この記事では、水族館のショーなどでもよく見かける「アシカ」についてご紹介していきます。
アシカは体長2m前後・体重200kg~300kgという大きな身体を持つ海生哺乳類の一種です。
アシカショーを見れば分かりますが、人間の言葉を理解して芸を覚えられるだけの知力を持っているところがアシカの特徴と言えます。
ここでは、そんなアシカの種類や生息地などを詳しくまとめました。
また、アシカとよく似ているアザラシとオットセイの違いについても分かりやすく解説していきますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。
アシカとは?
アシカは「哺乳綱鰭脚類アシカ科」に分類される海生哺乳類です。
アシカ科にはトドやオタリア、オットセイなどの生き物が含まれていますが、狭義にはアシカ属のみを「アシカ」として扱っています。
アシカの大きさは雌雄や種類によって異なるものの、平均的な体長は2m前後で体重は200kgくらいです。(メスはもう少し小さい)
人間の言葉をある程度理解できる知力があり、仲間と共同生活を送るといったコミュニケーション能力も持っています。
ちなみにアシカという名前は和名で「葦の生えているところ(水辺)に生息するシカのような生き物」⇒「葦鹿」⇒「アシカ」に由来するそうです。
漢字では「海驢」=「海のロバ」とも書きます。
アシカの基本情報
アシカはオスで体長2m以上、メスでだいたい2m弱まで成長します。
(体重はオスが250kg以上、メスが100kgくらい)
ヒレのように発達した四肢には水掻きが付いていて、水中では時速30kmほどで泳ぐことが可能です。
また、海生哺乳類の中では潜水が得意な方であり、長い場合は15分くらい海に潜っていられます。
アシカのエサ(食性)
潜水能力に優れたアシカは海の中で捕らえたイカや魚をエサとします。
水族館で飼育されているアシカにはイワシやサバなどの生魚が与えられているそうです。
ちなみにアシカは大食いの生き物なので、1日に10kgほどのエサを食べることもあります。
アシカの繁殖
アシカは他の哺乳類と同様に有性生殖をおこないます。
オス1頭に対して多くのメスが集まり「ハーレム」を形成するところがアシカの特徴です。
妊娠期間は1年ほどで、1回の出産で1頭の赤ちゃんアシカを産みます。
なお、生まれたばかりのアシカは体長60~70cm、体重6~7kgくらいです。
アシカの種類
ここではアシカの種類について解説していきます。
アシカに関しては正確な定義がいまだ決定されておらず、種類の分け方についても研究グループごとにバラバラです。
ただし、最新の研究では「アシカ科アシカ属」に分類されるのは「カリフォルニアアシカ」「ガラパゴスアシカ」「ニホンアシカ」の3種という説が有力のようです。
このほか「アシカ科」には「オーストラリアアシカ属」と「ニュージーランドアシカ属」の2属が含まれています。
カリフォルニアアシカ
水族館などでよく見るアシカは基本的にすべて「カリフォルニアアシカ」です。
カリフォルニアアシカはカナダからメキシコにかけて、北アメリカ大陸西岸の温暖な海域に生息しています。
「アシカ科アシカ属」に分類されるアシカとしてはもっとも個体数が多いものとして考えられています。
ガラパゴスアシカ
名前の通りガラパゴス諸島に生息しているのが「ガラパゴスアシカ」です。
ガラパゴスアシカはカリフォルニアアシカより少しだけ身体が小さく、オスでも体長2mを下回る個体が存在します。
そんなガラパゴスアシカの特徴は社交的で人懐こい性格をしているところです。
また「波乗りをして遊ぶ」「群れで日光浴をする」といった行動も確認されています。
ニホンアシカ
1991年、環境庁のレッドデータブックで「絶滅」と判断されたものが「ニホンアシカ」です。
かつて日本近海には数多くのアシカが生息していたものの、病気や乱獲などの影響によってその姿は見られなくなってしまいました。
この種を「ニホンアシカ」と呼ぶわけですが、現在でもニホンアシカは存在するといった説があります。
(いまでもカムチャッカ半島には10頭前後のニホンアシカが存在するのでは?という説)
ただし、正式な調査は進んでおらず、日本においては1975年に竹島で観測された2頭のニホンアシカが最後の目撃例となっています。
オーストラリアアシカ
「アシカ科オーストラリアアシカ属」として1種で構成されているのがオーストラリアアシカです。
カリフォルニアアシカやガラパゴスアシカと異なり、繁殖周期が変則的であることから別種のアシカとして扱われています。
ニュージーランドアシカ
「アシカ科ニュージーランドアシカ属」として1種で構成されているのがニュージーランドアシカです。
他種と異なるのは吻端が太く、額が突出していないところとされています。
ちなみにニュージーランドには先住民族によって絶滅させられた別種のアシカもいたようです。
(現在のニュージーランドアシカとは遺伝子的に異なる種類)
アシカの生態・特徴
ここからはアシカの生態や特徴についてご紹介していきます。
生息地
現在、狭義のアシカが生息しているのはカナダからメキシコにかけての北アメリカ大陸西岸、ガラパゴス諸島と考えられています。
また、先ほども少し触れたようにカムチャッカ半島にはニホンアシカの生き残りが存在するといった説もありますが、アシカの生息地として公けに認められているわけではありません。
このほかオーストラリアやニュージーランドにも独立した種類のアシカが生息していますが、アシカ科アシカ属とは異なります。
性格
アシカは高い知能を持ち、人間の言葉を論理的に理解する能力があります。
そんなアシカの多くは好奇心旺盛な性格の持ち主です。
水族館での飼育に多数成功していることからも、慣れた人間に対しては警戒心を解くことが分かっています。
ただし、野生下におけるアシカは群れを作るときに見張り役を立てて周囲への警戒を忘れません。
寿命
カリフォルニアアシカの寿命はだいたい30年くらいです。
これは実際に飼育したカリフォルニアアシカのデータを参考としていますが、自然環境では20年~25年くらいが寿命ではないかと考えられています。
ちなみに日本では静岡県・下田水族館で飼育されていたメスのカリフォルニアアシカが34歳まで生きたという記録が残っています。
アザラシ・オットセイとの違い
アザラシは「アザラシ科」の生き物で、オットセイは「アシカ科」の生き物です。
アシカとオットセイは同じ「アシカ科」なので似ていますが、アザラシに関しては「科」が違うのでまったく異なる生き物と言えます。
そんなアザラシの特徴は「耳たぶがない(=耳介と呼ばれる穴しかない)」「前ヒレに爪が付いている」「後ろ足(ヒレ)は泳ぐ際にも使われない」といった部分です。
一方、オットセイの特徴は「耳たぶがある」「ヒレには水掻きが付いている(アシカよりもヒレが長い)」「後ろ足(ヒレ)を使って歩いたり泳いだりする」といった部分になります。
これはアシカ科に共通する特徴なのでアシカとアザラシの違いにも当てはめられます。
ちなみにアシカ科のアシカとオットセイは後ろ足(ヒレ)をしまえますが、アザラシは後ろ足をしまえません。
なお、アシカとオットセイでは「アシカの方が全体的に身体が大きい」「オットセイの方がフサフサとした体毛を持っている」といった違いがあります。
このあたりの違いを理解していれば水族館でもすぐに見分けがつくと思います。
関連記事:アザラシの種類と特徴!生態・性格は?
まとめ
水族館でも人気が高い「アシカ」に関する様々な情報をご紹介してきました。
ご覧いただいた通り、私たちがよく目にしているのは「カリフォルニアアシカ」と呼ばれるアシカとなります。
日本固有の「ニホンアシカ」は絶滅したものと考えられていて、現在はその姿を見ることができません。
ただし、アシカには他にもガラパゴスアシカ・オーストラリアアシカ・ニュージーランドアシカといった仲間がいます。
海外旅行に行った際は、こうした別種のアシカもご覧になってみてください。