ザトウクジラの特徴・生態!大きさ・生息地や名前の由来も

この記事では「ザトウクジラ」の特徴や生態などを詳しくご紹介していきます。

ザトウクジラは世界中のほぼ全海洋に生息している「ヒゲクジラ類」の一種です。

クジラの中では中くらいの大きさとなるザトウクジラですが、それでも体長は平均して13~15mくらいあります。

ここでは、そんなザトウクジラの生息地・性格・寿命などを分かりやすくまとめてみました。

また、ザトウクジラの「名前の由来」やザトウクジラが発する「歌声」についても解説していますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

ザトウクジラとは?

ザトウクジラは「鯨偶蹄目ヒゲクジラ類ナガスクジラ科」に分類されるクジラです。

基本的にクジラは「ヒゲクジラ」「ハクジラ」のどちらかに分けられますが、ザトウクジラは前者ということになります。

・ヒゲクジラ:上顎から生えている「鯨ヒゲ(ヒゲ板)」という器官でエサを漉し取る(歯を持たない)
・ハクジラ:鯨ヒゲではなく歯を使ってエサを捕食する(鯨ヒゲ自体を持たない)

なお、ザトウクジラと同じヒゲクジラ類の仲間にはシロナガスクジラやセミクジラなどがいます。

ザトウクジラの見た目

ザトウクジラの見た目的な特徴としては、まず他のクジラたちにはない「長くて大きい胸ビレ」が挙げられます。

胸ビレは大きいもので4m以上になりますが、これは身体の1/3くらいに匹敵する大きさです。

ちなみにザトウクジラの学名である「megapteron」は「大きな翼」という意味を持っていて、その胸ビレの大きさから名付けられています。

なお、ザトウクジラはこの大きな胸ビレを使って、水中での身体のバランスを保っているそうです。

また、ザトウクジラの頭部には感覚毛と呼ばれる器官が生えた「コブ」のようなものがあり、これにより海流や潮流を読んでいるのではないかと言われています。

ザトウクジラの食性やエサ

ザトウクジラが属するヒゲクジラ類の食事方法は実に豪快です。

エサが泳いでいるところを海水ごと丸飲みし、そのあと鯨ヒゲを使ってエサだけを漉し取り、不要な海水などは外に吐き出します。

そんなザトウクジラの主なエサは「オキアミ」のようなプランクトン、また「イワシ」「ニシン」「シシャモ」などの小魚です。

大きな身体を維持するためには大量のエサが必要となりますが、ザトウクジラは夏の間にエサをたくさん食べて、冬の間はそれをエネルギー源として越冬を図ります。

※冬場は暖かい温帯海域で過ごすが、そこにはザトウクジラのエサとなる生き物が少ないため

ザトウクジラの繁殖と赤ちゃん

ザトウクジラは集団で生活を送り、そのグループ内で相手を見つけて繁殖活動をおこないます。

繁殖をおこなうのは温帯や熱帯の海域にいるときで、メスは約11~12ヶ月間の妊娠期間を経て出産をします。

なお、生まれたばかりの赤ちゃんザトウクジラの大きさは4mくらいです。

赤ちゃんの状態でもすでに1トンほどの体重がありますので、いかにザトウクジラが大きいかが分かるかと思います。

ちなみにザトウクジラはメスが子育てをおこない、オスは子育てにノータッチだそうです。

ザトウクジラの名前の由来

ザトウクジラという和名は、その昔存在した「座頭」が持つ「琵琶」に身体の形が似ていたことから名付けられたそうです。

※座頭:琵琶や三味線などの奏者、また鍼灸やあんまなどを職業とする盲人のこと(有名な琵琶法師は座頭のひとり)

また、別の説として「座頭が琵琶を背負った姿に似ていた」などもありますが、どちらにしても座頭が転じて「ザトウクジラ」になったことは間違いないようです。

ザトウクジラの特徴・生態

ここからはザトウクジラの特徴や生態をより詳しくご紹介していきます。

「ザトウクジラはどれくらいの大きさなのか?」「ザトウクジラはどこに生息しているのか?」といった疑問を分かりやすく解消していきますので、ぜひご覧ください。

大きさ

ザトウクジラは世界最大の鯨といわれるシロナガスクジラと同じナガスクジラ科に属しています。

そんなザトウクジラの全長は平均して13~15m程度となりますが、大きな個体だと全長19m近くまで成長するものもいます。

ちなみにザトウクジラはメスの方がオスより大きく育つところが特徴的です。

体重はおよそ40トン前後とされていますが、中には50トン級のザトウクジラも存在します。

○他のクジラとの比較
・ミンククジラ:最大10mほど
・ニタリクジラ:最大15mほど
・ザトウクジラ:最大19mほど
・ナガスクジラ:最大27mほど
・シロナガスクジラ:最大33mほど

こちらは同じナガスクジラ科に分類されるクジラと身体の大きさを比較したものとなりますが、ご覧のようにザトウクジラは中くらいのサイズであることが分かります。

生息地

ザトウクジラは「冷たい海」と「暖かい海」の間を回遊しながら生活を送っています。

夏の時期になるとエサを求めて冷たい海(北極や南極方向)に進み、冬の時期になると繁殖活動や身体を守るために暖かい海(赤道方向)へと移動するわけです。

生息地に関しては「世界中ほぼすべての海」となっていますので、基本的にはどこでもザトウクジラを見かける可能性はあります。

○ザトウクジラの個体群(場所ごとのグループ)
北太平洋東部のグループ:メキシコ~カリフォルニア
北太平洋中部のグループ:ハワイ~アラスカ
北太平洋西部のグループ:沖縄~オホーツク
南半球グループ:オーストラリア・アフリカ大陸~南極

なお、世界の海に生息するザトウクジラはご覧のような形でグループ分けができるそうです。

日本の近くで見かけられるのは北太平洋西部のザトウクジラで、小笠原諸島近海でも観測されています。

ちなみにザトウクジラは集団で生活を送りますが、基本的に他のグループとは交流しないとのことです。

性格

ザトウクジラは温厚な性格をしています。

ほかの生き物を無暗に襲うようなことはなく、また人間を食べるような行動も起こしません。

そのため、船の近くにザトウクジラの群れが出現しても必要以上に恐れる心配はないと言えます。

ただし、ザトウクジラが意図せず船や人間にぶつかる危険性はあるので、近付く際には十分に気を付けましょう。

寿命

ザトウクジラの平均的な寿命は50年前後で、今のところ観測された最高齢のザトウクジラは77歳とされています。

なお、海の中にはザトウクジラの天敵となるような生き物がいないので、人間にさえ捕獲されなければ天寿を全うできるケースが多いと考えられています。
(唯一警戒するのはシャチくらい)

ザトウクジラの「歌(声)」とは?

ザトウクジラは「歌を歌うクジラ」としても有名です。

歌声のような音を発する目的としては「求愛」「コミュニケーション」が主とされていますが、そのバリエーションは多岐に渡ります。

また、歌の長さについては数分~数十分ほどあり、中には十数時間を超えて繰り返し歌を歌う行動も観測されているとのことです。

なお、このザトウクジラの歌は「旋律」や「句」などから構成されていて、同じグループ間でのみ効果が得られるとされています。

まとめ

数多く存在するクジラの仲間の中から、今回は「ザトウクジラ」の特徴や生態をご紹介してきました。

ご覧いただいたようにザトウクジラは「大きな胸ビレ」と「独自の歌声」を特徴とするクジラです。

大きさは15m前後で、ヒゲクジラ類の中では中くらいのサイズのクジラと言えます。

ザトウクジラは沖縄や小笠原諸島でも見かけられますので、興味がある方はぜひホエールウォッチングツアーなどに参加してみてください。

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