塩害とは?メカニズムや暮らしへの影響|自宅の対策も

「いつか海の見える場所に家を建てたい」

「毎日サーフィンが出来るよう、海から近い家に住みたい」

こうしたことを夢見る方というのは少なくありませんよね。しかし、実際に海の近くに家を建てたり住んだりするには気を付けなければいけないこともあります。

それが「塩害」です。塩害という言葉は、海の近くに住んだことがない方からするとピンとこないフレーズかもしれません。

しかし、海沿いに住む方にとっては日常のこととして考えられているものが塩害です。

ここでは「塩害とは何なのか?どうやって起こるのか?」という基本的なことから、「塩害を防ぐにはどうしたらいいのか?」という対策方法まで幅広くご紹介していきます。

ぜひ、これから海の近くに住もうと考えている方は参考までにご覧になっていってください。

塩害とは?

塩害というのは塩分を含んだ潮風が内陸部の建物や農地に届くことによって、建物が腐食したり農作物が枯れたりしてしまう自然被害のことです。

また自分の所有する家や畑でなくても電柱や電線にも塩害は及びますので、かつては沿岸部で塩害による漏電・電気供給のストップといった被害例もありました。

ただし電線に関しては、今では対策が進んでいて簡単には漏電などしないようになっていますのでご安心ください。

そのため、現在のところ考えられる直接的な塩害で言いますと、やはり自宅建物への被害や農作物への被害がもっとも大きな問題と言えるでしょう。

そんな塩害ですが、どういったメカニズムで発生をして、どれくらいの被害を引き起こすのかという点を見ていきたいと思います。

塩害発生のメカニズム

簡単に言えば、塩害というのは塩分を含む海水が蒸発をし、それが潮風に乗って内陸部までやってくることを意味します。

そのため、人間の力で完璧に抑えることは出来ません。なお、塩害のメカニズムを分かりやすく解説しますと、まず塩分を含んだ潮風がコンクリートに付着したとしましょう。

このとき、塩分中の塩化物イオンが建物に使われている鉄筋部分を腐食させていきます。そして腐食が進んだ鉄筋部分は次第に膨張をしていき、ひび割れが発生するわけです。

ひび割れた部分というのはさらに塩化物イオンなどの腐食原因とされる成分を吸収しますので、劣化スピードが著しく早まります。

最終的にひび割れた部分からコンクリートが剥がれ落ち、見た目にも耐久性にも良くない状態になるというのが塩害の主な概要です。

このメカニズムから考えると、建物の表面に塩害を防ぐためのコーティングを施すことがもっともベターな対策となるのですが、やはりそれでも日々の潮風を完璧にシャットダウンすることは出来ません。

また、塩害は建物本体だけでなく室外機やテレビアンテナといったものにも及びます。

特に鉄を用いた製品の場合は塩害による被害を受けやすく、腐食スピードも早いため注意しなければいけません。

ちなみに、この塩害による腐食というのは前述のように塩化物イオンが主な原因となります。

そのため、塩化物イオンを電気的に分解して腐食を防ぐ方法もあるのですが、こうしたことも海沿いに住むのであれば覚えておきましょう。

塩害の暮らしへの影響

塩害が我々の生活に与える影響には様々なものがあります。

たとえば海沿いの家では窓ガラスが塩分によって白く曇りがちになりますし、洗濯ものも潮風によってベトベトになりやすいといったことが多々起こります。

また、家庭菜園などをしていても潮風が強いと枯れてしまったりするので普通よりも注意深く育てなければいけません。

さらに建物やベランダ、庭だけでなく自動車や自転車にも塩害の影響というのは現れます。

一般的な地域と比べ潮風が強く吹く地域では、自動車のバンパーや自転車のフレーム部分というのが錆びやすく、さらに別の部分に関しても劣化が早まるため買い替えの周期が早くなりがちといったこともその影響のひとつです。

もちろん塩害のメカニズムで解説したように、建物への影響も大きな問題です。

沿岸部に家を建てるときには風向きにも気を付けなければいけません。

仮に潮風をモロに受けるような場所に家を建てるなら、その潮風を受ける方向にベランダや庭は配置できませんよね。

こうしたことも考えた上で家を建てないと、自宅の修繕費用や補修費用といったものが予想よりも高くついてしまうので気を付けるようにしましょう。

そんな塩害による被害をどうやったら最小限に食い止められるのか?

次に自宅に関する塩害対策についてご紹介していきたいと思います。

自宅の塩害対策

自宅を塩害から守るためには、まず3つの基本的対策が必要となってきます。

・塩化物イオンによって腐食しにくい建材を使う
・建物を塩害から守るために塗装する
・自分で小まめに外装クリーニングをおこなう

こちらが自らおこなえる塩害対策となりますので、ひとつずつその内容を見ていきましょう。

最初に必要なのは家を建てるときに、そもそも塩害に強い建築材料を選ぶということです。

一般的な住宅に使われる鉄材や鋼材というものは、塩害によってすぐに錆びてしまいます。

そのため、最近では錆びに強いステンレスが使われることが一般的になってきました。

なお、SUS304というステンレス素材がこれまでは使われていましたが、より塩害に強い素材を選びたいのであればSUS316というステンレス素材がおすすめです。

塩化物イオンによる腐食に対して高い耐久性を持っていますので、自宅の外壁部分を守るには適した素材と言えます。

また、ほかにもガルバリウム鋼板というアルミニウム素材や亜鉛、さらにシリコン合金といったものも塩害対策には向いている素材です。

次に建物を塗装するという対策ですが、こちらは金属と接する部分に対して重点的におこなっていきます。

・アクリルシリコン樹脂
・ポリウレタン樹脂
・エポキシ樹脂
・フッ素樹脂

このあたりの樹脂素材が塗装やコーティングに使われていますが、値段がそれぞれ違いますので予算から選んでみてください。

また、窓などのガラス部分にはガラス用の液体塗料を使ってコーティングすると効果的です。

最後に自分で小まめに外装クリーニングをおこなうという対策ですが、こちらはとにかく地道に外壁や窓を流水で掃除するしかありません。

塩害というのは、海水がそのまま自宅の壁に付着しているようなものです。

そのため、真水を使って丁寧にその塩分を除去する必要があります。

なお、高いところなどを洗い流すときには高圧放水が可能なホースなどがあると便利です。

また、足元がしっかりとした脚立も用意しておくと作業が捗るのでひとつは持っておきましょう。

ちなみに真水で塩分を洗い流したとしても、しっかりと乾かさなければ跡が残ってしまいます。

いらなくなった大きなバスタオルなどで洗い流したところを拭くとキレイに仕上がるので、最後のひと手間も惜しまないようにしてください。

もちろん家全体を一度に掃除するとなると大変ですから、片面ずつ洗い流していくという方法でも構いません。

自分で外装をクリーニングするというのは面倒ですが、継続的におこなっていれば外壁の劣化スピードを通常よりだいぶ抑えられるのでぜひ試して欲しいところですね。

まとめ

海沿いに住みたい、これから住むという方のために塩害に関する情報をまとめてお伝えしてきました。

塩害は沿岸部に住む人間にとって避けられない自然被害です。

そのため、あらかじめ対策を講じておくことが重要となりますので、ぜひ本文の内容を参考に自宅をケアしてもらえればと思います。

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