オニヒトデの特徴・生態!大量発生の原因やサンゴへの影響など

この記事ではサンゴ礁の保全に悪影響を与える「オニヒトデ」の生態や大量発生の原因を詳しくご紹介していきます。

オニヒトデはサンゴを主なエサとする海中の生物です。

身体の大きさが15〜30cmとヒトデの中ではかなり大型の部類に分けられ、さらには人間にとって有害な毒も持っています。

ここでは、そんなオニヒトデの特徴や生息地などを分かりやすくまとめました。

「なぜオニヒトデはたびたび大量発生するのか?」「オニヒトデが増えるとどういった悪影響があるのか?」といった疑問を解消していきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

オニヒトデとは?

オニヒトデは「ヒトデ綱アカヒトデ目オニヒトデ科」に分類される生き物となります。

ヒトデの種類は世界中の海で2,000種を超えると言われていますが、オニヒトデはそんなヒトデたちの仲間です。

オニヒトデの体長はおよそ15cm〜30cmで、大きいものだと65cmオーバーという巨大な個体も存在します。

身体の中心部からは放射線状に多数の腕が伸び、全身は毒を持つ棘で覆われているというのがオニヒトデの特徴です。

そんなオニヒトデの主食は冒頭でも伝えたように「サンゴ」です。

幼生のころは植物プランクトンや魚などの死骸が分解されてできあがる有機物(デトリタス)を食べて成長しますが、成体になるとサンゴに取り付き捕食するようになります。

ちなみにオニヒトデはサンゴをかじって食べているわけではなく、身体の中心部にある口から胃を外に出して直接的に「消化吸収」をおこないます。

1匹のオニヒトデが消費するサンゴの量は1年間で10㎡前後と言われていますが、オニヒトデ自体の数が増えれば想像以上に大量のサンゴが食べられてしまうので被害に遭っている国では早急な対策が求められているわけです。

〇オニヒトデの身体

オニヒトデには様々な色をした個体が存在し、オレンジ色・灰色・紫っぽい青色などがその主な色合いとして挙げられます。

なお、どんな体色でもほとんどのオニヒトデは棘の先は赤くなっているため、他のヒトデとは見分けが付きやすいようです。

そんなオニヒトデの身体は15本〜20本程度の腕と無数の棘で構成されています。

身体はとても柔軟で、狭いスペースでもサンゴ礁の隙間に入り込むことが可能です。

〇オニヒトデの移動スピード

多くのヒトデは移動する能力が乏しいものの、オニヒトデは1日に60〜70mほど移動できます。

ただし、オニヒトデの移動能力はあくまでエサであるサンゴを探すためだけにあり、外敵から身を守るような力は備わっていません。

〇オニヒトデの寿命

オニヒトデの寿命はおよそ7〜8年です。

とはいえ、寿命までオニヒトデを生かしておくとサンゴ礁が多大なダメージを負ってしまうので、多くの個体は人間たちによって駆除されます。

もちろんすべてのオニヒトデを駆除できるわけではなく、被害に悩んでいる国々では効率的な駆除方法や大量発生が起きる原因の究明を急いでいます。

オニヒトデの特徴・生態

それでは続いてオニヒトデの生息地・毒性・天敵などの情報を見ていきましょう。

生息地

オニヒトデはサンゴ礁があるところに生息しています。

世界の海でサンゴ礁があるのは主に太平洋やインド洋であり、これらの海域にはオニヒトデが生息している可能性があります。

逆にサンゴ礁がない大西洋や高緯度な海域にはオニヒトデの分布がありません。

なお、オニヒトデの大量発生がよく報告されているのはオーストラリアや日本です。

このあと解説するオニヒトデ大量発生の原因にも関係してきますが、オニヒトデの増殖には一定の条件があり、そのひとつが「工業廃水・生活排水」などによる富栄養化と考えられています。

毒性

オニヒトデの身体には無数の棘があり、それらの棘には致死性のある毒が含まれています。

人間がオニヒトデに刺された場合は激しい痛みを感じ、熱を伴う炎症が起こります。

人によってはアナフィラキシーショックを引き起こし重篤な状態になることも考えられ、さらには死亡する可能性もあるため非常に危険です。

もしもダイビング中などにオニヒトデを発見した場合は速やかにその場から離れるようにしましょう。

万が一、オニヒトデに刺されたときにはすぐに病院で治療を受けてください。

天敵

オニヒトデの天敵は自分が主食としているサンゴ礁です。

サンゴ礁は生まれたばかりのオニヒトデの幼生を食べるので、相互的な天敵関係にあります。

また、ホラ貝もオニヒトデの天敵として考えられていますが、1体のホラ貝が捕食できるオニヒトデの量は多くありません。

そのため、オニヒトデが大量発生した場合にはオニヒトデの勢力の方が上回るとされています。

ほかにもオニヒトデを捕食する生き物としてはモンガラカワハギやフグなどの名前が挙げられるものの、これらはオニヒトデ以外のものも食べるため天敵という存在にはなり得ないようです。

オニヒトデの大量発生の原因

オニヒトデはたびたび大量に発生し、その海域のサンゴ礁に大きなダメージを与えます。

こうした大量発生の原因は完全に解明されていませんが、人間による環境汚染を原因とする説が有力視されています。

1.人間が工業廃水や生活排水を海に垂れ流す
2.その海域が富栄養化される
3.オニヒトデのエサとなる植物プランクトンが異常増殖する
4.オニヒトデの幼生が植物プランクトンを食べて成長する
5.成長したオニヒトデが繁殖して大量発生を引き起こす

こちらはオニヒトデが大量発生する原因や流れを簡単にまとめたものです。

もちろん上記がすべての原因ではないものの、オニヒトデの大量発生には少なからず人間の影響があるものと考えられています。

また、自然のサイクルによってオニヒトデが大量発生するという説もありますが、こちらはまだ明確なデータや裏付けされる根拠がないようです。

オニヒトデによるサンゴへの影響

オニヒトデの大量発生は数年に一度のペースで起きています。

大量のオニヒトデが生まれるとサンゴ礁が多大なダメージを受けるわけですが、そのまま放っておくと数年以内には一帯のサンゴ礁が食べ尽くされてしまうそうです。

実際、1980年には沖縄県の八重山諸島でオニヒトデの大量発生が起こり、近海のサンゴ礁をほとんど食べ尽くされた事例もあります。

一度なくなったサンゴ礁が回復するまでには10年〜15年以上の時間が必要となりますので、サンゴ礁を観光資源とする場所ではオニヒトデの大量発生が重大な問題となるわけです。

また、結果的には「サンゴ礁があることで生きていられる魚」などもいなくなるため、漁業にも悪影響を与えることになります。

オニヒトデの駆除方法

オニヒトデの駆除は以下のような方法でおこなわれます。

・捕獲したオニヒトデを陸にあげてから駆除する方法
・水中で破壊する方法
・水中で袋に詰めて酸欠を誘発させる方法

これらは昔から実践されてきた駆除方法で、最近では海の中にいるオニヒトデに注射で薬剤を打ち込む方法も採用されています。

ただし、薬剤を打ち込む場合は「注射していない個体を見逃す可能性」があるため、前時代的ではあるものの上記のような直接的な駆除方法に頼ることも少なくないようです。

まとめ

数年に一度のペースで大量発生を起こす「オニヒトデ」について詳しくまとめてきました。

ご覧いただいた通り、オニヒトデにはサンゴ礁を食べ尽くしてしまうかもしれないという危険性があります。

また、オニヒトデの身体には毒があり、人間にとっても有害な生き物です。

日本では沖縄周辺の海域で見かけられますが、発見した場合には速やかに離れて近くの自治体まで報告をしましょう。

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