真珠とは何?種類やできる仕組みを解説

この記事では「真珠」の種類や歴史について詳しく解説していきます。

海に生息している「貝」から採れる宝石が「真珠」です。

宝石には様々な種類がありますが、真珠のように生物から採取される宝石は多くありません。

また、真珠は紀元前の時代から希少な装飾品として扱われてきた宝石です。

そして、現在のように養殖真珠が完成するまでには長い年月が掛かっています。

ここでは、そんな真珠が生み出される仕組みや真珠の主な生産地などを分かりやすくまとめてみました。

「真珠は昔の人間からどのように扱われてきたのか?」「日本における真珠産業はどういった意味合いを持っていたのか?」など、真珠にまつわる歴史やエピソードをぜひご覧になっていってください。

真珠とは何?歴史は?

真珠は「パール」とも呼ばれる宝石のひとつです。

宝石にはダイヤモンドのような「天然鉱物」や琥珀のような「天然樹脂の化石」など様々な種類がありますが、真珠は「貝」から生成される非常に珍しい宝石です。

簡単に説明すると真珠は貝殻と同じ成分で出来ています。

貝は自身を守るために海の中にあるタンパク質やカルシウムを摂り込んで貝殻を成長させていくわけですが、貝殻を作る「外套膜」という器官が色々な要因で貝の内側に入り込むと天然の真珠が作られるようになります。

このように偶然の産物として生成される真珠は、遥か昔から装飾品として重宝されてきました。

世界における真珠の歴史

紀元前3200年ごろから、すでに真珠は貴重な装飾品(宝石)として扱われていたそうです。

「最古の真珠採取場」として知られるのは現在のバーレーンがあるアラビア半島近海で、同時期に繁栄していたメソポタミアの王朝でも真珠を収集していた証拠が残っています。
(当時のメソポタミア関連遺跡から多数の真珠が出土している)

また、紀元前50年前後に古代エジプトの女王として君臨したクレオパトラは他に類を見ないほど大粒の真珠を保有していたとされ、そのうちのひとつを酢に溶かして飲んだという逸話もあります。

このほか中国大陸やローマ、ペルシャといった地域でも真珠は希少な宝石として扱われてきました。

日本における真珠の歴史

四方を海で囲まれる日本は真珠の産地として有名です。

かつてはマルコ・ポーロやコロンブスといった冒険家たちによって、「日本には美しい真珠がある」ということが西欧諸国に伝えられています。

そんな日本では縄文時代からすでに真珠が認知され、装飾品として扱われていました。

約1万年前の遺跡からは糸を通すための穴が空いた真珠も見つかっていますので、日本における真珠の歴史はかなり古いものと言えます。

また、2世紀ごろに存在していたとされる邪馬台国では中国の王朝に対して真珠を送ったという記録が残っています。

このほか万葉集や古事記といった書物にも真珠に関する歌などが残っていますので、真珠は古来より日本人に親しまれてきた宝石と言えるでしょう。

そして、日本では明治時代に「真珠の養殖」が成功し、世界に対する有益な輸出品として重宝されるようになっていきました。

明治・大正・昭和と戦争が続く日本においては外貨を稼ぐための商品として真珠が活躍し、幾度となく国の財政難を助けています。

真珠ができる仕組み

ここからは真珠ができる仕組みをご紹介していきます。

1.真珠が生成される貝(主にアコヤガイ)に球状の核と外套膜組織を挿入する
2.貝の内側で真珠を作る「真珠袋」が生成される
3.タンパク質やカルシウムの結晶を摂り込み「真珠層」が形成されていく

こちらは養殖真珠を作るときの手順となりますが、天然真珠ができる仕組みも同じです。

何かしらの要因で貝の内側に異物と外套膜が入り込むと真珠袋が生成され、その周りを囲むように真珠層が作られていきます。

そして、ある程度まで真珠層が大きくなったら貝を採取し、中の真珠を取り出すわけです。

なお、先ほども少し触れたように日本で養殖真珠の技術が確立されたのは明治時代で、現在でも同じような手法で養殖の真珠が作られています。

しかし、近年はアコヤガイ赤変病の流行や海水質の変化に伴い、養殖真珠の生産量が減少傾向にあるとのことです。

真珠の主な種類

続いては真珠の主な種類についてご紹介していきます。

真珠は養殖に使われる貝や産地によって種類が変わります。

ここでは市場に流通している主な真珠の種類をまとめましたのでご覧ください。

あこや真珠

日本で生産されている真珠で「和珠」とも呼ばれるものが「あこや真珠」です。

日本の場合、一般的に真珠と言えば「あこや真珠」のことを指します。

ちなみに日本で初めて作られた養殖真珠もこの「あこや真珠」です。

「あこや真珠」の大きさは7mm前後で、9mm以上のものは大珠として扱われます。

上品な色味と光沢が特徴的であり、ホワイトピンク系やクリーム系の色合いをしたものが多く流通しています。

白蝶真珠

白蝶貝を使って作り出されるものが「白蝶真珠」です。

南洋珠とも呼ばれる真珠で、オーストラリアやインドネシアといった国でよく採取されています。

ちなみに白蝶真珠を生み出す白蝶貝は直径20cmを超える大きな貝で、出来上がる真珠も10~15mmと大粒です。

なお、真珠の周縁部分が銀白色に輝くものは「シルバーリップ」、黄色く輝くものは「ゴールドリップ」と呼ばれています。

黒蝶真珠

黒蝶貝から採れる「黒蝶真珠」は「タヒチアンパール」とも呼ばれる真珠です。

南太平洋のタヒチで採取されることが多く、黒みがかった色をしているところが特徴的な部分となります。

なお、黒蝶真珠の大きさは10mm前後で、15mmを超えるものは非常にレアとされています。

マベ真珠

「マベ真珠」は亜熱帯や熱帯海域に生息するマベ貝から作られる真珠です。

ほかの真珠と違い半円状をしているものが多く、その形状を活かしてイヤリングなどによく使われています。

「マベ真珠」は虹色に輝く独特な色味が魅力的で「太陽の光」と称されることもあります。

淡水真珠

淡水に生息する貝によって生み出されるのが「淡水真珠」です。

日本では琵琶湖や霞ケ浦に住む貝を利用して養殖をおこなってきましたが、近年では主に中国での養殖品が主流となっています。

海の貝が作る真珠とは異なる色合いや形が淡水真珠の特徴であり、カジュアルなアクセサリーによく使われています。

日本で有名な真珠の産地

ミキモト真珠島

日本で真珠の産地として有名なのは「愛媛県」「長崎県」「三重県」の3つです。

1位:愛媛県
2位:長崎県
3位:三重県

日本で生産される真珠のおよそ9割は上記3県で作られています。

かつては長崎県が日本最大の真珠生産県となっていましたが、現在は愛媛県がトップの座についています。

また、日本で初めて養殖真珠が作られたのは3位の三重県で、昔から「養殖真珠発祥の地」として有名です。

このほかでは佐賀県・大分県・熊本県など、九州で養殖真珠産業が栄えています。

まとめ

日本人にとって身近な宝石である「真珠」に関する情報を色々とご紹介してきました。

ご覧いただいたように日本では昔から貴重な宝石として真珠が扱われてきています。

明治から昭和にかけては輸出品の主力として活躍し、長く日本経済を下支えしてきました。

そんな真珠には様々な種類があり、色合いや大きさもそれぞれ異なることが分かってもらえたかと思います。

真珠を購入する機会があれば、ぜひ当記事で解説したポイントを思い出してみてください。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事