漂着ゴミ

この記事では、日本人にとって他人事ではない環境汚染問題のひとつ「漂着ゴミ」について詳しい解説をおこなっていきます。

漂着ゴミとは海洋に漂うゴミや海岸へ辿り着いたゴミの総称です。

近年では「マリンデブリ」とも呼ばれていますが、漂着ゴミの実態を調査すると海の汚染問題が浮き彫りになっていきます。

ここでは、そんな漂着ゴミが「どこからくるのか?」「どういったものがゴミとして流れ着いているのか?」をまとめました。

漂着ゴミというと海に捨てられたゴミが巡り巡って海岸に到達すると思われがちですが、実はそれだけではありません。

内陸で捨てられたものも漂着ゴミになる可能性はあるので、ぜひこちらの内容を最後までご覧になっていってください。

漂着ゴミとは?どこからくる?

漂着ゴミとは海流の影響によって海岸に辿り着いたゴミ、または海自体に漂うゴミのことを指す言葉です。

なお、漂着ゴミという言葉だけを見ると「外国からやってきたゴミ」といったイメージを持つ方もいますが、漂着ゴミは国内で排出されたものが巡り巡って海岸に辿り着くケースも少なくありません。

むしろ現在の調査では、日本の海岸に打ち上げられている漂着ゴミの多くは国内で捨てられたゴミであることが分かっています。

たとえば平成20年代の報告によると「和歌山県」の海岸で観測された漂着ゴミのうち、その約半分は国内から出たゴミということになっています。

残りの約30%が外国からのゴミ、約20%のゴミは出自不明となっていますが、こうした実態を知ると「漂着ゴミ=外国からのゴミ」というイメージが変わるはずです。

また、同年代の調査では「三重県」の海岸に打ち上げられた漂着ゴミの約80%は国内から出たゴミと判断されています。

なお、漂着ゴミの大半は家庭ゴミに分類されるもので、中でもプラスチック製品の割合が非常に多いです。

しかし、日本人からすると「いまどき海でポイ捨てをする人はあまりいないのでは?」と感じる方も少なくないと思います。

そこで知っておきたいのが「漂着ゴミは海で捨てられたゴミだけではない」という点です。

最近はキャンプがブームとなっていますが、山で捨てられたゴミが川を伝わって海に流れ込み、結果的に漂着ゴミになるケースもあります。

さらに街中でポイ捨てされたゴミが時間を掛けて粉砕され、それが下水を通って海へと流れ込む可能性もあるわけです。

ちなみに愛知県は半島に囲まれた地形ということもあり、外海から湾の中にゴミが入りづらくなっています。

そのため、愛知県の沿岸部に流れ着くゴミのほとんどは国内から出たゴミです。

こうしたことを知ると自分が住んでいる地域の海岸を見る目も少し変わってくるかもしれません。

漂着ゴミの種類と割合

漂着ゴミ

続いては漂着ゴミの種類と割合について見ていきましょう。

漂着ゴミの種類は「家庭から出たゴミ」「漁業関係のゴミ」「農業関係のゴミ」に分けられます。

また「自然物」「木材(倒木など)」といったカテゴリーもありますが、上記のゴミをさらに細分化すると以下のようになります。

漂着ゴミの主な種類(割合が多い順)

・ペットボトルのキャップ
・プラスチック製のロープやヒモ
・木材
・飲料ペットボトル
・プラスチック製の釣具
・プラスチック製の食器(カップなど)
・プラスチック製のカトラリー(スプーンやフォークなど)
・プラスチック製のブイ

ご覧のように漂着ゴミの大半は「プラスチック製のゴミ」です。

プラスチックというカテゴリーにまとめると50%以上の漂着ゴミがプラスチック製となっていますので、その量の多さが理解できると思います。

漂着ゴミの割合(容積ベース)

・プラスチック製のゴミ:およそ50%
・自然物:およそ40%
・木材:およそ7%
・その他:3%未満

なお、プラスチック製のゴミが多いのは「自然分解されるスピードが極めて遅い」からです。

飲料ペットボトルが自然分解されるまでの時間は「400年」で、釣具に至っては「600年」掛かるといったデータもあります。

つまり、自分がプラスチックゴミを捨てたとすると生きている間には自然分解されない計算となるわけです。

ちなみに漂着ゴミの割合は「海全体のゴミ」の5%ほどしかないと言われています。

残りの95%は海中を漂ったままとなっていて、海洋プラスチックゴミの総重量は1億5000万トン以上あり、その数値は年々上昇しています。

このままだと近い将来に魚の数よりゴミの数の方が多くなると予測されていますが、漂着ゴミが与える影響を次に見ていきましょう。

漂着ゴミによる影響

プラスチックを中心とする漂着ゴミは様々な部分に影響を与えています。

特に海洋生物への悪影響が懸念されていますが、その具体的な内容をまとめたのでご覧ください。

海洋生物への影響

海の中に残り続けるプラスチック製の漂着ゴミが原因でケガをしたり死亡したりする海洋生物の数は約700種類にものぼります。

特に粉砕されて細かくなったマイクロプラスチックゴミをエサと間違えて飲み込んでしまう魚や大型の哺乳類(クジラやイルカなど)が多いのですが、ほかにも細かいゴミがエラに詰まってしまい窒息死するケースも少なくありません。

また、漂着ゴミの中には化学物質で汚染されたものもあり、場合によっては「生物濃縮」を引き起こす危険性が高まります。

ちなみにウミガメや海鳥といった生物もゴミの悪影響を受けているのですが、ウミガメに至ってはプラスチックゴミの摂取率が50%を超えているといったデータもあるそうです。

人間への影響

プラスチックを含む漂着ゴミを摂取した魚などを人間が食べれば、当然何らかの悪影響を受ける可能性が出てきます。

人体にどういった影響が出るかは長い調査期間が必要となりますので正確な答えは出ていませんが、決して良い方向に進むことはありません。

また、漂着ゴミが減らないと「ビンなどの漂着ゴミによってケガをする」「景観を損ねることで観光業に悪影響を与える」といった被害も増えていきます。

漂着ゴミを減らすには?

漂着ゴミを減らすために個人で出来ることは「家庭ゴミを正しい方法で処理する」「キャンプ場や海水浴場でポイ捨てをしない」といった基本的なルールを守ることになります。

特にプラスチックゴミを出来るだけ排出しないというのは漂着ゴミ対策に欠かせない部分です。

日本の企業でもプラスチックストローやプラスチックカトラリーの削減をおこなっているところが増え始めましたが、そういった活動に理解を示すことも大事なポイントと言えます。

なお、各自治体では河川から海にゴミが流れ込まないよう「山間部における不法投棄の取り締まり」「倒木の処理」などの努力をおこなっています。

そういった活動にボランティアとして参加することも漂着ゴミを減らす取り組みのひとつです。

まとめ

海岸に打ち上げられる「漂着ゴミ」の問題に対して詳しい解説をおこなってきました。

ご覧いただいたように漂着ゴミは海外から流れ込んでくるゴミだけを指す言葉ではありません。

割合で言えば国内から出たゴミが漂着ゴミとして海岸や海を汚すケースの方が多いことが分かってもらえたかと思います。

このままだと遠くない将来にゴミの数が魚の数を上回ってしまう可能性もあるため、ぜひ日頃の生活から正しくゴミを処理することを心掛けてみてください。

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