この記事では、成長すると最大2mを超えることもある魚「シイラ」について解説していきます。
シイラは基本的に「暖かい海」であればどこにでもいる魚の一種です。
日本以外の国では昔から食用として扱われてきたシイラですが、近年では日本でも食用を目的として漁獲されることが増えています。
(もともと日本人の間ではルアーフィッシングのターゲットとして認知されていた)
ここでは、そんなシイラの大きさ・生息地・毒性などを詳しくまとめました。
また、合わせて「シイラは食べられるのか?」「シイラはどうやって料理すると美味しいのか?」といった部分もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
シイラとは?
シイラとは「スズキ目シイラ科シイラ属」に分類される魚を指します。
シイラ属は「シイラ」と「エビスシイラ」の2種類で構成されますが、一般的にシイラとして認識されているのは前者の方です。
(エビスシイラは沖合に生息することが多く、普通のシイラより釣れる頻度が少ない)
そんなシイラは体長1m前後の大型魚のひとつであり、暖かい海であれば全世界どこにでも生息しています。
その大きさからルアーフィッシングのターゲットとして人気がありますが、東南アジアやハワイといった地域では昔から食用として重宝されてきました。
ちなみにシイラは幼魚のころから海中に浮遊している流れ藻や流木に身体を寄せるといった習性を持っています。
そのため、海上に浮遊物が集積しているところではシイラがよく釣れるようです。
※こうした習性を利用して「シイラ漬け」という漁具を使い、シイラを集めてまとめて漁獲する方法もある。
○シイラの名前・漢字表記について
シイラは漢字だと「鱪」「鱰」と書きます。
暖かい海に生息することから「魚編」に「暑い」と書くのかもしれませんが、同じ漢字圏の台湾ではシイラを「鬼頭刀」または「鬼頭刀魚」と表記するそうです。
なお、「鬼頭」というのはおそらくシイラの額が大きく隆起しているところから名付けられたものと推測できます。
また、ハワイではシイラのことを「マヒマヒ(=強い強いの意)」と呼び、高級な食用魚として扱っています。
ちなみに古い文献を調べてみると、少なくとも1484年ごろには日本でもシイラという存在が認識されていたようです。
(室町時代にまとめられた「温故知新書」という辞書にシイラと見られる魚のことが載っている)
○シイラの身体について
シイラの身体は横だけでなく縦にも長く伸び、いわゆる「おでこ」がぼっこりと膨らんでいるところが特徴的です。
身体の色は背中が青色・緑色系統で、胴部分は金色・白色をしています。
また、体表には小さい斑点模様が並んでいますので、見た目だけでもすぐにシイラと分かります。
○シイラの食性・エサについて
シイラは「肉食性」の大型魚で、主に自分より小さいトビウオやイワシを食べて生活しています。
また、イカなどの頭足類や小さいエビやカニといった甲殻類もシイラの好物です。
ちなみに幼魚のころは流れ藻に付着する動物プランクトンなどを食べています。
シイラの特徴・生態
ここからはシイラの特徴や生態をより詳しくご紹介していきます。
「これまでに釣れたシイラの最大記録は?」「シイラはどういったところに生息している?」といった疑問がある方は、ぜひこちらをご覧になっていってください。
大きさ
一般的なシイラの大きさは60cm~100㎝くらいです。
重量は7kg~8kgほどで、釣り上げたときの手ごたえが良いことからルアーフィッシングを趣味とする方たちに人気があります。
しかし、シイラの中には体長1mを超える個体が多々存在し、特に大きなものだと2m近いシイラが釣れるケースもあるそうです。
なお、重量で考えた場合は15kgオーバーのシイラで「非常に稀」と言われていますが、過去には28kgサイズのシイラが釣れた記録も残っています。
つまり、シイラはそれだけ巨大に成長する可能性を秘めた魚ということです。
※ちなみにシイラの寿命は4年前後なので、比較的短い時間で大きく成長する魚と言える。
生息地
シイラの生息地は温帯・熱帯の海域で、暖かい海であればどこにでも生息している可能性があります。
日本では北海道から沖縄までほぼ全ての沿岸部で見かけられるため、それほど珍しい魚ではありません。
ちなみにシイラの生息域は水深5m〜10mほどの浅瀬となりますが、海水の温度が上がると沿岸部に近付いてくるといった習性を持っています。
そのため、暖かい時期であれば堤防からでもシイラを釣ることが可能です。
毒について
シイラは身体の表面に「腸炎ビブリオ菌」などを持っている場合があります。
そのため、シイラを生食する際は細心の注意を払わなければなりません。
なお、腸炎ビブリオ菌は4℃以上の環境だと増殖の危険性が高くなる菌類です。
暖かい海に生息している魚にはこの腸炎ビブリオ菌が付いている可能性があるので、基本的には加熱して食べることが一般的となっています。
※暖かい気候の国で魚の生食がおこなわれていないのは、こうした菌類が原因でもある。
ちなみにシイラの身や血などに毒が含まれているわけではありません。
「75℃以上」「1分以上」の加熱をおこなえば腸炎ビブリオ菌も死滅するので安心してください。
○腸炎ビブリオ菌による食中毒
日本で発生している食中毒の主な原因として知られるのが「腸炎ビブリオ菌」で、昔はこの腸炎ビブリオ菌が食中毒の原因・第1位でした。
現在は腸炎ビブリオ菌の存在が広く知られたこともあり、食中毒になる全体の人数は減っていますが、それでもサルモネラ菌と並んで食中毒の割合の1位2位を争っています。
○シイラの毒に当たった場合は?
シイラの体表に付着している腸炎ビブリオ菌などを摂取してしまった場合は「下痢」や「嘔吐」といった症状が出ます。(ただし食べる量にもよる)
昔はこうした食中毒で死者が出たケースもあるため、症状が重いと感じた場合にはすぐ病院で診てもらいましょう。
シイラは美味しい?
海外ではポピュラーな食材として親しまれているシイラですが、食べる時期や調理方法によっては美味しくも不味くもなる魚です。
そもそもシイラは筋肉質な魚で、脂身がそこまで多くありません。
つまり、ベースの味わいが淡白なので調理方法によって美味しくも不味くもなるわけです。
また、シイラがよく獲れるのは暖かい時期(7月~9月)ですが、本来美味しく食べられるのは冬の時期(12月~2月)となります。
※シイラの産卵期は春~夏で、冬の時期は出産を控え栄養を蓄えているため。
シイラの美味しい食べ方
シイラの美味しい食べ方としては「塩焼き」「ソテー」「フライ」などが挙げられます。
また、産地から近い地域では「刺身」や「寿司」で食べるところも少なくありません。
シイラはあっさりとした味わいを特徴とする魚なので、様々な調理法や味付けが試せます。
なお、ハワイではシイラをムニエルで食べることが多く、フィリピンでは干物に加工することが多いようです。
ちなみに日本でも加工食品の材料としてシイラを使うことが珍しくありませんので、気付かないうちにシイラを食べている方も少なくないと思います。
※ただし、前述の通りシイラには腸炎ビブリオ菌などが付着している可能性があるため、素人が捌いて生食するのは危険。
まとめ
釣りのターゲットとしても人気が高い「シイラ」に関する情報を詳しくご紹介してきました。
ご覧いただいたようにシイラは最大2m前後まで成長する大型の肉食魚です。
世界中の海に生息し、様々な地域で食用として扱われているところがシイラの特徴と言えます。
暖かい時期であれば堤防からでも釣れることがありますので、サイズの大きな魚を釣ってみたいという方はぜひシイラを狙ってみてください