海洋ゴミの種類と割合は?原因や対策も

普段の生活の中ではあまり聞くことがない「海洋ゴミ」という言葉ですが、その海洋ゴミがどれほど私たちの生活に影響を与えているかご存知でしょうか?

海洋ゴミの増加は年々深刻化していて、日本だけでなく世界の多くの国が危惧する問題となっています。

ちなみにレジ袋が有料化になったり、ストローがプラスチックから紙のものに変わったりしているのもこの海洋ゴミが関係しています。

この記事では、そんな海洋ゴミの種類や割合などについて詳しい解説をおこなっていきますので、ぜひその内容を読み「海洋ゴミ」が身近な問題であることを認識してください。

海洋ゴミが増える原因や対策を理解すれば、きっとその数は減らせるはずです。

海洋ゴミの種類と割合

それではまず、海岸に流れ着くゴミの種類とその割合を見ていきたいと思います。

国内全体のデータは後ほどご紹介しますが、ひとまず海洋ゴミの問題を身近に感じてもらうために「公益財団法人かながわ海岸美化財団」が収集・調査した実際のデータをご覧ください。

参考文献:公益財団法人かながわ海岸美化財団

なお、こちらは平成28年~平成30年にかけてのデータです。

【海洋ゴミ全体の重量と割合】
木・草・わら:411.2kg、60.4%
プラスチック:130kg、19.1%
海藻:40.8kg、6%
金属:38.3kg、5.6%
ガラス:24.5kg、3.6%
繊維:16.6kg、2.4%
紙:16kg、2.3%
厨芥類:2.4kg、0.4%
その他:1kg、0.1%

ご覧のように海岸に流れ着くゴミの大半は木や草といった自然物です。

これらのゴミは川から海へと流れ、潮の関係で海岸へと漂着します。

また、海藻が別に分けられていますが、これも海に存在する自然物のひとつです。

そして、こうした自然物以外のゴミでもっとも多いのが近年問題視されているプラスチックゴミとなります。

プラスチックゴミがいかに多いかは、自然物を除いたゴミの割合データを見れば一目瞭然です。

【人工的なごみの重量と割合】
プラスチック:130kg、57.1%
金属:38.3kg、16.8%
ガラス:24.5kg、10.8%
繊維:16.6kg、7.3%
紙:16kg、7%
厨芥類:2.4kg、1.1%

こちらが自然物を除いた上での各ゴミの割合です。

プラスチックゴミは全体の半数以上を超えていて、ほかのゴミとは明らかにその量が異なることが分かります。

このようにひとつの団体が収集・調査した結果だけでも海洋ゴミの大半を占めるのはプラスチックゴミと分かっているわけですが、これが国全体になるとどれくらいの割合になるのかを見ていきましょう。

【国全体の漂着海洋ゴミの種類と割合(重量)】
自然物:58%
プラスチック:23.3%
木材:12.8%
その他人工物:4.7%
ガラス・陶器:0.6%
金属:0.4%
布:0,4%
紙:0.03%

こちらは平成28年における日本の漂着海洋ゴミの重量割合データです。

ご覧のように自然物がもっとも多い割合を占めていますが、人工的なものになるとやはりプラスチックゴミが1番多いことが分かります。

ちなみに上記のデータは「重量」による割合ですが、これを「個数」で見るとプラスチックゴミが「65.8%」にも上がります。

つまり海の中に漂うゴミの約2/3がプラスチックゴミということになるわけです。

なお、日本が海へと流してしまっている海洋プラスチックゴミの重量は2~6トンと推計されています。

海洋ゴミが増える原因

海洋ゴミとしてもっとも多いものがプラスチックゴミということが分かりました。

しかし、これだけ騒がれているのならどうして海にプラスチックゴミやそのほかのゴミが増えるのか?といった部分も疑問に感じるところです。

ちなみに先ほどもご紹介した「公益財団法人かながわ海岸美化財団」がおこなった調査によりますと、海洋ゴミが海岸で発生する割合というのは全体の3割しかないそうです。

それではほかの7割のゴミはどこから発生するのか?と言いますと、答えは「川からの流入」となります。

つまり海洋ゴミの大半は人々の生活圏内から川を通じて流れ出ていっているわけです。

海洋ゴミの多くはプラスチックゴミと説明しましたが、たとえばあなたが川の近くなどでバーベキューをして、その際に食材の包装袋を誤って川に流してしまったとしましょう。

そして、そのビニール製の包装袋が数日や数週間を経て辿り着く先は海です。

こうした何気ない日常の中にも海洋ゴミが増える原因は潜んでいます。

また、生活排水が適切に処理をされないと、下水を通じて川から海へとゴミが流れることにもなります。

一例を挙げますと、歯磨き粉や洗顔料に含まれるスクラブ成分というのは細かなプラスチックの粒子です。

下水処理場でちゃんと処理されれば川や海を汚すことはありませんが、実際にはこうしたプラスチック成分が含まれた汚水が海へと大量に流れていってしまっています。

特に発展途上国などではその影響が顕著に表れる傾向にあり、海洋プラスチックゴミの排出量世界4位まではすべて東南アジアの国々です。(1位は中国)

このような原因によって海洋ゴミというのは増えていっているのですが、そんな海洋ゴミが環境へと与える問題についてもご覧になっていってください。

海洋ゴミの環境への影響

海洋ゴミが増えると、まず魚たちなど海洋生物の生態系が脅かされていきます。

魚たちは海中でエサを捕食して生きているわけですが、中には普通のエサと間違えてプラスチックゴミなどを食べてしまうものもいます。

そして、そのプラスチックゴミを食べた魚たちをさらに捕食する大型の海洋生物が、より多くのプラスチックゴミを摂取することになるわけです。

当たり前ですが自然物ではないものを摂取すれば海洋生物たちも体調を崩します。

最終的には死滅する生物も増えるわけですが、こうなると漁をおこなって生活をしている方々の経済状況に悪影響を与えます。

また、海洋ゴミが増え続けるとサンゴ礁なども死滅していきますので、美しい海をウリとしているリゾートスポットなどでは観光業が成り立たなくなっていってしまうわけです。

このように海洋ゴミの増加は海の生態系だけでなく人間の生活にも直結する大きな問題となっています。

そのため、とにかく海洋ゴミを減らすことが世界各国で急務とされているわけですが、次にそんな海洋ゴミを減らすための対策について見ていきましょう。

海洋ゴミを減らす対策

海洋ゴミを減らすためには「3R」と呼ばれる対策を徹底しておこなう必要があります。

なお、「3R」とは「リデュース(Reduce)」「リユース(Reuse)」「リサイクル(Recycle)」のことです。

簡単に言えば「ゴミを出さない」「ゴミを再利用する」「ゴミを再生産現場へ回す」ことを意味するのですが、一般人である我々ができることと言えばやはりゴミを出さないというのがもっとも重要なポイントとなるでしょう。

冒頭でも伝えたように最近は日本でもレジ袋が有料化になったり、プラスチックストローが紙ストローへ変わったりしてきています。

不要なレジ袋を使わないこと、焼却すると環境に悪いプラスチックストローを使わないことは自然環境を守るために必要な小さな一歩です。

効果は実感しづらいかもしれませんが、こうした細かな取り組みが海洋ゴミを減らす大きな役割を果たしていくことになりますので、ぜひ普段の生活から心がけるようにしてみてください。

まとめ

世界規模で深刻化している海洋ゴミの問題についてご紹介してきました。

海洋ゴミの問題はけっして他人事ではありません。

このままいくと一定の海域では魚よりもゴミの重量の方が大きくなるとも言われています。

そうなると私たちの食卓から魚が消えてしまうことにもなりかねませんので、ぜひ日頃から海洋ゴミへと繋がるゴミを出さないよう意識をしていきましょう。

参考:公益財団法人かながわ海岸美化財団

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