くされてしまう危険性があるそうです。

なお、研究のためしばらく食事を与えず極度の飢餓状態にした一部のウニは、パンや動物肉なども食べるようになります。

移動方法

ウニというと岩場などに張り付いて動かないイメージがあると思いますが、実際には管足と呼ばれる器官や全身の棘を使って移動しています。

とはいえ、その移動スピードはとても遅く、外敵からの襲撃や人間による漁獲からは逃れることができません。

なお、種類によっては砂底に穴を掘って隠れるウニも存在します。

養殖

これまで日本ではあまりウニの養殖を盛んにおこなってきませんでした。

しかし、世界的に見ると最近は養殖もののウニが徐々に増えだしています。

そのため、ここ10年〜15年ほどにかけて日本でも養殖ウニに力を入れる業者が増えています。

ウニの種類

ウニは日本だけでも150以上、世界中の海で考えると約900以上の種類が存在します。

このうち、日本において食用扱いされているのは主に6種類です。

そんな代表的なウニの種類と特徴を簡単にまとめてみましたのでご覧ください。

バフンウニ

バフンウニは「ホンウニ上目オオバフンウニ科」に分類されるウニの一種です。

日本で昔から食べられているもののひとつであり、素潜りでも獲りやすい水深10m〜20mほどの浅瀬に生息しています。

主に北海道南部〜青森県北部にまたがる津軽海峡あたりの海域でよく水揚げされています。

なお、殻の直径は3cm〜5cmとウニの中では中型サイズです。

エゾバフンウニ

バフンウニとよく似ているものの、歩帯板の孔対数が異なるため別種として扱われているのが「エゾバフンウニ」です。

「エゾ=蝦夷(かつての北海道の呼び方)」という名前が付くだけあって、北海道周辺の冷たい海域でよく獲れます。

ちなみに大きさはバフンウニと大差がなく、殻の大きさはだいたい5cm前後まで成長します。

ムラサキウニ

バフンウニと並んで昔から食用として扱われてきたのが「ホンウニ上目ナガウニ科」に分類されるムラサキウニです。

ムラサキウニはバフンウニより若干大きく成長する種類で、全身が暗い紫色の棘で覆われていることからその名前が付けられています。

日本では青森県〜茨城県の太平洋側沿岸あたりで見かける種類であり、そのほか中国や台湾でもよく水揚げされているウニです。

ちなみにムラサキウニは飢餓状態になってからも長く生きられることから、生命力の強いウニとして知られています。

キタムラサキウニ

ムラサキウニとよく似た種類がキタムラサキウニです。

比較的暖かい海域でも生きられるムラサキウニとは異なり、水温26〜30℃以上では生きられない冷水性のウニとなっています。

また、塩ウニなどの加工品に使われることが多いところもキタムラサキウニの特徴です。

アカウニ

アカウニは「オオバフンウニ科」に分類されるウニで、主に西日本で獲れる種類となっています。

ちなみに「赤ウニ」の表記で売られている食用のウニは、バフンウニもしくはエゾバフンウニである可能性が高いので混同に気を付けましょう。
(バフンウニとエゾバフンウニは可食部にあたる生殖腺が赤いので赤ウニとも呼ばれている)

シラヒゲウニ

シラヒゲウニは殻の直径が10cm程度まで成長する大型サイズのウニで、全体的に棘の色は赤く、先端のみ白くなっているところが特徴的です。

食用として扱われているウニの中では漁獲量が少ないものの、沖縄県ではポピュラーなウニとして知られています。

ウニ の特徴・生態

ここからは一般的なウニの特徴や生態をご紹介していきます。

体の構造

ウニの身体は食道などの消化器官・生殖巣・口・肛門・管足・水管といったもので構成されています。

ただし、ほかの生き物が持つ心臓・肺・血管などの器官はありません。

ちなみに岩場や海底に面している方が口で、その反対側が肛門にとなっています。

つまり正面から見た場合は下から食べたものを上で排出するといった構造になっているわけです。

血管の代わりに酸素を運んでいるのが棘皮動物特有の水管と呼ばれる器官で、これによってウニは生命を維持していると考えられています。

なお、私たちがウニとして食べているのは生殖巣の部分です。

ウニを割ったときに黄色く見えるところが生殖巣にあたりますが、身体のサイズに対して大きな割合を占めていることが分かると思います。

生息地

ウニは世界中の海に生息している生き物です。

私たちがよく食べているのは浅瀬に棲むウニですが、中には水深数千メートルといった深海に棲む種類も存在します。

また、南極でもウニの仲間が確認されていますので、非常に生命力の強い生き物と言えるでしょう。

ちなみに浅瀬と比べて深海に生きるウニは栄養を十分に摂れていないので、食べてもあまり美味しくないと考えられています。

寿命

ウニの寿命はバフンウニでおよそ7〜8年、キタムラサキウニでおよそ14〜15年程度です。

ただし、最近の研究ではウニは種類と生息環境によって「200年」くらい生きられるということが分かっています。

また、100歳を超えたウニでも10代と同じ生殖能力を発揮することが判明しています。

ちなみに同じ棘皮動物であるヒトデやナマコはこれほど長寿ではないので、そう考えるとウニは特殊な生態を持つ生き物と言えそうです。

ウニの旬と美味しい食べ方

ウニの旬は夏で、天然のウニを生で美味しく食べられるのは6月〜8月の時期となっています。

市場によく出回っているのはバフンウニとキタムラサキウニで、どちらも生食におすすめの種類です。

生食以外では焼きウニやウニの塩漬けといった食べ方も知られていますが、やはりウニを食べるなら生のままがベストと言えます。

なお、ウニは殻を割ってから時間が経つごとに鮮度が落ちるので、本当に美味しいウニを食べたいのであれば殻付きのものを提供している市場や飲食店を探してみましょう。

まとめ

比較的身近な食材として知られる「ウニ」の特徴や生態をご紹介してきました。

ご覧いただいたようにウニはとても生命力が強い生き物で、種類によっては寿命が200年近いものも存在します。

食用として国内の市場に出回っているのは主に6種類であり、中でも流通量が多いのはバフンウニやキタムラサキウニです。

とはいえ、地域によってよく食べられているウニの種類は異なりますので、旅行などで別の地域を訪れた際にはいつもとは違ったウニを味わってみてください。

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