ダイオウイカの生態・特徴!大きい理由についても

この記事では世界でもっとも大きい無脊椎動物と言われる「ダイオウイカ」の生態や特徴をご紹介していきます。

ダイオウイカは体長と触腕を合わせて10メートル前後にまで成長する生物です。

過去には全長18メートル以上のダイオウイカが存在したという説もありますが、これは海の生き物全体でも最大クラスのサイズと言えます。

しかし、そんなダイオウイカが生きた状態で発見されるケースは少なく、いまだに詳しい生態は分かっていません。

ここでは、現在のところ分かっているダイオウイカの種類・生息地・寿命などをまとめてみました。

また、なぜダイオウイカはそれほど巨大な成長を遂げるのか?といった疑問も解消していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

ダイオウイカとは?

ダイオウイカは「開眼目ダイオウイカ科ダイオウイカ属」に分類される頭足類の生物(無脊椎動物)です。

名前の通り「イカ」の仲間であることには違いがなく、その見た目も一般的なイカが巨大化した姿となっています。

ダイオウイカのサイズについて

これまでに発見されたダイオウイカの大きさから推測すると、平均的なサイズは体長と長い2本の触腕を合わせて全長10メートル前後の個体が多いと考えられています。
(触腕を含めない「胴体部」だけの体長はだいたい7メートルくらい)

また、過去に確認されたダイオウイカの中でもっとも大きな個体は「全長が14.3メートルに達していた」と記録されていますが、そのほかにも全長18メートル以上の個体が存在したという話もあります。

ちなみにダイオウイカは寒い地域に行くほど巨大化しやすいようです。

なお、日本近海で発見されたダイオウイカの中でもっとも大きかったのは全長6.5メートルほどの個体です。

同種の中ではやや小さいサイズと考えられますが、それでも一般的なイカの20倍以上の大きさとなります。

ダイオウイカの種類について

過去の研究では「ダイオウイカは21種に分類される」と考えられてきました。

しかし、多くのダイオウイカの遺伝子サンプルを利用しDNA解析をおこなった結果、いまでは「ダイオウイカはすべて単一の種類である」という説が有力のようです。

ちなみに「21種ではなく8種に分けられる説」や「1種の中に3つの亜種が存在する説」などもありますが、遺伝子レベルで考えるとダイオウイカはどれも同じということになりそうです。

ダイオウイカはなぜ大きい?

「なぜダイオウイカは他のイカよりも大きいのか?」という疑問もあると思いますが、それはダイオウイカが生息する場所にヒントがあります。

ダイオウイカが生息するのは水深700~800メートルほどの深海です。

深海に生息する生物は巨大化しやすいという特徴があり、ダイオウイカ以外にも進化の過程で大きな身体を持つようになった生き物はたくさんいます。

なお、このように深海で巨大化する様を「深海巨大症」と呼びますが、代表的なものを以下にまとめてみました。

【深海巨大症と見られる生物】
・ダイオウホウズキイカ
・ダイオウグソクムシ
・タカアシガニ
・カンテンダコ
・リュウグウノツカイ

ダイオウイカと並んで大きい無脊椎動物が「ダイオウホウズキイカ」となりますが、胴体の長さだけならダイオウイカよりも大きな個体が存在します。

そのほかで言えば「ダイオウグソクムシ」や「タカアシガニ」といった生物が深海巨大生物として有名です。

温度が低いところでは生物が巨大化しやすい

低温環境で生き抜くために生物は身体を巨大化させて生命維持をおこないます。

ダイオウイカが生息するような深海700~800メートル付近は水温が2~4℃しかありません。

そのため、必然的に身体を大きく成長させて深海を生き抜いてきたと考えられています。

ちなみに「温度が低いところでは生物が巨大化しやすい」というのは海も陸も同じです。

たとえば「クマ」を一例にすると分かりやすいのですが、クマの仲間でもっとも大きいのは北極圏に生息する「ホッキョクグマ」です。

日本でも見かけるヒグマやツキノワグマは大きくても体長2メートルくらいで、体重は300キロ程度となります。

しかし、極寒の地に生息するホッキョクグマはその環境で生き抜くために体長2.5メートル、体重500キロ~600キロくらいまで成長するわけです。

なお、こうした法則は虫などにも適用され、北極とは反対の南極大陸には普通では考えられないような巨大ナメクジなどが存在します。

天敵となる生物が少ない

ダイオウイカが生息する深海には他種を攻撃する天敵が少ないため、生物が巨大化するまでの時間を得やすいといった考え方もできます。

ちなみにダイオウイカの天敵は「マッコウクジラ」です。

全長10メートルオーバーのダイオウイカを捕食できるのは全長18メートル前後のマッコウクジラくらいなのですが、それでもダイオウイカが簡単に食べられてしまうわけではありません。

エサが少ない環境で生きていくため

ダイオウイカが巨大化した理由には「エサが少ない環境でも生きていくため」といった点も挙げられます。

そもそも身体が大きな生物は代謝効率が良く、少ないエネルギーでも長時間活動できるようになっています。

また、大きな身体を持てば少ないエサの摂り合いに勝つことができるというのも利点のひとつです。

深海は浅瀬よりもエサとなる生き物が少なく、その環境に適応するためダイオウイカは大きくなったと考えられます。

ダイオウイカの生態・特徴

ダイオウイカ

ここからはダイオウイカの生態や特徴をより詳しくご紹介していきます。

生息地

ダイオウイカの生息地は北極圏や南極圏といった極圏、また赤道付近の海域以外とされています。

また、前述の通りダイオウイカが生息するのは水深700~800メートルほどの深海です。

このことを考えると、世界中どこの海にもダイオウイカは生息している可能性があると言えます。

なお、日本では小笠原諸島でダイオウイカの発見例があり、実際に泳いでいる姿の撮影に成功したこともあります。

食性

ダイオウイカの食性について正確なことは分かっていませんが、これまで発見された同種の胃の内容物からは小魚や深海に生息する小型のイカ類などが見つかっています。

また、ダイオウイカの中には小型のサメを捕まえてエサとする個体も存在するようです。

ちなみに長い触腕を使って獲物を捕らえ、そのまま口まで運ぶというのは一般的なイカと同じ捕食方法と言えます。

寿命

ダイオウイカの平均寿命は2~3年と考えられています。

個体によっては5年ほど生きるケースもあるようですが、どちらにしても長命な生物ではありません。

なお、ダイオウイカと同じ深海生物の中には基礎代謝を下げ、ゆっくりと成長することで寿命を延ばす「ニシオンデンザメ(平均寿命300年弱)」のような生き物もいます。

ダイオウイカは食べられる?

ダイオウイカは毒性を持ち合わせていないので、一応食べることができます。

ただし、実際に食べた人からは「普通のイカより臭い」「えぐみがすごい」「塩っ辛い」といった感想が多く聞かれますので、一般的な食材として扱われることはなさそうです。

ちなみにダイオウイカが「臭い」「塩っ辛い」とされるのは、体内に大量のアンモニアを含んでいることが理由と考えられます。

まとめ

全長10メートル以上にまで成長する深海の巨大生物「ダイオウイカ」について詳しくご紹介してきました。

ご覧いただいたようにダイオウイカは世界最大クラスの無脊椎動物です。

水温が極端に冷たい、または暖かい海域以外ならどこにでも生息している可能性があり、日本近海でもたびたび発見されています。

水族館で飼育はされていないので本物を見る機会は滅多にありませんが、興味を持った方はぜひ映像などでその姿を確認してみてください。

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