マナティーの生態!性格・寿命は?ジュゴンとの違いについても

この記事では愛くるしい見た目が特徴的な「マナティー」の生態について詳しく解説していきます。

マナティーは体長4メートル前後、体重1000キロほどの大型哺乳類です。

多くは河川や河口といった淡水域や汽水域に生息していますが、海水域で生活している種類も存在します。

また、その見た目からジュゴンと間違われることが多々あるものの、その生態や特徴には多くの相違点が確認されています。

ここでは、そんなマナティーの種類・生息地・食性・性格・寿命などを分かりやすくまとめてみました。

不思議な生態を持つマナティーに興味があるという方は、ぜひこちらを参考にしていってください。

マナティーとは?

マナティーとは「哺乳綱海牛目(カイギュウ)マナティー科」に分類される生き物です。

同じ海牛目に属するジュゴンとは祖先が共通していると考えられていますが、進化の過程により両種は異なる生態を持つようになりました。

ちなみに世界には3種類のマナティーが存在します。

そんなマナティーの種類を簡単にまとめてみましたのでご覧ください。

マナティーの種類

・アメリカマナティー
・アフリカマナティー
・アマゾンマナティー

ご覧のようにマナティーは3つの種類に分けることができます。

このうちアメリカマナティーとアフリカマナティーは海水域でも生息が可能なことから近縁種として扱われていて、アマゾンマナティーはアンデス山脈が形成されるときに棲み処を分けられたと考えられています。

なお、それぞれのマナティーの基本的な特徴は以下の通りです。

【アメリカマナティー】
体長は最大3.9メートルほど、体重はおよそ1500キロ。
狭義には「アンティルマナティー」と「フロリダマナティー」の2つに分けられるが、どちらも海水域と淡水域の両方で生息が可能。
フロリダマナティーは冬になると暖かい気候を求めて南下する習性がある。

【アフリカマナティー】
最大体長4メートルを超す個体も存在していたと推測されているが、正確な記録は残っていない。
アメリカマナティーとは兄弟のような関係で、アメリカ大陸からアフリカ大陸に渡って来たマナティーが祖先であるという説が強い。

【アマゾンマナティー】
マナティー科の中ではもっとも小さい種類で、その体長は最大2.8メートルほど。
水温30℃前後の淡水域にのみ生息していて、海水域での生息は確認されていない。
マナティーは基本的に単独もしくは家族単位で行動するが、アマゾンマナティーは規模の大きなコミュニティーを形成することもある。

マナティーの身体構造

マナティーの身体構造はほかの海棲哺乳類と若干異なり、独自の進化を遂げていることが分かります。

たとえばマナティーの骨はとても重く、素早く動くことにはあまり向いていません。
(それでも瞬間的には時速30キロくらいで泳げる)

しかし、その重い骨格と容量の大きな肺を上手く使うことによって、より深いところまで潜水が出来る身体になっています。

また、マナティーは寒冷期や飢えに耐えるため多くの脂肪を身体に溜め込んでいますが、これもまた潜水行為には有利な身体的特徴です。
(マナティーは15分くらいの潜水が可能)

マナティーの生態!性格・生息地など

マナティー

それでは次に、マナティーの生態や性格をさらに詳しく掘り下げていきたいと思います。

「マナティーはどこに生息しているのか?」「マナティーはどんなものを食べて生活しているのか?」といった疑問を解消していきますので、ぜひご覧ください。

生息地

マナティーは種類によって生息地が変わります。

アメリカマナティーはフロリダや大西洋沿岸に生息していて、アフリカマナティーはアフリカ大陸西部の海水域や淡水域に生息しています。

アマゾンマナティーは標高200メートル以下のアマゾン川流域に生息していて、唯一淡水域のみで生活をしている種類です。

ちなみにマナティーは絶滅危惧種に指定されている生き物であり、アメリカなどではマナティーを保護する法律も制定されています。

しかし、アマゾンマナティーが生息するアマゾン川はブラジルやコロンビア、エクアドルといった多くの国にまたがる世界有数の大河です。

昔からアマゾン川の近くに住む人間たちにとっては貴重な食料や資材として扱われていたこともあり、アマゾンマナティーの密漁が報告されることも少なくありません。

食性

マナティーは「植物食性」で、主に海草や海を漂う植物を食べて生活しています。

ちなみに水族館で飼育されているマナティーにはエサとしてキャベツやレタスなどが与えられているそうです。

そのほかカボチャやニンジンを好んで食べる個体もいるようなので、基本的に野菜であればマナティーのエサとして与えられると考えられています。

性格

マナティーの性格は繊細かつ警戒心が強いと言われていますが、飼育下においては人懐っこい一面を見せることが多々あります。

ある程度の信頼関係を築けることができればマナティーの方から人間に寄って来ることもあるので、それなりに高い知能を持っていることが分かります。

なお、現在のところ日本でマナティーを飼育している水族館は以下の4つです。

・熱川バナナワニ園
・鳥羽水族館
・沖縄美ら海水族館
・新屋島水族館
※2022年時点

日本近海では野生のマナティーを見ることができませんので、生のマナティーを見たい方はぜひ上記の水族館まで足を運んでみてください。

寿命

野生下におけるマナティーの寿命はおよそ50年程度です。

これが飼育下になると60年~70年近く生きる個体も確認されています。

ただし、マナティーは非常に繊細な生き物であり、水温が少しでも下がると衰弱してしまいます。

そのため、過去には国内の水族館でもマナティーの飼育に失敗したケースが何度かありました。

マナティーとジュゴンの違い

マナティー

続いてはマナティーとジュゴンの違いについてご紹介していきます。

まず、マナティーとジュゴンの大きな違いは「尾ビレ」です。

マナティーの尾ビレはうちわのような形をしていますが、ジュゴンの尾ビレはイルカのように二又(三角形)の形をしています。

また、マナティーは基本的に淡水域に近いところで生活を送りますが、ジュゴンは太平洋やインド洋といった海水域に生息しています。

※もともとマナティーとジュゴンは同じ祖先を持つ生き物で、大昔に海草が不足したときマナティーの祖先が淡水域にエサを求めて移動したことから両種が分化したと考えられている。

ちなみにジュゴンは海底の草を食べるために口が下向きになっていますが、マナティーは川の水面や海面の草を食べるためそこまで口が下向きになっていません。

このあたりも両種における見た目的な違いと言えるでしょう。

なお、そのほかの違いとしては「マナティーには爪があるが、ジュゴンに爪がない」「マナティーの皮膚はザラザラしているが、ジュゴンの皮膚は比較的なめらか」といった点が挙げられます。

まとめ

海と川の両方で生活ができるという不思議な生態を持つ「マナティー」について解説してきました。

ご覧いただいたようにマナティーは3つの種類に分けることができて、それぞれ異なる場所で生息しています。

また、種類によって身体の大きさや適応できる環境が変わるところもマナティーの特徴です。

なお、日本で本物のマナティーが見られる水族館は多くありませんが、いまならリアルなマナティーが生で見られますので、本文でご紹介した水族館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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