環礁とは?でき方や世界の有名な場所を紹介

この記事では自然が作り上げる「環礁」に関する情報をご紹介していきます。

環礁とはサンゴ礁がリング状になって形成された海の地形のことです。

リング状になったサンゴ礁の中には水深10m~50mほどの海が広がり、上空からはキレイな景色が楽しめるようになっています。

なお、世界にはこうした環礁が数百種類ほどあり、大切な観光資源として利用されています。

ここでは、そんな環礁ができあがるまでの過程や代表的な環礁の種類をまとめました。

美しい自然の景色を楽しみたい、旅行で訪れてみたいという方は、ぜひこちらの内容をご覧になっていってください。

環礁とは何?

環礁(かんしょう)とは、サンゴ礁が輪っかのような形に繋がり、その中にラグーン(浅瀬の海)が広がる地形を指す言葉です。

日本を含め、世界の海にはこうした環礁が500以上あるとされていますが、そのうち約8割は太平洋上に存在します。

ちなみにサンゴ礁が多い国としてはオーストラリアやインドネシア、パプアニューギニアなどの名前が挙げられますが、ご覧のような国の海域には環礁も多く存在するということです。(どれも太平洋上にある国々)

そのほか、フィリピン・マレーシア・ソロモン諸島などもサンゴ礁が多い国となります。

なお、環礁の内側にある「礁湖の水深」はだいたい50mくらいです。

浅いところだと5m~10mくらいのところもありますが、外洋とは海の深さに差があるため見た目の色が異なって映ります。

こうした海の色のコントラストが楽しめるところも環礁の醍醐味と言えるでしょう。

※環礁にはサンゴ礁が完全に海面から出ていないところも含まれていて、いわゆる暗礁になっているところも存在する。

環礁はなぜできる?

続いては「環礁ができる過程や仕組み」を見ていきましょう。

環礁ができる仕組みというのは意外とシンプルです。

その流れを分かりやすくまとめましたのでご覧ください。

【環礁ができるまでの流れ】
1.火山島の周りにサンゴ礁が作られる
2.火山島が噴火や地殻変動などの影響で沈没し始める
3.その間にもサンゴ礁が上に向かって成長する
4.火山島が海面よりも下に沈没する
5.火山島があった場所は海(ラグーン)となり、リング状のサンゴ礁だけが残る

このように、環礁というのは「火山島の周りに形成されたサンゴ礁」がベースとなっています。

ただサンゴ礁がリング状に作られるのではなく、火山島を取り囲む形でサンゴ礁が成長してきた歴史があるというのが大きなポイントです。

また、環礁の中には陸地となる部分が「幅・数百メートル」「直径・数十キロ」に達するものもありますが、そういったところは「島」として扱われることがあります。

さらに大半の環礁では満潮・干潮の影響によってリングの一部に外洋と繋がる部分ができるので、環礁内部のラグーンまで船が入れるようになっています。

こうした特徴を活かし、環礁を観光資源として扱う国も多いわけです。

ただし、これまでに沈没したすべての火山島の周りに環礁ができているわけではありません。

中には環礁まで至らず、半円やリングの線が欠けたようなサンゴ礁ができあがることもあります。

世界の有名な環礁

ここからは世界の海に存在する有名な環礁をご紹介していきます。

環礁の場所や規模などをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

グレートチャゴスバンク

グレートチャゴスバンクはインド洋にある世界最大規模の環礁です。

グレートチャゴスバンクの周りや内側には複数の環礁と島々があり、これらを含めて「チャゴス諸島」と呼びます。

もともとチャゴス諸島には人間が住んでいませんでしたが、1500年代に発見されてから1700年代後半までの間にイギリスの植民地化が進み、人間が暮らす島々として扱われるようになりました。

ただし、近年においては地理的に近いモーリシャスがその領有権を主張していて、イギリスとの間で法的な闘争が繰り返されています。

なお、チャゴス諸島に含まれる島のうち、もっとも面積が広いのはグレートチャゴスバンクから南側に少し離れたディエゴガルシア島です。

この島の面積はおよそ36㎢となりますが、グレートチャゴスバンク自体のサイズはその数十倍(およそ12,000㎢)に匹敵しますので、いかに大きな環礁であるかが分かるかと思います。

リード堆

「リード堆」は中国・台湾・フィリピン・ベトナム・マレーシアなどが面する「南沙諸島」の海域内にある環礁です。

水深45mほど、面積9,000㎢弱というリード堆には相当量の石油や天然ガスなどが埋蔵していると考えられていて、上記に加えてブルネイの6ヵ国が領有権を巡って争っています。

ちなみに日本は第二次世界大戦後に領有を放棄させられているため、現在の領有権問題には関与していません。

なお、「堆(たい)」というのは地形を表す言葉のひとつであり、水深が比較的浅いものの「船舶が航行しても問題ない深さ」を持つ海底に使われます。

「礁(しょう)」という言葉は岩やサンゴ礁が海面を超えている様子を表しますが、大抵の環礁には「礁」の部分と「堆」の部分があり、リード堆も「リード礁」と表記されることがあります。

マックルズフィールド堆

マックルズフィールド堆はフィリピンの西側、南沙諸島の北側にある環礁です。

南西から北東にかけて伸びるサンゴ礁の群生地であり、その幅は約70kmで海域の面積は約6,500㎢ほどあります。

ちなみにこちらのマックルズフィールド堆はサンゴによって作られた岩礁地帯となりますが、ほぼすべてが「暗礁」なので陸地として領有している国はありません。

なお、暗礁とは海面の下に隠れている岩のことを指し、マックルズフィールド堆の場合は岩のようになったサンゴ礁が航行の妨げになっています。

※マックルズフィールド堆という名前は1800年代にこの海域を航行したイギリス軍の戦艦名が由来となっている。

ティラドゥンマティ環礁・ミラドゥンマドゥル環礁

ティラドゥンマティ環礁・ミラドゥンマドゥル環礁はモルディブ諸島の北部にある環礁です。

こちらの環礁はモルディブ諸島の行政区画に指定されていて、数千人単位の人間が生活を送っています。

また、リゾート地としての一面も持ち合わせており、環礁内の島には外国客を呼び込むためのホテルが建設されています。

なお、ティラドゥンマティ環礁は「ハーアリフ環礁(またはハーゥアリフ環礁)」とも呼ばれる環礁です。

モルディブ諸島では3番目に大きな行政区画で、観光資源としての大きな役割を担っています。

ロザリンドバンク

ロザリンドバンクはカリブ海にある環礁です。

ただし、陸地はないので暗礁として扱われています。

ロザリンドバンクはキューバやジャマイカの南側に位置する環礁であり、その大きさはおよそ4,500㎢ほどです。

もっとも浅いところだと水深が7mくらいしかありませんので、比較的新しくできた環礁であることが推測されます。

まとめ

自然の力が作りあげる「環礁」という地形について詳しく解説をおこなってきました。

環礁の基盤となるのは火山島を取り囲むような形で成長したサンゴ礁です。

長い年月を掛けて火山島が海面よりも下に沈むと、その周りにはキレイな環礁ができあがります。

世界にはこうした環礁が500前後あると言われていますので、興味がある方はぜひ環礁が楽しめるダイビングツアーなどに参加してみてください。

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