この記事では水族館での人気者「シロイルカ」に関する様々な情報をご紹介していきます。
シロイルカは「ベルーガ」とも呼ばれる生き物です。
真っ白で大きな身体と愛嬌のある顔つきが特徴的で、簡単な芸を覚える知能も持ち合わせています。
ここでは、そんなシロイルカの生態・生息地・性格・能力・寿命などを分かりやすくまとめました。
また、シロイルカが見られる水族館情報も合わせてご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。
シロイルカ(ベルーガ)とは?
シロイルカは「哺乳綱鯨偶蹄目イッカク科」に分類される生き物です。
イッカク科には「イッカク属」と「シロイルカ属」の2つがあり、シロイルカ属は「シロイルカ」のみで構成されています。
シロイルカは「ベルーガ」とも呼ばれていますが、これはシロイルカの別名です。
(ベルーガとはロシア語で「白い」という意味を持つ)
シロイルカの体長はオスで5~7m、メスで4mくらいです。
本来、クジラ類に属する生き物は体長4m以上のものがクジラ、4m以下のものがイルカや別種の生き物として扱われます。
(厳密に4mというわけではなく、おおよその目安が4m前後)
しかし、シロイルカの場合は体長4m以上でもイルカという名前が使われていますので、クジラ類の中でも特別な存在と言えます。
シロイルカは「ハクジラ類」の仲間
クジラは「ヒゲクジラ類」と「ハクジラ類」の2つに大別されます。
シロイルカ(イッカク科)はこのうち「ハクジラ類」に分類されますが、ほかのハクジラ類とは異なり頭部の「メロン」と呼ばれる脂肪組織が大きいところが特徴的です。
また、シロイルカ特有の体色は主な生息地である北極圏において「保護色」の役割を果たしていると考えられています。
このほか、背ビレが小さい(またはない)ところもシロイルカの特徴で、流氷が多い海でも泳ぎやすくするために進化したようです。
(背ビレが大きいと海面の流氷にぶつかりケガをしてしまう)
シロイルカのエコーロケーション能力
シロイルカは自身で音を発し、その反響によって障害物やエサなどの位置を特定する「エコーロケーション能力」を持っています。
前述の「メロン(脂肪組織)」は水中で音を響かせるための器官で、別種よりも発達しているのは流氷の多い北極圏において「氷の隙間」を探すためです。
(氷の隙間から酸素を摂り込まないと生きていけない)
また、北極圏のような生き物が少ない場所でも、効率的にエサを見つけるためには必要な進化だったと言えます。
シロイルカが食べるもの
シロイルカは魚やカニ、貝類など様々なものを食べる生き物です。
実際にシロイルカの胃を調査した結果では50~100種類ほどの内容物が確認されています。
なお、その中にはゴカイなどの生物も含まれているため、基本的には何でもエサとする生き物と言えるでしょう。
ちなみに水族館で飼育されているシロイルカにはサバ・ホッケ・アジ・シシャモ・サンマなどが与えられています。
また、シロイルカはエサを食べるときに歯を使わず「丸飲み」するのが基本の食事スタイルです。
※逆に自然界にはシロイルカをエサとする生き物も存在し、代表的なもので言えばホッキョクグマやシャチ、ホオジロザメなどがシロイルカの天敵です。
シロイルカの歯は、こうした天敵から身を守るための武器として使われます。
シロイルカの生態・特徴
ここからはシロイルカの生態や特徴を詳しくご紹介していきます。
生息地
シロイルカの生息地はグリーンランドやアイスランド、オホーツク海やベーリング海といった北極圏寄りの海域です。
気温などの気象条件が揃うと日本近海まで南下してくることもありますが、基本的には流氷があるような海域で生活を送っています。
性格
イルカは好奇心旺盛な性格をしていて、人間に対しても好意的な行動を起こす生き物です。
しかし、厳しい自然界の中で生き残るために慎重かつ臆病、また攻撃的な一面も持ち合わせていて、身を守るためには相手と戦うこともあります。
ちなみにシロイルカはひとつの獲物を数頭で追いかけ回して撃退する、もしくは捕食するといった行動を取りますが、こうした協調性を大事にするところも特徴のひとつと言えます。
知能
シロイルカに限らず、イルカ類は体重と脳の重さの比率が人間に次いで高い生き物です。
つまりそれだけ高い知能を持ち合わせていると考えられています。
実際、シロイルカはエコーロケーションや複数の鳴き声を駆使して、仲間同士でコミュニケーションを取っています。
その鳴き声の数は50種類ほどで、周波数の幅は12~100キロヘルツです。
鳴き声と周波数の組み合わせにより「会話」が可能とも考えられていますが、シロイルカを含めイルカ類がどういった話をしているのかは分かっていません。
また、シロイルカは「海のカナリア」とも呼ばれ、様々な鳴き声がメロディーとして聞こえることもあるそうです。
(ただし、実際に音楽を理解しているかどうかは不明)
※八景島シーパラダイスではシロイルカがメロンを震わせながら鳴き声(歌)を発する様子が確認されています。
寿命
シロイルカの平均的な寿命は35年ほどで、長い場合だと50年ほど生きる個体もいるようです。
ただし、野生下においては天敵に攻撃されることも多く、天寿をまっとうできない個体もたくさん存在します。
ちなみに、他の海洋生物の場合は水族館で飼育されているものの方が長生きである傾向が強いのですが、シロイルカの場合はそこまで大きく変わらないようです。
どちらにしても30~35年くらいは生きるので、なかなか長生きをする生き物と言えるでしょう。
シロイルカのいる日本の水族館
現在のところ、国内でシロイルカを飼育している水族館は以下の4つです。
・鴨川シーワールド(千葉県鴨川)
・八景島シーパラダイス(神奈川県横浜)
・名古屋港水族館(愛知県名古屋)
・島根県立しまね海洋館AQUAS(島根県浜田)
日本で初めてシロイルカを公開したのは千葉県にある「鴨川シーワールド」です。
1976年に一般公開が始まったので、かれこれ50年近く前の話となります。
また、シロイルカに芸を仕込み水中でのパフォーマンスをおこなったのも鴨川シーワールドが初です。
八景島シーパラダイスは都心からのアクセスが良く、人気が高い水族館として知られています。
シロイルカの姿を目の前で見られる環境が整っていて、ガラス越しにシロイルカと触れ合うことが可能です。
名古屋港水族館は日本で初めてシロイルカの繁殖に成功した水族館として知られています。
最後の島根県立しまね海洋館AQUASは、西日本で唯一シロイルカが見られる水族館として人気です。
シロイルカが遊びでおこなう「バブルリング」のパフォーマンスを世界で初めておこないまし。
このように日本にはシロイルカが見られる4つの水族館がありますので、その姿をぜひ間近でご覧になってみてください。
まとめ
イルカの中でも身体が大きく、また特徴的な白い体色を持つ「シロイルカ(ベルーガ)」について詳しく説明してきました。
本文でも解説したようにシロイルカはハクジラ類の仲間ではあるものの、他のイルカとは異なる分け方がされている生き物です。
基本的には流氷がある北極近くの海に生息していて、群れを成しながら生活を送っています。
日本でもシロイルカを見られる水族館はありますので、ぜひ一度生のシロイルカをご覧になってみてください。