海のギャング『ウツボ』とは?生態や習性は?

この記事では「海のギャング」とも呼ばれるウツボの生態や習性について詳しくまとめています。

ウツボの主な特徴は、ウナギのような細長い身体に大きな口と鋭い歯を持っているところです。

ウツボはその鋭い歯で、漁をする際の網や釣り糸を断ち切ってしまうことから漁師や釣り人にとって厄介な存在として扱われています。

しかし、実は見た目のイメージや人から聞く話とは違った生態や習性もウツボは持ち合わせています。

そんなウツボに関する注意点や「食べられるのか?」といった疑問まで解説していますので、どうぞ最後までご覧になっていってください。

海のギャング「ウツボ」とは?

ウツボは漢字で書くと「鱓」と表します。(魚編に單)

普通に変換すると出てこないこともありますが、「ごまめ」と入力すると変換されますので覚えておくと何かの際に使えて便利です。

そんなウツボですが、生物学的に分類すると「ウナギ目ウツボ亜目ウツボ科」となります。

つまりウナギの遠い親戚のようなものといったイメージですね。

実際にウツボの身体はウナギのように細長いところが特徴的な部分です。

また、ウナギというのは犬と同じくらいの嗅覚を持つと言われているのですが、ウツボも同様に優れた嗅覚を持っています。

なお、ウツボがウナギと大きく異なる点は、やはり見た目にも分かりやすい大きな口と鋭い歯です。

パッと見ただけでもなかなか迫力のあるウツボの口と歯ですが、漁師が使用する頑丈な網や釣り糸などを噛みちぎるだけのパワーを持っています。

ちなみに、大きな網で魚をいっぺんに獲るような漁をしているときに、このウツボが多く混ざっていると網を噛みちぎられほかの魚まで逃げてしまうため漁師からは非常に嫌われているわけです。

こうしたことからも「海のギャング」と呼ばれているウツボですが、基本的に温暖な海域であればどこでも生きていけます。

そのため、世界中の至るところで見かけられるのも特徴のひとつと言えるでしょう。

日本においては沖縄などを含む南西諸島の方でよく見かけられますが、主な生息海域は太平洋側では千葉県以南、日本海側では島根県以南の海です。

また、ウツボは細かく分類すると全部で200種類ほど存在すると言われています。

ウツボの多くは外敵から身を守るために保護色を用いた見た目となっていますが、中には非常にカラフルなウツボもいます。

こうしたカラフルなウツボはダイバーからの撮影対象になったりもするので、写真などで見たことがあるという方もいるかもしれません。

そんなウツボの詳しい生態を次にご紹介していきたいと思います。

ウツボの生態は?

獰猛な見た目や強靭な歯を持っているわりには、臆病な性格をしているところがウツボの意外な生態であり特徴的な部分です。

普段のウツボは岩陰やサンゴ礁などに隠れて生活をしていて、あまり巣穴から出てくることがありません。

またテトラポットの隙間などにもよく生息しているため、テトラポットが多く沈んでいる場所で穴釣りをしているとたびたびウツボが釣りたりもします。

個体によっては夜間に海底を泳いでエサを捕食することもありますが、基本的には巣穴近くにやってきた魚などを食べて生活をしています。

そんなウツボはテトラポットや岩陰に生息する海洋生物の中で、食物連鎖のトップに君臨する存在です。

特に天敵と呼ばれる相手もいませんので、基本的には自分の身によほどの危険がない限り捕食以外の目的でほかの生物へ攻撃をすることはありません。

つまり、人間がウツボに対して「獰猛」といったイメージを持っているのは、ウツボのことを釣り上げようとして危害を加えているからです。

ウツボは身体が湿っている限り、粘膜を介して30分ほど皮膚呼吸をおこなうことが出来ます。

釣り上げられてすぐのウツボは海の中にいるときと変わらない力を発揮することが出来るため、釣り人からは「獰猛」で「狂暴」といったイメージが持たれているわけです。

そんなウツボですが、食性は肉食性で小魚や甲殻類の生物を主に食べています。

ちなみにダイバーがよく潜るような海域に住んでいるウツボの中には、人間が差し出すエサ(魚肉ソーセージなど)の味を覚え、ダイバーが来るたびに巣穴から出てくるものもいます。

とはいえ、これに関しては頭で覚えているというより、優れた嗅覚によってエサを認識・判断していると言えるでしょう。

また、ウツボの好物はタコとされていますが、そんなタコが好んで捕食するのがイセエビです。

ウツボはイセエビの近くで身を潜め、イセエビを捕食しにきたタコを逆に食べます。

こうしたことからウツボとイセエビは相利共生(互いに利益がある生き物同士が支え合って生活すること)の関係にあるとされ、多くのウツボはイセエビのことを食べません。

そのほか、オトヒメエビやホンソメワケベラといった小さな生物たちもウツボにとっては相利共生の相手です。

こうした小さな生物たちはウツボの皮膚や口の中にいる寄生虫をエサとするため、ウツボもそれらの生物を捕食しないようにしています。

このように、一般的にはあまり知られていない生態を持っているウツボですが、人間からするとやはり「獰猛で狂暴な生き物」といったイメージが強いですよね。

そこで次に「ウツボの危険性」や「噛まれたらどうなるのか?」といった疑問に対しても解説をしていきますので、どうぞ参考にしていってください。

ウツボに噛まれと危険?

ウツボの歯はノドの奥の方に向かって生えているため、噛まれると「かえし」のような作用が起こり重傷を負うことも珍しくありません。

そのため、ウツボの危険性を理解している釣り人の多くは、ウツボが釣れたらすぐにリリースをします。

ちなみに素人がウツボを釣ってしまった場合は、糸ごと切ってリリースするのもひとつの手です。

下手に針から外そうとして噛まれ、重傷を負うリスクを考えれば釣り糸を切った方が得策と言えるでしょう。

なお、先ほども少し触れた通りウツボには200ほどの種類が存在しますが、そのほとんどは毒を持っていません。

しかし、中にはドクウツボといった名前の通り毒を持った種類のウツボもいます。

噛まれることで毒を体内に注入されることはまずありませんが、食べることで食中毒になることはありますので十分に気を付けましょう。

ウツボは食べられる?

結論から先に言いますと、ウツボは食べられます。

ただし、前述したように毒を持つウツボもいますので、素人が釣ってそのまま食べることはあまりおすすめしません。

ウツボは地域によって食用として釣り上げられることもある魚です。

旬は11月から3月頃とされ、冬のウツボは一般的な白身魚のように淡泊な味わいが楽しめます。

もちろん生で食べられる魚ですが、ほかにも煮つけや揚げ物といった料理に使われることも多いです。

味わいや調理のされ方を考えると、イメージとしてはフグに近いかもしれません。

また、家庭で食べる際には鍋の具材に使用するパターンや、地方によっては干物にするケースなどもあります。

ちなみにお隣の中国ではウツボをスープの出汁や具材に使うこともあるので、食材としての使い道は多岐に渡ると言えるでしょう。

ウツボについて知っておこう

海のギャングと呼ばれるウツボの生態や習性について詳しく解説をおこなってきました。

また、釣り上げた際の危険性や食材としての使われ方も理解してもらえたかと思います。

ウツボはこちら側が危害を加えない限り、基本的には攻撃をしてきません。

そのため、ダイビングなどの際にウツボを見かけた場合は下手に刺激をしないようにしましょう。

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