海水の成分って?飲むと身体に悪い?人工海水についても

この記事では、地球が存在する上で欠かせない「海水」に関する知識や雑学などをご紹介していきます。

地球には計り知れないほどの水がありますが、そのうち9割以上を占めるのが海水です。

私たち人間が飲める水の割合は全水分量の2~3%ほどと言われていますので、地球に存在する海水の量がどれほど多いものなのかが分かると思います。

ここでは、そんな「海水を構成する成分」や「海水が飲用に適さない理由」などを詳しくまとめました。

また、「海水はどうやって生まれたのか?」「海水の活用方法は?」「人工海水とは何か?」といった疑問にも答えていきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

海水の成分って?

海水は「水」と「塩分」で構成されています。

その内訳はおよそ「水:96.6%」と「塩分:3.4%」とされていますが、塩分の濃度は海域や水深などによって変化するため上記の割合が必ずしも一定になるとは限りません。

ただし、海水の塩分を構成する成分は「塩化ナトリウム:77.9 %」「塩化マグネシウム:9.6 %」「硫酸マグネシウム:6.1 %」「硫酸カルシウム:4.0 %」「塩化カリウム:2.1 %」「その他の成分:0.3%」といった形で一定です。

また、海水には以下のような「イオン(=電荷を帯びた原子)」が含まれています。

・ナトリウムイオン
・マグネシウムイオン
・カルシウムイオン
・カリウムイオン
・ストロンチウムイオン
・塩化物イオン
・硫酸イオン
・臭化物イオン
・炭酸水素イオン
・フッ化物イオン
・ホウ酸

ご覧の通り、海水には様々な成分が溶け込み構成されているわけです。

それでは次に「海水はどうやって生まれたのか?」という疑問を解消していきましょう。

海水はどうやって生まれた?

私たちが住む地球はおよそ「46億年前」に誕生したと考えられています。

この「原始の地球」には今のような海水が存在していませんでした。

地球が惑星としての形を作り始めたころ、地表は「マグマ」で覆われ空は「二酸化炭素」や「窒素」などのガスで包まれていたそうです。

そして、マグマの活動が収まり地表の温度が下がると、大気中に含まれていた水蒸気が「雨」となり地表へと降り注ぐ時代がやってきます。

この雨はなんと「1000年以上」に渡って降り続けたのですが、その結果として現在の「海」が誕生しました。

ただし、遥か昔の「原始の海」は塩酸などが溶け込んだ「強い酸性」の海です。

つまり、生き物が誕生するような環境ではありませんでした。

その後、強い酸性の海は長い年月をかけて地表の「ナトリウム」や「カルシウム」を溶かしながらゆっくりと「中性」の海に成長していきます。

数十億年という時間をかけて「強い酸性」⇒「中性」⇒「弱アルカリ性」と変化した海では様々な生命が誕生し、現在のような生態系を形成するまでに至りました。

これが現在の海水の成り立ちです。

ちなみに原始の海が誕生してから今までの時間を計算すると、海の年齢は「43億歳」になるそうです。

海水を飲むのはダメ?

続いて「海水は飲んだらダメ」と言われる理由をご紹介していきましょう。

私たち人間の身体の塩分濃度はおよそ「0.9%」です。

対して海水の塩分濃度はだいたい「3.4%」なので、ヒト成体に必要な濃度よりもかなり高い数値となっています。

人間は過剰な塩分を摂取すると腎臓の働きによって「塩分と水分」を体外に排出(尿)しようとします。

しかし、海水のように塩分濃度が高い液体を飲むと、尿を出すためには「飲んだ海水量よりもっと大量の水分(真水)」が必要になってしまうわけです。

「無人島」が舞台となるドラマや映画、小説や漫画などでは大抵「海水を飲んではいけない」というシーンが出てきますが、これは上記のような理由からです。

また、人間が1日に摂取して問題ない塩分量はだいたい6g前後と言われています。(性別・年齢・疾患の有無などによって異なる)

1ℓの海水には34gの塩分が含まれていますので、たとえ100㎖でも飲めば基準値の半分以上(3.4g)の塩分を摂取してしまいます。

当然、塩分を過剰に摂取すれば腎臓などの負担が大きくなるため、海水は飲用に適さないわけです。

なお、海で溺れてしまい誤って海水を大量に飲んでしまった場合は「できるだけ大量の真水を飲み体内の塩分濃度を下げる(尿を出す手助けをする)」「飲み込んだ海水を吐き出す」といった応急処置を取ります。

ちなみに海水には人間にとって有害な細菌や微生物などが含まれていることもあるので、体調に異変を感じる場合はすぐ病院で診察を受けましょう。

海水の活用例

海水には様々な活用方法があります。

ここではその一例をまとめましたのでご覧ください。

塩分やミネラルの採取

海水を乾燥させると「食塩の原料」が採取できます。

四方を海で囲まれている日本では古来より海水を乾かして食塩を精製してきました。

また、海水にはミネラルが含まれていますが、近年では塩分や不純物を取り除いた海洋深層水が「ミネラル豊富な飲用水」として販売されています。

工業原料(微量金属)の採取

海水には塩分・ミネラルのほかアルカリ金属なども含まれていて、工業用の金属原料を採取する目的で海水を活用する機会も増えてきました。

ちなみに最近は海水に含まれるリチウムやチタンといった希少性の高い金属を効率よく回収する方法が研究の対象となっています。
(現在の回収・分離技術では採算が取れず希少金属を有効活用できていないため)

飲料水への精製

冒頭でも伝えた通り、地球上に存在する水分の9割以上は「海水」です。

この海水を「淡水=真水」へと精製し、飲料水として活用する技術も発展してきています。

こうした技術は水不足に悩む国や地域にとって貴重なものであり、その設備や装置の開発などに注目が集まっています。
※真水であれば飲料水としてだけでなく生活用水などにも使える。

冷却水としての用途

大きな工場では機械(タービンなど)の熱を取るために大量の冷却水を必要としますが、海水はこうした冷却水としての役割も担っています。

なお、海岸沿いに工場地帯が並んでいるのは上記のような理由も含まれています。

発電技術への応用

海水は「波力発電」や「潮汐力発電」など、様々な形の発電技術に使われています。

また、表層と深層の海水温は異なりますが、この温度差によって機械を動かし電力を得る方法もあります。

そのほか液化天然ガスを再気化させるために海水を用いるケースも少なくありません。

人工海水とは?成分は?

「塩化ナトリウム」を主成分とし、無機塩類やpH調整剤といったものを加えた液体が「人工海水」です。

人工海水には原液となる「濃縮液」やさらにその元となる「粉末」など、様々な商品が販売されています。

人工海水は「海水魚」などの飼育に用いられることが一般的で、近所にあるようなホームセンターでも購入が可能です。

濃縮液や粉末を真水に溶かし、飼育する生き物に適した塩分濃度に薄めて使います。

なお、人工海水の品質はどれも同じというわけではなく、含まれている成分などの違いによって用途を分けるケースもあります。

まとめ

地球にある全水分の9割以上を占める「海水」について詳しくまとめてきました。


ご覧いただいたように海水は地球の成り立ちに深く関わっているものであり、生態系の維持には欠かせない存在です。

ただし、人間がそのまま海水を飲むと身体に悪影響を及ぼすため飲用はNGとなっています。

とはいえ、海水は様々な形で活用されていて、海水を真水に精製する技術も向上してきました。

今後はより海水の重要性が増していくと考えられますので、四方を海で囲まれた島国の日本も海水を上手く利用していきたいところです。

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