キタマクラの特徴・生態!生息地や毒性など

この記事では「キタマクラ」という独特な名前を持つ魚の特徴や生態をご紹介していきます。

キタマクラはフグの一種です。

そのため、一部の内臓や血液には他のフグと同じように毒が含まれています。

キタマクラは毒を持っていること、また釣りをしているとエサだけは上手く取っていくことから釣り人の間では嫌われています。

しかし、最近ではその見た目から観賞用の魚として少しずつ注目を集めているようです。

そんなキタマクラの生息地・毒性・食性などを分かりやすくまとめてみました。

そのほかキタマクラの食べ方やカワハギとの見た目の違いを解説していますので、ぜひ最後までご覧になっていってください。

キタマクラとは?

キタマクラ「フグ目フグ科キタマクラ属」に分類される魚です。

体長はおよそ15〜20cm程度で、防波堤で釣りをしていると稀に掛かることがあります。

そんなキタマクラですが、やはり特徴的なのは名前です。

キタマクラの名前は同魚が強い毒を持っていることに由来します。

そもそも日本では昔から「枕を北にして寝るのは縁起が悪い」とされていますが、これはお釈迦様が入滅したときに「頭を北側に向けていた」からです。

そのため、死者を連想させる「北枕」が転じ、食べると命を落とす危険性が高い魚として「キタマクラ」という名前が付けられました。

ちなみにオーストラリア周辺には「シャープノーズパファー」と呼ばれるキタマクラの近縁種が存在しますが、これは「尖った鼻を持つフグ」という見た目からのネーミングとなっています。

キタマクラの見た目

キタマクラは頭部が大きく、身体には褐色の帯模様が入っています。

また、夏から秋に掛けての繁殖期にはオスの身体にだけ青い虫食い模様が浮かび上がります。

この青色の模様がキレイということもあり、最近では観賞用の魚として人気が上がっているわけです。

なお、5〜6cmサイズのキタマクラは確かに可愛らしい見た目をしていますが、成長すると最大20cmくらいまで大きくなり、皮膚から発する毒も多くなるので飼育時には注意が必要と言えます。

カワハギとの違い

キタマクラは一般的にイメージするフグよりも「カワハギ」に似たシルエットをしています。

ただし、カワハギとは体色がまったく異なるので、見分けるのは比較的簡単です。

また、カワハギの皮膚はザラザラしていますが、キタマクラの皮膚は粘性のある触り心地をしています。(この粘液に毒が含まれている)

さらにキタマクラはカワハギほど体高が高くありません。

こうした魚の知識が少しでもあればすぐにキタマクラとカワハギの区別がつくので、ぜひ覚えておいてください。

なお、過去にはウマヅラハギと間違えてキタマクラを食べそうになった方が一時的にSNS上で話題となりましたが、ウマヅラハギと同じ捌き方で食した場合は確実に食中毒の症状が現れますので気を付けましょう。

キタマクラは触っても問題ない?死亡例は?

キタマクラの皮膚には毒が含まれていますが、素手で触ったくらいでは大きな害は出ません。(とはいえ、あえて触るなら手袋の着用を推奨します)

危険なのは一部の内臓や血液に含まれる毒です。

毒性の強いキタマクラを食べた場合は人間でも死亡する可能性が充分にありますので、素人が無闇に調理することは控えましょう。

キタマクラの特徴・生態

キタマクラ

ここからはキタマクラのより詳しい特徴や生態を解説していきます。

「日本の海にもキタマクラは生息しているのか?」「キタマクラの毒性はどれくらい強いのか?」といった疑問を解消していくので、釣りや魚に興味がある方はぜひご覧になっていってください。

生息地

日本近海におけるキタマクラの主な生息地は福島県より南側の本州太平洋側沿岸、伊豆諸島、小笠原諸島、九州沿岸、沖縄(離島含む)とされています。

そのほかハワイを含む太平洋西部の海域、インド洋といった幅広いところで生息が確認されているようです。

また、キタマクラは水深100mよりも浅い藻場やサンゴ礁、岩礁を好みます。

そのため、場所によっては堤防釣りをしていてキタマクラが引っ掛かることもあります。

毒性

キタマクラは「テトロドトキシン」という猛毒を持つ魚です。

このテトロドトキシンはフグの仲間によく含まれている神経毒で、トラフグやマフグといった食用のフグも同じ毒性を持っています。

毒がある部位は魚の種類によって異なり、キタマクラの場合は肝臓や腸など一部の内臓と血液にテトロドトキシンが含まれているとのことです。

また、皮膚を覆っている粘液にも毒が含まれているので、あまり素手では触らないようにしましょう。

ちなみにテトロドトキシンの毒性は非常に強力です。

テトロドトキシンを含有する血液が付いたままのキタマクラを食べると、高い確率で食中毒症状が現れます。

なお、経口摂取によるテトロドトキシンの致死量は1〜2mgです。

毒性の強さは青酸カリの800倍〜1,000倍とも言われているので、ちゃんとした処理をしていないキタマクラを食べた場合には命を落とす危険性もあります。

さらに覚えておくべきポイントは「テトロドトキシンは加熱しても毒性がなくならない」という点です。

毒がある魚でもフグ鍋や煮付けのように加熱すれば食べられると勘違いしている方もいますが、フグが持つテトロドトキシンは調理の過程で毒性がなくなることはありません。

※フグの調理資格を有する方が適切な処理を施したものだけが食用として認められています。(そのほか養殖によって無毒化されたフグが食用として流通している)

食性

キタマクラは「雑食性」の魚です。

主に食べているのはヒトデやナマコなどの棘皮動物や軟体動物で、そのほか藻類もエサとなります。

また、小さいカニなどの甲殻類、貝類といったものも食べるので、飼育していてエサに困ることはありません。

ちなみに産卵期を迎える夏より前の時期はキタマクラが活発にエサを求め始めるため、釣りをしていてエサだけを持っていかれることが多々起こります。

キタマクラの食べ方・味

キタマクラは食用として流通していない魚です。

そのため、食べるとすれば自分で釣り上げるしかありません。

一応、食べ方としては他のフグと同じように皮を剝いで内臓を取り出し、よく洗った筋肉だけを刺身にするという方法が一般的です。

ただし、前述の通りキタマクラには強い毒が含まれているので、わざわざ危険を冒してまで食べる必要はないと言えます。

なお、各自治体でもキタマクラのことは「食べてはいけない魚」として注意喚起を促しています。

参考:https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/itiba/suisanbutu/fugufuka.html(東京都保健医療局)

食べたことがある人の意見では、刺身はそれなりに食べられるものの水っぽさを感じるそうです。

キタマクラを観賞用として飼育する方法

キタマクラは最大で全長20cmほどになります。

そのため、単独で飼育する場合でも最低60〜90cmの水槽が必要です。

また、キタマクラは比較的暖かい海域に生息する魚なので、20℃〜25℃くらいの水温を維持できるようにしておきましょう。

そのほか水質をキレイに保つためのろ過機も用意することになります。

まとめ

フグの仲間である「キタマクラ」の特徴や生態をご紹介してきました。

キタマクラは強い致死性の毒を持つことから、あまり縁起のよくない名前が付けられています。

食用には向かず一般的にも流通していないので、実際に食べる機会はほぼ皆無と言えるでしょう。

鑑賞用として飼育する際には他の魚との混泳を避けて、できるだけ単体で育ててみてください。

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