この記事では料理にもよく使われる「ロブスター」の特徴について解説していきます。
ロブスターは「寿命がない」と噂される不思議な生き物です。
実際に推定100歳を超える長寿なロブスターが発見されることもありますが、本当に寿命がないのかどうか?というのが気になる部分だと思います。
ここでは、そんなロブスターの寿命に関する情報や詳しい生態をまとめてみました。
また、ロブスターとオマール海老の違いといった雑学も紹介していますので、ぜひご覧になっていってください。
ロブスターとは?
ロブスターは「エビ目ザリガニ下目アカザエビ科ロブスター属」に分けられる海生の甲殻類生物です。
高級食材のひとつとして知られ、アメリカやヨーロッパでは昔から食用のエビとして扱われてきました。
日本ではアメリカのシーフードレストランチェーン「レッドロブスター」が店舗展開をおこなったことでロブスターという名前が一般的に知れ渡ったと思います。
なお、エビには遊泳型と歩行型の2タイプが存在しますが、ロブスターの分類は歩行型です。
広義には歩行型の大型エビ種のことをまとめてロブスターと呼ぶこともあります。
ちなみにフランス・イタリア・スペインなどの料理で使われる「オマール海老」とはロブスターの別名です。
なんとなく「ロブスターはアメリカ料理に使われるエビ」「オマール海老はヨーロッパの料理に使われるエビ」といった印象を持っている方も多いと思いますが、オマール海老はロブスターをフランス語にした言葉となります。(オマール:homard)
オマールはフランス語で「ハンマー」を意味する単語で、ロブスターが大きなハサミを持っていることからその名前が付けられました。
※食材名としてはオマールロブスターと呼ぶこともある。
ロブスターの特徴・生態
それでは次にロブスターの特徴や生態をご紹介していきましょう。
ロブスターの性格や生息地、種類などをまとめたのでご覧ください。
ロブスターの性格
ロブスターはとても攻撃的な性格をしていて、仲間同士でケンカすることも珍しくありません。
水揚げされたばかりのロブスターを同じ網や箱に入れておくとお互いを傷つけあってしまうので、漁獲したロブスターはすぐにゴムバンドやテープなどを使って両方のハサミを固定します。
市場で見かけるロブスターのハサミにテープなどが巻かれているのはこうした理由からです。
ロブスターの生息地
ロブスターの主な生息地はヨーロッパの地中海や北欧のノルウェー近海、またアメリカの東海岸や南アフリカの一部海域となっています。
浅瀬にある岩礁や海底が砂になっているところを好み、岩陰や自分で掘った穴の中で単独生活することが一般的です。
ちなみにロブスターの体色は「赤色」というイメージですが、身体の色は生息する場所によって変わり、青っぽい色のロブスターや灰色に近いロブスターなども存在します。
ロブスターの種類と大きさ
ロブスターの種類は主に「アメリカン・ロブスター」と「ヨーロピアン・ロブスター(オマール)」の2つに分けられます。
○アメリカン・ロブスター
大きさは30〜40cmくらいで漁獲量が多く、値段的にも安いため世界中に流通している。
○ヨーロピアン・ロブスター(オマール)
大きさは50cmくらいでアメリカン・ロブスターよりも漁獲量が少ない。
また、身がしっかりと詰まっていて旨みが濃く、食材としての価値はアメリカン・ロブスターよりも高い。
簡単に言えば大衆的なレストランで使われているのがアメリカン・ロブスターで、ちょっと高級なレストランで「オマール海老」として提供されているのがヨーロピアン・ロブスターということになります。
なお、巨大化しやすいのはアメリカン・ロブスターの方で、長寿の個体では100cmを超えるものも少なくありません。
ちなみに南アフリカで漁獲されるロブスターは「ケープ・ロブスター」と呼ばれますが、厳密にはロブスター属とは異なるものとして扱われています。
※アフリカ産ロブスターは味や品質が劣ると言われている。
ロブスターの寿命について
ここからは誰もが気になる「ロブスターの寿命」について解説していきます。
「ロブスターには寿命がない」と言われる理由をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
ロブスターには寿命がない…?
先に答えからご紹介しますが、ロブスターは特殊な酵素の働きにより理論上は「寿命がない」と言われています。
そもそもロブスターはエビの仲間なので成長に伴い脱皮をおこないます。
このとき、ロブスターは外殻だけではなく体内にある内臓も新しいものと交換しているそうです。
人間で考えると常に20歳くらいの内臓(脳を含む)でいられれば基本的には健康な状態が保てるわけですが、ロブスターは自然とそういった代謝をおこなっていることになります。
そして、仮にこの「若返るための脱皮」を永遠に繰り返した場合は、理論上「不死」になるということです。
ただし、ロブスターの脱皮には相応の時間が掛かり、その間に外敵から攻撃されて命を落とすケースも多々あります。
寿命が長い理由
「なぜロブスターは脱皮をするたびに若返れるのか?」という疑問もありますが、これは生物の寿命を決める「テロメア」が関係しています。
テロメアとは染色体の末端にある構造のことです。
生物の身体を構成する染色体には両端にテロメアが付いていて、細胞分裂をするたびにテロメアが短くなっていきます。
テロメアがある一定の長さを下回ると細胞は死滅するのですが、そんなテロメアの長さを再度伸ばせるのが「テロメラーゼ」と呼ばれる酵素です。
ロブスターはテロメアの長さを復活させるテロメラーゼの働きが他の生物よりも活発で、これによって「脱皮(新陳代謝)」⇒「テロメアの長さを伸ばす」⇒「長寿(理論上は寿命がない)」と言われているわけです。
ちなみに二枚貝もロブスターと同じように活発なテロメラーゼを持っていて、過去には500年以上生きた貝が発見されたこともあります。
※ロブスターの参考例では、アメリカのレストランで推定130歳以上のロブスターが見つかったケースもある。(ロブスターは重さによってだいたいの年齢が計算可能)
ロブスターの美味しい食べ方
それでは最後にロブスターの美味しい食べ方をご紹介していきましょう。
まず、身がしっかりと詰まったヨーロピアン・ロブスター(オマール海老)ならそのまま塩茹でにするだけでも美味しく食べられます。
また、グリルで焼いてバターとレモンでいただくというのも定番人気の食べ方です。
大ぶりな身を持つアメリカン・ロブスターを美味しく調理する場合には、外した殻を使ってアメリケーヌソースを作り、グリルやソテーした身と一緒に食べるのがおすすめと言えます。
なお、ロブスターに合わせるソースとしては、ほかにもトマトソースやチーズを使ったソースがおすすめです。
まとめ
「寿命がない」「不老不死」とも噂されるロブスターの生態や長寿の理由をご紹介してきました。
ご覧いただいたようにロブスターは「テロメア」を復活させる「テロメラーゼ」の働きが活発なことにより長い寿命を得ています。
ただし、自然環境では外敵に襲われ命を落とすケースも少なくないので、すべてのロブスターが長寿というわけではありません。
また、ロブスターは世界中で親しまれている食材だけに、ロブスターにとっては人間によって漁獲されることがもっとも大きな脅威と言えるかもしれません。