深海魚の種類・特徴って?食べられるの?

この記事では「深海魚」の種類や特徴について解説していきます。

一般的に不思議な見た目をしている種類が多いところが深海魚の特徴です。

しかし、その不思議な見た目にはそれぞれ生きていくための理由があります。

また、「深海魚は食べられるのか?」といった疑問もありますが、日本の食卓でよく見られるキンメダイやスケトウダラは深海魚の一種です。

つまり深海魚の中には食べられる種類も存在するということになります。

特に日本では魚食文化が根付いていて、地方によっては深海魚に属する魚を食べる習慣が残っているところも少なくありません。

そんな深海魚の生態や独自の進化に関する情報を詳しくご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

深海魚とは?

一般的には水深200メートル以下の海域に生息する魚類を「深海魚」とまとめていますが、実は深海魚に明確な定義はありません。

というのも、そもそも深海という言葉自体に明確な定義がないので、深海魚についても正確な区分を決められないわけです。

ただし、いまのところ水深200メートル以下を深海と呼ぶことが多く、それに伴い深海魚に関しても「水深200メートル以下」を基準として通常の魚類と区別しています。

ちなみに海の中にはおよそ15,000種類以上の魚類が存在していますが、このうち2,000種類ほどが深海魚の仲間として扱われています。

深海魚が生活する場所

深海には水深200~1000メートルの中深層、水深1000~3000メートルの漸深層、水深3000メートル以深の深海層や超深海層といった区分があります。

当然、水深が深くなるほど生命活動がしづらい環境となりますが、水深6000メートルよりも深い「超深海層」に暮らす生命体もゼロではありません。

ソコダラ科やクサウオ科に属する一部の深海魚は海のもっとも深いところで生活を送っています。

深海魚の骨格や構造

水深が深くなればなるほど水圧が高くなるので、深海に住む魚たちはその水圧に耐えられるよう独自の進化を遂げてきました。

中でも多く見られるのは頭部の骨格が小さい魚や鱗のない魚です。

これは負荷の掛かる深海でも泳げるよう、軽量化のために無駄な構造をそぎ落としていった結果と考えられています。

また、そんな深海魚とは対照的に少ないエサを効率的に捕食するため、頭部や口が大きく進化した深海魚というのも存在します。

発光する深海魚が多い

深海魚の中には発光する種類も多く見られますが、この理由としては「エサとなる生物を誘き寄せるため」「自分の身体を影に隠すため」などが挙げられます。

また、太陽光が届かない深海層ではエサを探すためにも発光能力が役立ちます。

深海魚の種類

深海魚

深海魚には様々な種類が存在しますが、大別すると「遊泳性深海魚」と「底生性深海魚」の2つに分けられます。

なお、不思議なことに遊泳性深海魚に含まれる魚と底生性深海魚に含まれる魚の種類はほぼ同数になるそうです。

そんな深海魚の種類について簡単に説明していきましょう。

遊泳性深海魚

遊泳性深海魚とは名前の通り、海底から離れて深海を泳ぎ回る魚類のことを指します。

遊泳性の深海魚は海の中を泳ぎながらエサを探し捕食活動をおこないます。

このあたりは一般的な魚と似たような特徴を持っていると言えそうです。

また、中深層に生息する遊泳性深海魚の中には、夜間になるとエサを求めて浅瀬まで上がっていく種類も少なくありません。

ちなみにこれを「日周鉛直移動」と呼びますが、有名どころでは深海生物の一種であるサクラエビも同じような行動を取ります。

底生性深海魚

遊泳性深海魚とは違い、あまり海底から離れず深海の中を無暗に動き回らないのが底生性深海魚の特徴です。

底生性深海魚は水深の浅い海から降りてくるプランクトンや生物の死骸、また底生性深海魚を捕食しようとする別種の深海生物をエサとしていると考えられています。

ただし、最近の研究では底生性深海魚に含まれる魚の中にも「夜間になるとエサを求めて浅瀬へ浮上する種類がいる」といったことが分かってきたそうです。

なお、遊泳性深海魚と底生性深海魚は同じ深海魚という括りになっていますが、その生態はまったく異なります。

深海魚の特徴・生態

ここからは深海魚の特徴や生態に関する情報をご紹介していきます。

「深海魚はなぜ不思議な見た目をしているのか?」「深海魚は何を食べて生活しているのか?」といった疑問を持っている方は、こちらの内容を参考にしてみてください。

見た目の特徴

深海魚には以下のような見た目の特徴を持つ魚が多く存在します。

・平べったい身体
・水深が深くなるごとに色が黒くなっていく
・大きな目
・上部に目がある
・細長く鋭い歯
・ノドの奥や腹の中が黒い

平べったい身体を持つ深海魚が多いのは、水深に負けないための進化と考えられています。

また、比較的浅い深海に生息する深海魚の身体は赤く、水深が深くなるにつれて銀色の身体を持つ深海魚や黒に近い深海魚が増えるのも特徴のひとつです。

これは外敵から見つかりにくくするためで、より深海域に生息する魚は暗闇に紛れられるよう黒い身体になるわけです。

ただし、深海魚以外の生物の中には逆に無駄な色素を排除し、透明な身体を持つものも存在します。

そのほか、深海魚には大きな目を持つ種類が多く見られますが、これは少ないエサを効率的に発見するためです。

なお、表層から降りてくるエサをいち早く見つけるために、身体(頭)の上部に目を付けている深海魚もいます。

あとは捕食したエサを逃さないよう細く鋭い歯を持つ魚が多いのも深海魚ならではの特徴と言えるでしょう。

食性

前述の通り、主に中深層の深海魚は夜になると浅瀬に浮上し、そこにいる生物や植物プランクトンを食べて生活しています。

しかし、水深1000メートルくらいになると太陽光がほとんど届かなくなり、光合成をおこなう植物プランクトンが存在しなくなるため、漸深層以深の深海魚たちは浅瀬で食べ残された生物の死骸などをエサとしているようです。

また、遊泳性深海魚の中には底生性深海魚を捕食するものもいると考えられていますが、このあたりの食性については正確に分かっていません。

とはいえ、これらのことから多くの深海魚は「雑食性」「腐肉食性」であることが推測されます。

繁殖

深海魚の中には雌雄同体の生き物が多く、2匹の魚さえ存在すれば繁殖できる仕組みとなっています。

ちなみに両性を持つのはより深い海に生息する深海魚に多く見られる特徴で、表層に近いところで生活する深海魚は雌雄が分かれていることが多いそうです。

また、遊泳性深海魚の場合は卵を大量に産み、底生性深海魚の場合は産み出される卵が少ない分「大きな身体に成長する種類」が多いといった特徴もあります。

深海魚は食べられる?

冒頭でも伝えたようにキンメダイやスケトウダラといった魚たちは深海魚の一種です。

また、地方ではよく食べられているアンコウも深海魚の仲間となります。

そのほか市場に出回っている深海魚だとハタハタやタチウオといった名前が挙げられますが、どれも食用として昔から流通している魚たちです。

比較的表層に近いところで生活している深海魚は食用として扱われることが多く、おそらく誰もが一度は深海魚を食べたことがあると思います。

まとめ

個性的な見た目をしている種類が多い「深海魚」に関する情報をご紹介してきました。

ご覧いただいたように深海魚には大きく分けて遊泳性・底生性の2種類が存在していて、それぞれ独自の進化を遂げています。

なお、水族館の中には珍しい深海魚を飼育しているところもありますので、興味がある方はぜひ直接観察してみてください。

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