この記事ではアジ科の中でも特に大型の魚として知られる「ヒラマサ」について詳しく解説していきます。
昔から食用の魚として親しまれているヒラマサは、最大2m以上まで成長するところが特徴的な部分です。
一般的に成長過程である1m前後の若魚が美味とされていますが、大型の個体は引きの強さから釣り人たちに人気があります。
ここでは、そんなヒラマサの特徴や生態を分かりやすくまとめてみました。
ヒラマサが生息する場所や食性、ブリやカンパチなどとの違いをご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。
なお、記事の後半ではヒラマサが持つ毒性やアニサキス関連の危険性にも触れています。
ヒラマサ(ヒラス)とは?
ヒラマサは「スズキ目アジ科」に分類される魚で、同科においてはもっとも身体が大きい種として知られています。
なお、ヒラマサは「体が平べったいこと」「体の模様が柾目(まっすぐ)であること」からその名前が付けられたとされていますが、地方によっては以下のような名前で呼ばれることもあるそうです。
<ヒラマサの呼び方>
・東京:マサ
・鳥取、島根:ヒラソ
・大阪、高知、九州:ヒラス
・九州:ヒラソウジ
このように色々な呼び方があるヒラマサですが、見た目の特徴としては「背中側は青緑色」「腹側は銀白色」「胴体の中央に黄色のライン(ヒレも同色)」などが挙げられます。
ちなみに同じアジ科のブリと似ているため両者を間違えることもありますが、全体的に身体が平たいものがヒラマサで、厚みのあるポチャッとした身体をしているのがブリです。
(ヒラマサとブリ、またカンパチの違いについては後述あり)
ヒラマサは出世魚ではない
ヒラマサはブリやカンパチといった魚と似ているため「出世魚」と勘違いされることがあります。
しかし、ヒラマサは出世魚ではないので成長と共に呼び名が変わることはありません。
そんなヒラマサは成長のスピードが早く、だいたい4~5年ほどで体長1m前後となります。
なお、ヒラマサの寿命は最長で12年くらいと言われていますが、2mオーバーの個体を釣り上げたとすれば、それは「かなり長生きをしたヒラマサ」だと思います。
ハイブリッドなヒラマサの種類
自然環境の中では稀に「ヒラマサ×ブリ」「ヒラマサ×カンパチ」といった交配が起こります。
(ブリの卵とヒラマサの精子が受精する、またはカンパチの卵とヒラマサの精子が受精する)
こうしたハイブリッドなヒラマサのことを「ブリヒラ」「カンヒラ」と呼びますが、最近は人工的に同様の魚を生み出す研究もおこなわれています。
ちなみにハイブリッドなヒラマサは通常のヒラマサ・ブリ・カンパチよりも肉質や飼育効率、水温変化への耐性に優れているそうです。
有名なところでは近畿大学が養殖するブリヒラが知られていて、スーパーなどでも見かけることが多いと思います。
ヒラマサの特徴・生態
続いてはヒラマサの生息地や食性といった主な生態をご紹介していきます。
「どういったところにヒラマサが生息しているのか」「ヒラマサは何をエサにしているのか」といった疑問に答えていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
生息地
ヒラマサは世界中の温帯〜亜熱帯の海域に生息しています。
日本の場合だと東北より南側の海域であればどこでもヒラマサを釣るチャンスがあり、海水温が上がる夏なら北海道南部でもヒラマサを見かけることができます。
(ただし赤道付近のように気温が高すぎる海域では生息が確認されない)
なお、ヒラマサは海の中でも比較的浅いところに生息し、群れを作って行動するのが一般的です。
食性
ヒラマサは時速50kmほどのスピードで泳ぐことが可能であり、エサとなるイワシやアジを群れで追いかけながら捕食活動をおこないます。
また、小型の魚類以外ではタコやイカといった頭足類、小さめのカニやエビといった甲殻類もヒラマサのエサです。
こうしたことからヒラマサの食性は「肉食性」で、魚類の中では食物連鎖の上の方にいる魚と言えます。
ヒラマサとブリ・カンパチの違い
続いては「ヒラマサ」と「ブリ」「カンパチ」の違いを見ていきましょう。
ヒラマサ・ブリ・カンパチはどれも「スズキ目アジ科」に分類される魚です。
そのため、間違われることが多いのですが、3つの魚には以下のような違いがあります。
○身体の大きさ
3つのうちもっとも大きく成長するのがヒラマサです。
ヒラマサは最大2m以上になることもありますが、ブリやカンパチは大きくてもだいたい1m強といったところです。
ちなみにブリやカンパチは成長に伴い名前が変わる「出世魚」ですが、ヒラマサは成長しても名前が変わることはありません。
・イナダ⇒ワラサ⇒ブリ(関東)
・ハマチ⇒メジロ⇒ブリ(関西)
・シオ(シオゴ)⇒アカハナ⇒カンパチ
※出世魚の呼び方は地方によって変わります
○模様
ヒラマサの身体にはハッキリとした黄色い線が入っています。
ブリにも同じような黄色い線がありますが、ヒラマサほどハッキリとした模様にはなっていません。
また、カンパチの場合は黄色ではなく暗色の線が帯模様として見られます。
○旬の時期
ヒラマサとカンパチの旬は夏(7~9月ごろ)ですが、ブリの旬は冬(12月~1月ごろ)です。
そのため、釣りをしていてヒラマサとブリを間違えることは少ないと思います。
また、ヒラマサとカンパチを比べると、ヒラマサの方が高い海水温を好む傾向にありますので「釣りをした日の水温」も判断材料のひとつになります。
ヒラマサの美味しい食べ方
ヒラマサはブリよりも脂肪分が少なく、スッキリとした味わいを特徴としています。
そんなヒラマサを美味しく食べるのであれば、やはり「刺身」がベストです。
ヒラマサは漁獲量が少ないため高級食材としても扱われますが、その味を堪能するのに刺身ほど適した食べ方はありません。
もちろん、そのままでも美味しいヒラマサは塩焼きや照り焼きにしても絶品です。
ほかにもお店によってはカルパッチョなどに仕上げたり、海鮮丼や漬け丼の具材に使ったりしています。
ヒラマサにアニサキスはいる?
ヒラマサにアニサキスが寄生している可能性はゼロではありません。
アニサキスは内臓やその表面に寄生することが多いのですが、宿主である魚が死亡すると筋肉(身)の方へ移動してくることもあります。
そのため、自分で釣り上げたヒラマサを調理して食べるときはアニサキスの有無に注意をしましょう。
また、ヒラマサには「シガテラ毒」が含まれている場合もあります。
特に体長が大きなヒラマサにはシガテラ毒が蓄積されている可能性があり、素人が捌いて食べるのは危険です。
(シガテラ毒は加熱や冷凍をしても毒性がなくならない)
なお、アニサキスに関しては加熱や冷凍によって死滅しますので、気になる方は火を通すか一度冷凍してから食べてみてください。
関連記事:アニサキスによる食中毒の症状と対策!寄生しやすい魚とは?
まとめ
アジ科の中で最大種と言われる「ヒラマサ」について詳しくまとめてきました。
ご覧いただいたようにヒラマサは高級食材としても扱われるほど貴重な魚です。
上品な旨みとどんな料理でも美味しく食べられるところが魅力的で、釣り人からの人気も高い魚として知られています。
ただし、ヒラマサには「アニサキス」が寄生している危険性と「シガテラ毒」が含まれている危険性がありますので、自分で釣ったものを食す場合は注意が必要です。