この記事では、赤くてゴツゴツとした見た目が印象的な「オニカサゴ」の生態や毒性について解説していきます。
棘などに毒があるものの、実は食べると美味しいことで有名な魚がオニカサゴです。
また、オニカサゴは釣りのターゲットとしても人気があります。
ここでは、そんなオニカサゴの生息地や旬の時期、美味しい食べ方などを詳しくまとめてみました。
そのほかオニカサゴとよく混同されるイズカサゴ・フサカサゴとの違いやオニカサゴの食性にも触れていますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。
オニカサゴとは?
オニカサゴは「スズキ目フサカサゴ科オニカサゴ属」に分類される魚です。
同属には28種類のカサゴがいて、そのうちのひとつが日本近海で見られるオニカサゴとなっています。
そんなオニカサゴは主に本州の沿岸部でよく見られる魚で、昔から船釣りのターゲットとして人気があります。
なお、一般的に釣り人から人気があるのは引きが強い大型の魚ですが、オニカサゴは大きくても体長が25cm〜30cmくらいしかありません。
それでも多くの釣り人がオニカサゴを狙うのは「実は食べると美味しい」からです。
また、身体に生えている棘や真っ赤な見た目が、釣ったときのインパクトに繋がるところもオニカサゴならではの魅力と言えます。
ちなみにオニカサゴが一般的な食用魚として市場に出回る機会は多くありません。
これはオニカサゴをメインで漁獲する漁師や業者が少ないからです。
オニカサゴとイズカサゴ・フサカサゴは同じ?
オニカサゴ属には様々な種類が存在し、近年ではこれまでにオニカサゴとして扱っていた魚に別種がいることなどが判明しています。
また、関東でよく「オニカサゴ」と呼ばれているのは「イズカサゴ」である可能性が高いこと、ほかにも「フサカサゴ」と混同しているケースが多いことが事態をややこしくしています。
そこで、オニカサゴとイズカサゴ・フサカサゴの違いを以下にまとめてみました。
・オニカサゴ:「フサカサゴ科オニカサゴ属」に属する28種類のうちの1種
・イズカサゴ・フサカサゴ:「フサカサゴ科フサカサゴ属」に属する62種類のうちの1種または2種
本来、生物学的にオニカサゴと認められているのは「Scorpaenopsis cirrosa」という種類です。
こちらはオニカサゴ属に分類される魚であり、多くの釣り人が混同しているイズカサゴ・フサカサゴとは「属」が異なります。
とはいえ、パッと見た場合はどれも同じような特徴を持っていますので、比較対象がない限り見分けることは難しいかもしれません。
ひとまず、ここで知っておきたいのはオニカサゴを釣ったつもりでも「実はイズカサゴ・フサカサゴだった」という可能性もあるという点です。
ちなみにイズカサゴやフサカサゴもオニカサゴと同様に毒を持つ魚なので、釣り上げたときには棘が刺さらないよう気を付けてください。
オニカサゴの釣り方
オニカサゴは主に船釣りで狙う魚です。
エサに使うのはサンマ・カツオ・サバなどの切り身で、そのほかイカを使うパターンもあります。
オニカサゴを釣るときは、まず海底までの距離を測りましょう。
オモリが海底に着いたら1mほど戻し、オニカサゴが食いつくのを待ちますが、ときおり仕掛けを動かして相手を誘うのも有効的です。
オニカサゴがエサに食いついたら慌てず慎重にリールを巻いていきます。
なお、オニカサゴは成長が遅い魚ということもあり、釣り人の間では「全長25cm未満のオニカサゴはリリースする」といったルールが守られています。
※船によっても異なるが、おおよそ25cmが目安とされている
オニカサゴの特徴・生態
ここからはオニカサゴの特徴・生態を詳しくご紹介していきます。
オニカサゴの生息地や毒性に関する情報をまとめたので、ぜひご覧ください。
生息地
オニカサゴは温帯から亜熱帯の海域を好む魚で、主な生息地は太平洋・インド洋となっています。
なお、日本では千葉県の房総半島から鹿児島県の志布志湾までの太平洋沿岸部、また秋田県から九州地方までの日本海沿岸部でよく見かけられます。
オニカサゴは水深10mくらいから水深150mまでの表層に生息する魚です。
そのため、釣りのターゲットにされる機会も多いわけですが、近くにある岩礁・サンゴ礁・砂地などに身を隠していることも少なくありません。
ちなみに隠れているオニカサゴを狙おうとすると、釣り針が岩などに引っ掛かることもあるので注意が必要です。
毒性
オニカサゴの背ビレには「タンパク質性の毒」を含んだ棘があります。
また、背ビレ以外にも鰓蓋の突起部分や尾ビレに毒があるので、釣った後は該当箇所をすぐに除去しましょう。(キッチンバサミなどでカットできる)
なお、オニカサゴの棘に刺されると激痛と共に患部が腫れあがります。
体調に問題のない方、持病を持っていない方であれば痛み・腫れだけで治まる可能性が高いのですが、心臓の弱い方などはオニカサゴの毒によって重篤化するケースもあります。
そのため、オニカサゴの棘が刺さった場合はすぐに病院で診察を受けてください。
仮に船の上で刺されたときはできるだけ熱いお湯で患部を温め、タンパク質を分解させるといった応急処置を取りましょう。
食性
オニカサゴは小魚や小型の甲殻類を主食とする「肉食性」の魚です。
そのため、釣りをするときのエサにもサバやイカなどの切り身が使われています。
また、オニカサゴはほかにもヤドカリ・シャコ・カニなどを食べるそうです。
こうした食性から、オニカサゴはある程度強い咬合力を持っていることが分かるわけです。
オニカサゴの旬と美味しい食べ方
ここからはオニカサゴの旬や美味しい食べ方をご紹介していきます。
オニカサゴは一般的にあまり流通しない魚です。
しかし、実は食べてみると「非常に美味しい」と評判の魚でもあります。
なお、スーパーの鮮魚コーナーなどで売っているものであれば毒を持つ棘が処理されていると思いますが、自分で釣ったオニカサゴや人からもらった生のオニカサゴを料理するときは、最初に背ビレや尾ビレをカットしましょう。
旬の時期
オニカサゴの旬は秋から春にかけての季節です。
もちろん釣れる場所によって旬の時期はズレますが、産卵前の10月〜12月ごろのオニカサゴは美味しいとされています。
なお、オニカサゴは通年釣れる魚なのでいつが旬なのか分からないといった意見もありますが、どの時期に釣ってもオニカサゴからは良いダシが出るので美味しくいただけます。
美味しい食べ方
オニカサゴはクセの少ない白身が楽しめる魚です。
見た目とは異なり上品な味わいが特徴的で、刺身や湯引きなどの料理がおすすめとなっています。
また、冬の季節ではオニカサゴの身を使った鍋やしゃぶしゃぶも人気です。
あっさりとした味わいの中に脂身のコクが加わり、高級な魚を食べているような気分に浸れます。
ほかにも、棘を取り除いたオニカサゴをそのまま煮付けたものや唐揚げにしたものも定番料理として挙げられます。
ちなみにオニカサゴの身自体には毒が含まれていません。
毒があるのは背ビレや尾ビレにある棘の部分なので、身を捌く前に各ヒレを包丁やキッチンバサミで取り除いておきましょう。
まとめ
インパクトのある見た目が特徴的な「オニカサゴ」の生態や毒性について詳しくまとめてきました。
ご覧いただいたようにオニカサゴは背ビレや尾ビレの棘に毒性を持つ魚です。
釣りをしていてオニカサゴの棘が刺さった場合は、すぐに患部を熱いお湯で温めてタンパク質性の毒を弱らせましょう。
なお、オニカサゴは毒さえ取り除けば美味しく食べられる魚なので、釣り上げたあとはその味を堪能してみてください。