普段私たちが何気なく食べているマグロですが、その生態や種類というのを深く知っている方は少ないかもしれません。
そこで、この記事では日本の食卓で見かける機会が多い「マグロ」に関する情報を詳しくご紹介していきます。
「マグロにはどんな種類があるのか?」「マグロの生態は?」「マグロの寿命はどれくらい?」といった疑問を解消するために、豆知識などを交えながら様々な情報をまとめてみました。
いつも食べているマグロがどんなライフサイクルを送っているのか気になるという方は、ぜひこちらの内容を最後までご覧になっていってください。
そもそもマグロとは?
マグロはかなり古くから食用として扱われてきた大型の回遊魚です。
日本語での「マグロ」という呼び方には「目が真っ黒⇒目黒⇒メグロ⇒マグロ」と変化していった説や海から水揚げして常温のまま保存するとすぐに「体(身の部分)が黒くなる⇒まっくろ⇒マグロ」と変化した説などがあります。
ちなみにマグロは英語で「Tuna(ツナ)」と言いますが、海外で「Tuna」というとマグロ以外にもカツオなどを指すときに使われます。
これはマグロが「サバ科マグロ族」に分類される魚で、カツオやソウダガツオも同じグループに含まれるからです。
そんなマグロの特徴には他の魚と比べても大きく成長するところ、高速での遊泳が可能なところ、世界中の海に生息しているところなどが挙げられます。
また、温帯・熱帯な海域に生息するマグロは種類・年齢・季節によって住む場所を変えるという少し特殊な魚です。
たとえば日本近海で生まれたクロマグロは1歳くらいになると太平洋を横断してアメリカまで泳ぎ、そこで数年生活した後に産卵のためまた日本に戻って来たりします。
なお、多くのマグロはおよそ3歳~5歳くらいを成魚の目安としていますが、これよりも若い未成魚は地方によって「メジ」「ヨコワ」などと呼ばれています。
ということで、次は意外と知られていないマグロの種類について見ていきましょう。
マグロの種類
マグロには様々な種類が存在していて、それぞれ身体の大きさや生息域が異なります。
ここでは一般的に流通している5種類のマグロを取り上げて、その主な特徴をまとめてみました。
クロマグロ
別名:ホンマグロ、シビ
平均的な大きさ:体長3m以上/体重300kg~400kg
日本近海から太平洋にかけて広く生息しているマグロが「クロマグロ」です。
よくスーパーや寿司屋で見かける高価なマグロは基本的にこの「クロマグロ=ホンマグロ」となります。
特に青森県の大間沖で獲れるクロマグロは「大間のホンマグロ」と呼ばれ、高値で取引されることでも有名です。
そんなクロマグロは「黒いダイヤ」とも言われますが、身は非常に濃い赤色でトロ部分も多いところが特徴のひとつとして挙げられます。
タイセイヨウクロマグロ
別名:ホンマグロ
平均的な大きさ:体長4m以上/体重600kg~700kg
大西洋に生息するクロマグロのことを「タイセイヨウクロマグロ」と呼びます。
太平洋に生息するクロマグロと同じ種類として考えられるケースもありますが、タイセイヨウクロマグロの方が大きな体長で、体重も重いところが特徴的な部分です。
日本近海で獲れるクロマグロと同様に最高級のマグロに位置づけられていて、高値で取引されることが多いマグロとなっています。
そんなタイセイヨウクロマグロですが、以前は年間5万トンもの水揚げ量を誇っていたものの、10年ほど前にはその量が1万トンにまで落ち込みました。
これは乱獲による影響であり、IUCN(国際自然保護連合)ではタイセイヨウクロマグロを絶滅危惧種のリストに入れています。
ミナミマグロ
別名:インドマグロ
平均的な大きさ:体長2m/体重150kg
クロマグロより小型ですが、同じようにトロ部分が多いマグロとして重宝されているのがミナミマグロです。
南半球に生息していることからミナミマグロという名前が付き、日本ではインドマグロという別名でも販売されています。
ちなみに日本はこのミナミマグロの消費量世界1位となっています。
ビンナガマグロ
別名:ビンチョウ、ヒレナガ
平均的な大きさ:体長1m/体重60kg~70kg
いわゆる「ビンチョウマグロ」「ビントロ(マグロ)」と呼ばれるのがこちらのビンナガマグロです。
クロマグロやミナミマグロより身の赤さが薄く、ピンク色でねっとりとした脂を持つところが特徴的な部分に挙げられます。
スーパーなどに流通しているマグロの中では比較的安価であり、缶詰に加工されることも多い種類です。
メバチマグロ
別名:ヒラシビ、ダルマ
平均的な大きさ:体長2m/体重150kg
英語で「Bigeye tuna」と訳されるなど、眼が大きいところが特徴のメバチマグロはクロマグロより安く手に入ることから身近なマグロとして知られています。
ただ、春から夏にかけて日本近海で獲れるメバチマグロの赤身は非常に上質で、クロマグロにも匹敵すると言われるほどです。
スーパーなどでの国内消費量はマグロの中でもっとも多く、まさに日本の食卓を支えているマグロと言えるでしょう。
マグロの生態・特徴
ここからはマグロの主な生態や特徴をご紹介していきます。
肉食魚
マグロは肉食魚で、海の浅いところか中層ほどにいる甲殻類や頭足類を主に捕食しています。
なお、そんなマグロは海の中での食物連鎖において上位に位置する大型回遊魚とされていますが、その分「成体濃縮」の影響を受けやすいといった特徴も持っています。
成体濃縮とは化学物質などを含んだ生物を上位の生物が捕食することで、どんどんその濃度が増していってしまうという現象のことです。
マグロのような上位生物は海中の汚染物質を溜めた下位生物を多く捕食することから、その被害に遭いやすいと言われています。
高速で泳ぐ
マグロは海洋生物の中でも特に速く泳げる魚として有名です。
平均的な速度は時速10km~20kmほどと言われていますが、瞬間的に泳げる最大速度は時速80kmに達します。
これには身体的な特徴も関係していて、マグロは胸ビレの周辺くらいにしか水の抵抗を受ける鱗が付いていません。
また、身体全体が紡錘形で、頭と尾の両端に向かうほどその身が細くなっているところも素早く泳げる要因として考えられています。
一生泳ぎ続ける
マグロはその大きな身体を動かすために大量の酸素を必要としますが、酸素を取り込む際には口を大きく開けて海水を取り込み、その海水がエラを通ることで含まれている酸素を吸収しています。
つまり、泳ぎ続けない限りは酸素を取り込むことが出来ないので、生まれてから一度も休まず泳ぎ続けるところがマグロならではの生態です。
ちなみにマグロは睡眠の代わりに、夜は遊泳速度を落とし代謝を一時的に下げながら疲労を回復させます。
マグロの寿命
マグロの寿命は種類や個体によっても変わってきますが、クロマグロやミナミマグロのような体長の大きなマグロはだいたい20年ほどは生きると言われています。
ちなみに寿命が長いものだと30年近く生きる個体もいるそうですが、これは海洋生物の中ではトップクラスの年数です。
また、クロマグロやミナミマグロより少しサイズが小さくなるメバチマグロやビンナガマグロでも15年~16年ほどは生きます。
なお、私たちが食卓でよく見かけるアジやイワシといった小型の魚の寿命は3年~5年くらいです。
これを考えると、マグロがいかに長生きをする魚なのかという部分がよく分かると思います。
まとめ
日頃から食べる機会が多いマグロの生態や特徴などを詳しくご紹介してきました。
ご覧いただいたようにマグロは海の中でもトップクラスの大きさと寿命の長さ、そして高速の遊泳速度を誇る魚です。
また、普段スーパーや寿司屋で見かけるホンマグロはクロマグロのことを指し、インドマグロはミナミマグロの別名であることも分かっていただけたかと思います。
マグロは日本人にとって馴染み深い魚のひとつですが、本文でも説明したようにその漁獲量は昔と比べて減ってきています。
いつまでも天然のマグロが生息しやすい環境を作るためには日頃からのエコ活動が大事なので、ぜひこれを機に少しだけ自然に配慮した行動を取ってみてはいかがでしょうか。