ここ数年の間で、日本ではテレワークやリモートワークという新しい働き方が一般的なものとして知られるようになってきました。
また、そういった流れの中で地方に移住する方も増えてきています。
もちろん「田舎に引っ越してスローライフを楽しみたい」といった方も少なくないのですが、そんな方々に利用してもらいたい制度が「移住支援金」です。
移住支援金は地方移住を考える方にとって非常に便利な制度であり、地方への引っ越しを後押ししてくれる仕組みとなっています。
この記事では、「移住支援金を貰うまでの流れ」や「どういった方が移住支援金の対象者となるのか?」という情報を詳しくまとめました。
地方移住を検討している方は、ぜひこちらの内容を参考にしていってください。
【地方移住で100万円】移住支援金とは?
「内閣府地方創生推進事務局」が管理する地方創生プロジェクトの一環として、特定の地方に移住する方へ支払われるお金が移住支援金となります。
移住支援金の額は単身者で60万円、2人以上の世帯の場合は100万円です。
移住支援金は都道府県と市町村が合同となり交付するお金で、一定の条件を満たす方のみ受け取れる仕組みとなっています。
なお、移住支援金を申請する場合には期間が設けられていますので、事前に確認しておきましょう。
〇移住支援金の申請期間と条件
・移住先に転入届を出してから3ヵ月以上が経過、また1年以内であること
・移住支援金の申請を出した後、5年以上はその市町村に住む意思があること
移住支援金は地方創生を目的として交付されるお金なので、「引っ越し後に支援金を貰って、すぐに別の市町村に転居する」といった不正が出来ないようになっています。
ちなみに5年以内(または自治体が定める期間内)に転居した場合には、その事情にもよりますが全額や半額の返還が請求されます。
とは言え、長期間しっかりとその地方に定住する意思がある方にとっては経済的にありがたいお金です。
仕事の都合や自分の判断で地方へ移住する場合には、転居先の自治体が「移住支援金の対象地域」なのかどうか調べておきましょう。
〇移住支援金の対象地域(令和3年度版)
https://www.chisou.go.jp/sousei/pdf/r3-2_shichouson.pdf
それでは続いて「どういった方が移住支援金の対象者となるのか?」について解説していきます。
移住支援金の対象者
以下の条件を満たす方が移住支援金の対象者となります。
〇対象者の条件
・移住直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区に在住していた方
・または上記と同じ期間、東京圏から東京23区に通勤をしていた方
移住支援金の対象となるのは「東京23区に住んでいた方」もしくは「東京23区内に通勤していた方」のみとなっています。
前述の通り、移住支援金は地方創生を目的としていますので都市部から地方へ引っ越す方を対象としているといったイメージです。
この条件に当てはまる方のうち、次の要件のいずれかを満たす方が移住支援金の対象者となります。
〇対象者となる要件
A地域で中小企業等へ就業
・移住支援金の対象として都道府県のマッチングサイトに掲載されている求人に就業すること
・または、プロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業すること
Bテレワークによる業務継続
・自分の判断で地方移住をおこない、移住先で移住前と同じ業務を引き続きおこなうこと
C市町村ごとの独自要件
・各市町村が定める独自要件、関係人口として認める要件を満たすこと
D地方創生起業支援事業を活用
・1年以内に起業支援金の交付決定を受けていること
上記A~Dのどれかに当てはまる方なら移住支援金を受け取ることが出来ます。
ただし、Cに関しては自治体によって異なる要件が定められていますので、対象地域に引っ越しをする場合には事前にその内容を問い合わせておきましょう。
続いて、Dの「起業支援金」に関する情報を詳しくご紹介していきます。
起業支援金について
起業支援金とは、支援金の対象地域において新しく事業を立ち上げる際に助成金として交付されるお金のことです。
また、事業継承や第二創業する場合にもこちらの起業支援金は交付されます。
なお、起業支援金の対象となるのは主にまちづくりを推進する事業、その地域の特産品を使った飲食事業、買い物弱者を支援するための事業などです。
起業支援金の交付決定のためには以下の条件を満たす必要がありますので、参考にしてみてください。
〇起業支援金の条件
・東京圏以外の道府県または東京圏内の「条件不利地域」にて社会的事業の起業をおこなうこと
・公募開始日以降、対象事業の期間完了日までに「個人での開業届」または「法人の設立」をおこなうこと
・起業する自治体がある「都道府県内に居住している」こと、または居住する予定であること
※事業継承・第二創業の場合は「東京圏以外の道府県又は東京圏の 条件不利地域において、Society5.0関連業種等の付加価値の高い分野で、社会的事業を 事業承継又は第二創業により実施すること」と定められている
こうした条件を満たす事業者に対して起業支援金は支払われます。
ちなみに支援金の額は最大200万円までを上限とし、新規事業立ち上げに必要となる経費の1/2が交付される形となっています。
地方に移住して新しく事業をおこなう方は、ぜひ参考にしてみてください。
地方移住のメリット・デメリット
ここからは地方移住のメリットやデメリットを簡単に解説していきます。
メリット
地方移住のメリットとしては以下のような点がよく挙げられています。
・家賃(居住費用)が安い
・食材などの物価が安い
・同じだけのコストで広々とした家に住める
・満員電車や人間付き合いなどのストレスから解放される
・自然豊かな環境で生活が出来る
・のびのびとした子育てに最適
・新しい仕事や人間関係の構築
地方移住のメリットはなんと言っても「生活費全般が安くなる」という部分です。
仮に都心部と同じだけの家賃を払ったとすれば、今までとは比べものにならないほど広々とした家に住むことが出来ます。
また、会社員の場合なら満員電車や終業後の人付き合いから解放されるというのも大きなメリットです。
そのほか、自然の多い環境で趣味に没頭できる時間が増えるところも地方移住の魅力と言えます。
なお、これから子育てを始める夫婦には「子育て支援」が充実している地域がおすすめです。
都心部のように待機児童の問題がなければ、安心して夫婦共働きの生活を送れます。
また、新しく仕事を始めたり、新しい人間関係を構築できたりするところは地方移住ならではのメリットと言えるでしょう。
デメリット
地方移住のデメリットには以下のような点が挙げられます。
・車が必須
・都市部と比べて働く場所、娯楽施設、医療施設などが少ない
・地域のコミュニティーに溶け込む際に最低限のコミュニケーション能力が必要
地方へ移住すると基本的に車が必須となってきます。
そのため、引っ越しをする場合にはあらかじめ車両代・駐車場代・維持費などのコストを計算に入れておくようにしましょう。
また、当たり前のことですが地方は都市部と比べて働く場所が少ないので、事前に「働き方」を考えておかなければなりません。
先に勤務先を決めるか、もしくは自分で生活費を稼ぐ方法を決めておかないと地方移住が失敗に終わることもあり得ます。
そのほか田舎暮らしでも最低限のコミュニケーション能力は必要です。
地域に溶け込めないと居心地が悪くなってしまうかもしれませんので、このあたりもしっかりと考えてから地方移住を決断しましょう。
関連記事:地方移住のメリット・デメリット!失敗しないためのポイントも
まとめ
地方移住を検討する方へ向けて「移住支援金」に関する情報をご紹介してきました。
対象となる地域に転入をすれば最大100万円の移住支援金が受け取れるというのは非常に大きなことです。
そのため、これから地方への引っ越しを考えている方は、事前に自分が対象者となるのか確認しておいてください。
ただし、移住支援金を受け取る場合は最低でも5年以上継続して住む必要がありますので、その点も理解しておきましょう。